第2話 「ありのまま」

私はこの一年さらに、いろんな人の想いに触れた。

ツールはSNSだ。


わざわざ顔を合わせて親密度をあげなくても、ありのままの自分を曝け出してくれる。映画や本やアニメや漫画も自分が気づかない一面を教えてくれる。一番使いやすく、普及しているのがSNS。


SNSの扱いが包丁の数億倍難しいのは衆知の事実だろう。

SNSではいろんな人の「ありのまま」が飛び交っている。

「ありのまま」とは攻撃的で感傷的で、常にこれら二つの性質を持っている。

この攻撃性は自分を守るための自己防衛反応、直接言えない言葉を発散させるストレス解消からきていて、感傷性は、知らなくていい言葉を知らない誰かから言われること、心のドアを開けて防御力を落としていることからきている。


SNSを使う上でこの二つの性質を知って、対抗策を持つことは自分が加害者や被害者にならないための秘訣だと思う。

この二つの性質の「ありのまま」の対抗策は「繋がり」だ。

SNSは確かに夢ではなく現実だけどリアルではない。

例えば、ネットでの誹謗中傷。

ネットでは自分のことを誹謗中傷する人がいるけど、家族には、信頼している友達にはそんなことをしてくる人はいない。大丈夫?とか味方だからねと声をかけてくれる人が目の前にいる。リアルでは自分を大切にしてくれる人がいる。


けれど、

相手に節度ある態度を示せず自制の意識を持たない人間に対してこそ、心のHPはすり減ってしまう。自分の身を守ろうと反撃したり、逃げることができずに攻撃を受け続けてしまう。誰かわからないこそ誰も信じられなくなる。だから意識が目の前の繋がりよりも敵に向いてしまうのだ。弱い自分を出さないで強くあろうとする。だから抱え込んでしまう可能性も高い。


誰も信じることができないからこそ、信じることができる繋がりが必要だ。

先ほど例に挙げた人は声をかけてくれる人がいた。大切にしてくれる人がいた。

あとはその人の信じきる力で状況は変えられるだろう。


生活環境は多岐に分岐している。一様にこれが正しいと示すことはできない。

自分と似ている考えの人を探して、真似したり、自己流を模索するのが自分にフィットした対抗策が生まれるコツだと思う。



現代はインターネットの普及によって少し昔よりいろんな人の「ありのまま」が飛び交う社会になった。それはとてもいいことでもあるのだけれど、本来知らずに傷つくこともなかったであろう傷も負いやすい社会になった。だからこういう社会に対応して一人一人が生きやすい生活を送るためには、互いに共感力を養うこと、「繋がり」を持つことが大切なんだ。


次にそのような必要性を生み出した日本の社会構造について述べる。

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