第24話 異世界見聞録編 06 人間の出産
そして数週間経ったある月明かりがキレイな夜に・・・・お母さんの陣痛が始まった。
私とジュリエッタの部屋に少年が飛び込んでくる。
「お姉ちゃん!お母さんが!!」
母親の部屋に移動すると・・・陣痛に苦しむ母親が・・・・
慌てる少年&ゆきち
どうしたらよいか解りません!
「2人とも落ち着いて!」
ジュリエッタが大きい声を出す。
少年と私はジュリエッタを見つめる。
「私がなんとかしましょうか?」
とジュリエッタ。頷く私と少年。
「まずは・・・・お湯を沸かす・・・・。」
鍋はあるが・・・井戸が遠いいなあ・・・。
「ゆきち様、カクスケとトビマルを呼びましょう。人手が多い方が良いので」
とジュリエッタ。
私は、
「カクスケとトビマル、来なさい!」
と呟く。
すると床に魔法陣が浮かび上がり・・・・2人が私の前に参上した。
私はカクスケとトビマルに状況を説明する。
人間の脳より直接情報を吸い取っているので知識としては知っているが・・・・
これからどうかるかは理解はできていないようだ。
私は2人に指示をする。
お湯沸かしと出産に立ち会える人を探すことを・・・・
トビマルは私の命令を聞いて、出産に立ち会えそうな人物を連れてきます。と言い、魔法を唱えて魔法陣の中に消えていった。
カクスケは、お湯を準備します。と言い、魔法を唱え、お湯を出す。
2人がいれば便利だ!と思い、私はジュリエッタを見る。
ジュリエッタは母親の片手で母親の手を握り、もう片方の手は波のように動かしている。
「ゆきち様大丈夫ですか?」
とジュリエッタの声、
「トビマルとカクスケに頼みました。」
とジュリエッタに伝える。
「ではゆきち様、もう大丈夫ですね!」
とジュリエッタは笑顔で私をみる。
私を安心させようとしているのかな?と思い、
「大丈夫よ」
と伝えた瞬間、私の下腹部に激しい痛みが・・・・。
その痛みは波のように押し寄せてきて、母親の息遣いに連動して痛みの強弱が来る。
「ジュリエッタ様、この痛みは・・・・ひょっとして・・・」
「はい、出産の痛みを、ゆきち様にも転送しています」
「なぜ私に?」
「はい、ゆきち様、トビマルとカクスケのようにやる事がないでしょうし・・・何事も経験された方がよろしいかと・・・・」
ジュリエッタの気遣いと下腹部の痛みで涙がでてくる!
私は未成年で恋愛も経験もしていないのにそれを全て飛び越えての出産の痛み・・・。
(早く、トビマル帰ってきて!ひい、ひい、ふう・・・ひい、ひい、ふう・・・・)
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「オギャー、オギャー」
あれから何時間経ったのだろう・・・・。
トビマルが連れてきた虚ろの瞳が印象的な助産師が赤子を取り上げて体を拭いている。
母親も少年も安心したようで明るい笑顔で赤子を見つめている。
その光景をジュリエッタ、トビマル、カクスケも見ている。
母親も私?も陣痛が収まり、その光景を見ている。
私は陣痛を経験したので子供を産んだ気分?だ。
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その親子の光景が彼ら4人の心に響いたのだろうか?
率先して宿屋の手伝いをしている。
そしてその仕事の合間に、ジュリエッタ、トビマル、カクスケとも初めて見る人間の赤子に興味津々。
触ったり、息を吹きかけて赤子の反応を見たり・・・・で興奮している。
トビマル、カクスケは、
「母親と赤ちゃんを守れるのはお前だけだ」
と少年に剣や素手での戦い方や魔法等についていろいろと教えているようだ。
ジュリエッタは・・・・お母さんと交代で赤ちゃんの子守を率先して行っている。
とても人間を殺した人数を競っていた人達とは思えない。
ただ、ジュリエッタ様、
赤ちゃんと添い寝をしていて夜泣きした時に、赤ちゃんの感覚を私に転送するのは辞めて頂きたい!
お腹が空いた・・・・はまだ良いとして・・・・お尻が濡れた感覚・・・。
(おねしょ?)
夜中に慌てて飛び起きる私。自分の股間を触って漏れてないことを確認するが・・・・収まらないお尻が濡れた感覚、たまに異物感・・・。
私に不快な感覚を転送してもらい快眠を取っている赤ちゃんとその傍でぐっすり寝ているジュリエッタに替わって私がオムツを交換・・・・。
ジュリエッタはスヤスヤ熟睡で昼間は元気!私はお尻が濡れる&汚れる嫌な感覚で夜中に起こされ、赤ちゃんのオムツ交換・・・昼間は仕事(寝不足で注意力散漫・・・なので大したことはできない)
そんな日々の中、私は気になっていることがあった。
この赤ちゃんや少年の父親の所在について・・・・。
(行方不明と言っていたけど・・・・本当かな?)
私はトビマルに相談、殺戮無しで調べて貰っている。
そして出産から1か月がたった頃、トビマルから報告を受ける。
この国は工業、品物を作って売ることで成り立っている。
その工業を支える為には鉱物が必要でそれを採掘する炭鉱がこの国の外れにある山中にあるそうだ。
ただ、炭鉱は長年の採掘により鉱物が枯渇しかかっているそうで生産量が落ちている。
鉱物を増産するには・・・・掘りてである人手が足りない!
ただ、掘る人材をあつめるには限度がある。
なのでこの国では犯罪者を掘る人材として送り込んでいたが・・・・
それでも最近は人手が足りず、働き盛りの大人だけでなく、未成年の少年をも無理やり動員しているそうだ。
私は、少年と母親に初めて会った時を思います。
目つきの悪い3人組が少年を連れて行こうとしたのはそれが理由か?
私はトビマルに炭鉱の場所を聞こうとしたが・・・・すでに場所も、父親がいる事も確認済みとの事。
(私に任せてもらえればすぐに父親を回収してきますが)
との事だが・・・・魔族であるトビマルに任せれば最初の街での惨劇が狂い返される事か容易に想像ができる。
「トビマル、それではトカゲの尻尾切り、末端が切り落とされて、本体を無傷のままにしておくと同じ事が何度も繰り返されます。」
私は考える・・・・。
「その尻尾の頭を覗き、上を探れば全ての芽を摘み取る事が可能です」
手柄を盗られまい?と引かないトビマル。
「ここは、カクスケに炭鉱に侵入、様子を探ってもらいましょう」
といい、私はカクスケを呼び出す。そして事情を説明する。
カクスケは・・・・ゆきち様のご命令ですし、赤ちゃんと少年の為になるのであれば・・・と快諾してくれた。
早速カクスケには別の姿に変身してもらう。
目立つ赤い服なNGとした。
カクスケは・・・・
「前の街で見た人間に変身しました」
とカジノで見かけたディーラーの姿に変身した。
私の作戦はこうだ!
①まずはカクスケに街で暴れてもらい、役人に捕まってもらう。
②そして人手不足の炭鉱に送られる。
③少年と赤ちゃんのお父さんに会い、炭鉱に来た理由を聞く。
④拉致等であった場合、カクスケに炭鉱で暴れてもらい、拉致された人々を開放してもらう。
⑤炭鉱に責任者を捕まえて情報を引き出し、元締めを絞める。
※私の計画通りに進まない場合、カクスケには、勝手に帰ってきてもらう。
これならば国家が滅亡するほどの被害は出ないだろう・・・・。
また、お母さんや少年には内緒でこの計画を進める事にする。本当に父親が母親や少年を捨てた場合、精神的なダメージが大きい為だ。
ぴろりーん
勇者ゆきちのレベルが上がった。
子供を産む陣痛を覚えた。
久しぶりに”おねしょ”の感覚を思い出した。
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