第三章 聖教国ラスティア

第28話 裏切り

これからは週一か週二のペースで投稿しようと思います。

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 アウロラが再び眠りについてから十五分経ち、もうそろそろで正教国につくというところで、正教国がどういうところなのか気になり千里眼で上空からの正教国を見ようと思い千里眼を発動させる。


 すると、正教国から一キロ近く離れていて、クロウたちから三キロ近く離れているところに一つの馬車が盗賊らしきものたちに襲われているのが見えた。

 襲われている馬車は、普通の馬車とは比べ物にならないくらい派手で、豪華そうな馬車だった。


 状況的には、馬車の中にいる人を守るように、護衛の人たちで馬車を囲い盗賊たちの襲撃から守っているが、盗賊の数が多いせいで護衛の人たちが押されている。

 護衛の人たちは全員共通の鎧を着ていて、その鎧を着ている人は七人いるが、そのうち三人は深い傷を負って戦闘不可能な状態で、護衛の人たちと同じ鎧を着ているものが盗賊側に一人いた。

 襲われている理由はともかく状況的にはまずいとクロウは思い、アウロラのことはシルフィに任せ、セレシアに一言「ちょっと助けに行ってくる!」とだけ言って、盗賊に襲われている馬車のところまで転移を使う。


「何があったのかはわかりませんが、やはりクロウさんはとんでもないお人よしですね...」


 クロウが助けに転移を使った後にセレシアが呆れた声で、馬車の中にいるシルフィにも聞こえないくらい小さな声でそう言った。



◇◇◇



 クロウが馬車が襲われているのに気づく十分前 ――


 護衛の兵士が馬車の外から馬車の中にいる人に声をかける。


「聖女様、そろそろで正教国につきます」

「わかりました、皆様、今日も護衛ありがとうございます」


 護衛の兵士から聖女と言われた人は護衛の兵士全員に礼を言う。

 礼を言われた兵士たちは「クッ、尊い、、」「あぁ、労いの言葉を私なんかに言ってくださるとは...その言葉だけで一生生きていける...」

 などの言葉を呟いていた。

 その言葉は馬車の中にいる聖女と呼ばれるものに聞こえていたらしく、その女性は苦笑いする。

 そのまま何もなく正教国につけばよかったのだがそうはいかなかった。

 護衛のたった一人の裏切りによって...



◇◇◇



 クロウが助けに転移したが、護衛のうちの一人がクロウを見ると、手に持っていた剣を落とし、「もう無理だ...」と言いながら膝をついた。

 ほかの護衛の人たちが「おい!どうした!早く立て!」と言うが、膝をついた護衛の兵士は反応せずにただひたすら黙っていた。


 え、なんで俺を見て、そんな反応なんだ?それは少し傷つくぞ?

 まぁ、そんなことより助ける方が先だなと思い、ほんの数秒、いや、たった一秒で、襲っていた盗賊たちを殺さないように全員気絶させた。


 護衛たちはいきなり倒れた盗賊たちに驚き、だれがやったのかわからない護衛たちは周りを見渡す。

 そしてクロウのことを見つけた護衛たちは警戒して剣をクロウに向けるが、護衛たちの手と足はがくがくと震えていた。

 なぜみんな俺のことを見るとそんなに怯えるのか一人の護衛に聞くと、


「お、お前は新しくできた冒険者ランクZランクのクロウだろ...冒険者なんて何をするかわからない、冒険者の中には戦闘狂の奴もいるって聞くしな...」

「そういうことか、でも、戦闘狂の奴でもそれなりに節度は守っているし、節度を守っていない、度を過ぎた人なんて今頃賞金首にでもされてるだろうよ。」


 そういうと護衛たちは「そうなのか?」と言って少し警戒を解き、

「じゃあ盗賊たちを倒したのは俺たちを助けるためだったのか?」

 と、まだ少し警戒気味の一人の護衛がクロウに問う。

 あぁ、そうだ、とクロウが答えると、護衛たちは泣きながら、


「ありがとうございます!あともう少しで聖女様をお守りすることができなくなるところでした!」


 と、お礼を言ってきた。

 お礼も言ってもらえたことだし、自分たちの馬車に戻るか、と転移を発動させようとするが、疑問に思ったことが二つあったので聞くことにする。


「気になることが二つあるのだが、けがを負っていた護衛の人たちはどうなった?」

「その者たちは先ほど馬車の中で聖女様に治癒魔法をかけてもらい、皆無事です。」

「それならよかった。じゃあもう一つの気になることだが、なぜ君たちはみんな俺のことを知っている?」

「それは私が答えましょう」




 そういって、馬車の中から現れたのは




 ラズル王国の宿屋の看板娘をしていたはずのエリザベスだった。

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