まず一つ言えること。面白い作品であるということ。
紛れもなく非凡な傑作であるということ。それは間違いないのです。
しかしこの言い表せない読後感は何なのでしょう……(いい意味で)
一言で言えば、主人公がヒロインのおっぱいになる話。
なのですが、流麗な文章の中に潜む「おっぱい」という単語。
切ないようで、真面目にやってるのかふざけてるのかわからない感情の機微。
シリアスな笑いというか、いや、笑っちゃってる私がおかしいのか!? みたいな。
レビューを書きたくて仕方がなくなるほどの傑作でありながら、言葉が出てこない。まとまらない!
新しい意味で、心を揺さぶられる傑作です!
幼なじみの少女に対して恋心を抱く少年が、彼女の幸せを願っておとなしく身を引くついでに物理的に彼女の胸になるお話。
青春恋愛劇、あるいは古き良きラブコメといった趣のお話です。なんでもありの圧倒的強者タイプの主人公が多い昨今、こういう無個性受け身タイプの主人公というのは久々に見たかもしれません……と思ったけどタグにある「BBS」「NTR」ジャンルとしてはむしろ現役なのかも。
なかなかに絶妙なキャラクター造形だと思います。実際には全然無個性でもないというか、しれっととんでもない異能を発揮しているので。いやなんですかおっぱいになるって。どういうこと?(混乱)
独特な雰囲気のコメディです。シュールというのか、いろいろぶっ飛んだ設定のお話でした。基本的にはシリアスっぽい感じの場面が続いて、でもそれがどうしようもなくおかしいというか、ヒロインの謎の適応力の高さがじわじわきます。さらにはちょっとネタバレになるのですが、主人公がさくっと元の姿に戻った瞬間もうダメでした。いや戻れたの!? そんな自由自在に!? という、まったく警戒していなかった方向からいきなり飛んできた強烈なフック。なにこれ強い……。
あとこれはわりと個人的というか本当にどうでもいいことというかむしろ懺悔に近いものがある感想なのですが、一瞬頭の中にドカベンが浮かんできました(すみません)。そこ含め、総じて脳内にほどよく混沌を呼び起こしてくれる作品でした。