第17話 スライム討伐!

 皆のステータスを確認して依頼に行くことになったけど、自分の仲間がみんな普通じゃなかったことを思い知らされた。


 セクレト王国の西には草原があり、その草原にはスライムが現れやすく、スライム草原と言われているほどだ。

 今回の依頼はそこのスライムを十体以上倒してきてくれとのことだった。

 スライムを倒しにスライム草原に来たのだが、なぜか、スライムがいない。

 普通、スライムは人間を見つけると、敵わないくせに近寄って攻撃してくるのだ。

 なのに、スライムが一体も近づいてこない。

 なんでだろうか、まぁ、考えているだけだと時間が過ぎていくだけなので、念のために持ってきていた『魔物寄せの香』をたく。

 すると、草に隠れていたスライムたちが寄ってくる、しかし、スライムが多すぎて、草原が緑ではなく水色になってしまった。

 スライムたちが近寄らなくなったと思ったら、スライムたちが一か所に集まり始める。

 スライムが先ほどまでいた場所は草木が剥げて地面の土が見えていた。

 集まっていたスライムたちは、どんどん大きくなり、先ほどまで草に隠れられるほど小さかったスライムたちが4メートルほどの大きさになり、スライムの体の中心には黒い渦のようなものがあった。


「ご主人様ー!なんですかこれー!」

「キングスライムとかじゃないのか?」


 アウロラは興味津々でスライムを見ているが、シルフィは怯えて腰が抜けていた。

 クロウはキングスライムがスライムたちが集まって、大きくなるということは知っていたが、体の中心に黒い渦ができるということは魔物の図鑑にも載っていない情報だったので何かがおかしいと思い、鑑定することにした。


――――――――――――

名前:無い

種族:グラトニースライム

レベル:200

状態:正常

HP:1056/1056

MP:620/620

攻撃力:620

防御力:410

魔法力:300

俊敏:100

精神力:200

ランク:A

―スキル―

「物理無効」「魔法吸収」

「暴食」「闇魔法C級」


―称号―

「スライムを統べる者」

――――――――――――


 な、なんでこんなところにレベル200の魔物がいるんだ?!

 それに物理無効ってその言葉の意味だよな?


――――――――――――

「物理無効」

すべての物理攻撃を無効化する

――――――――――――


 そのままの意味だった...

 なら魔法で攻撃すればいいって思ったらまた変なスキルあるし...


――――――――――――

「魔法吸収」

魔法を吸収して、

MPや、HPを回復することができる。

強力過ぎる魔法は吸収しきれず、

使用者の体が爆散する。

――――――――――――


 こんなのあったら勝てないだろ、と思ったが強力な魔法を打てば体が爆散する、というのを見て勝機は見えたが、あまり国から離れてないところで、強力な魔法を打てば、その威力で、近くにいる人たちに迷惑がかかるし、どうすればいいんだろうか。

 念のためもう一つのスキルも見ておくか。


――――――――――――

「暴食」

なんでも食べる(吸収)ことができる。

使いこなすことができれば

相手のスキルや、ステータスを

吸収して自分のものにできる。

――――――――――――


 えぇ?!このスキル強すぎない?!


 とにかく、どうやって倒すか、考えないと。

 強力な魔法を当てるにしても、どうしても周りに影響が出るから、打てないしなぁ。

 あ、もしかしたら、神聖魔法の結界でグラトニースライムの周り囲えば大丈夫かも。

 念のため外からも見えない結界を張って、『闇属性S級』の『デスサイズ』を発動する。

 すると、グラトニースライムがいる結界の中に巨大な黒い大鎌が現れ、グラトニースライムに向かって一振り。

 グラトニースライムは大鎌を吸収しようとするが、吸収しきれずに結界の中で爆散する。

 スライムが消え、結界の中には、グラトニースライムの核と大量のスライムゼリーが残った。

 グラトニースライムの核は高く売れるし、スライムゼリーは潤滑油として使えるので、それなりの価格で売れる。

 倒し終わったので驚いているアウロラたちのところへ行こうと思ったとき、頭の中にある声が響いた。


「称号『神に愛されし者』の効果により、ただいま倒したグラトニースライムが所持していたスキルの中から一つだけ取得することが可能です」


 え、いまなんて?

 新たなスキルをゲットできるだって?

 それなら、当たり前のように『暴食』を選ぶでしょ。

 物理無効とか選んだら、なんか体に変化が起こりそうだし。

 てか、こんな短期間でスキルをこんなに覚えちゃってもいいのだろうか。

 いいことばかりおき過ぎて少し不安になってくる。

 まぁ、今はそんなこと考えないで、依頼達成の証拠としてスライムゼリーをもっていけばいいかな。



 まぁ、この後、ギルドに行って依頼報告をしに行ったクロウたちだが、手に入ったスライムゼリーと核を見せたらどんな反応になったかは言わなくても想像はつくだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る