3


頭頂部が柔らかく、かき分けた髪の毛の下で触ることができた。あの感触をただ思い出すために、閉じた瞼と小さな口は、必要不可欠な身体のパーツだった。撫でるようにして作る鼻が綺麗で、小さな感情を包み込む。どうしても細く合わせたかった胴体が、首と肩に湿った布を通わせると、指がかすかに動いた気がした。蝶の羽を握る指に、誰かからの赤い糸を巻き付ける。足元にはドライフラワーを敷き詰めて、白で覆ったベッドの上。バラバラな大きさの頼りない靴ひも。はだけた胸元のシャツが、いつまでも直らない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る