第23話 異世界見聞録編 05 宿屋を体験しよう。
私はジュリエッタ、トビマル、カクスケを呼び寄せた。
お母さんに少年以外の働き手を聞いたところ・・・・。
「旦那は出かけたまま1か月以上帰ってきていません。役人に相談したのですが・・・・家出でしょう!の一言で取り合ってくれません」
との事。
宿を経営するにも人手が・・・・で宿屋の手伝いを3人にさせて人間界を知ってもらおうと。
タイトルはずばり、”人間界について”
4人(メルフィス姫を含めるので)とも反対するかと思いきや・・・・新しい事なので興味を示している。
最初に人間と人間界について、私が転移する前の世界と私が読んだ冒険物の小説やゲームを参考に説明をする。
人間界の営みを知るには・・・お金について知らないと・・・・
そして、そのお金は偉大なる労働によってもたらされると!
私は脳細胞をフル活用して皆にわかってもらおうと説明をする。
お金の価値を、価値がわからない人に説明することなんて・・・だが、高校入試問題として出題されたら・・・と思い必死に説明をする!
続いて宿屋のしきたりについてレクチャーする。
前回の街でチェックインまで体験したが・・・その後は・・・野宿に近かったので4人とも宿屋とは?になっていたからだ。
普通の冒険者は街以外の場所で休息の為、野宿をするとモンスターなどに襲われる心配があるので、街の中で安心して休める宿屋があり、お金を払って休憩します。
宿屋の仕事としては・・・・
1.呼び込み(広告?)
2.宿泊者受付(チェックイン)
3.部屋の準備(清掃やベットメイクなど)
4.風呂などの準備
について説明をする。
その後、
質問タイムとして皆から質問を受け付けると・・・・
「ゆきち先生」
ジュリエッタが手を挙げる
「はいジュリエッタさん」
「まずは国の王より、勇者として認めらる所から始まるのですか??」
「はい、認められると粗末な武器と防具を渡され、冒険に出発します。そして、モンスターを倒しながら世界中を飛び回り仲間を集めて強くなり・・・です。」
私は冒険ゲームの流れを説明する。
「続いて、なぜモンスターは襲ってくるのですか?」
と今度はメルフィス姫から質問があった。
(そうでした!この人達、普通ではない強さをしているので・・・モンスターを襲うことはあっても襲われることは無いのでしょう!
私が読んだ冒険物の小説でもゲームでも・・・モンスターが襲ってこない物語はありませんでした!
どのように説明すればよいのやら・・・・)
「モンスターは人間の様に弱い生き物に対して、食料と認識して襲い掛かります。なので人間は休憩や睡眠している時にモンスターに襲われる事を恐れます、命を落としてしまうからです。
また、皆も知っているかと思いますが人間は簡単に死んでしまうし、一度死んでしまうと彼らの力では生き返る事ができません。なので、街の中にある宿屋はモンスターに襲われる危険が少ないのでお金を払って休憩をとります」
私は続けて補足する。
今度はトビマルが手を挙げる。
「はい、トビマルさん」
「街中が安全とは思えません。十分危険ですが・・・。」
「確かにトビマルにとって、街など簡単に破壊できるかと思いますが・・・人間界にはそれほど強いモンスターはいないはずです。」
続いてスケカクが手を挙げる。
「はい、スケカクさん」
「ゆきち様は何故私達に宿屋のお仕事体験をさせようと考えたのですか?」
「私達はこの人間界では魔力が強すぎます。全力を出せば後数日で制圧することも可能でしょう。しかし、私達とは違う文明を破壊してしまいます。
もしかすると私達の世界、エルフ族や魔族、龍族にとって有用な文明があるかもしれません。なのでまずは人間界のルールや文明を学ぶ為です」
と私は説明する。
折角来た、魔法と冒険の世界!簡単にクリアーしてたまるか!
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皆そろって、お母さんより宿屋の仕事内容について説明を受ける。
ジュリエッタは宿屋の掃除や料理の配膳をお願いした。
トビマルは魔族なのに!料理が出来るようで楽しんで料理を作っていた。(良い味に仕上がっているが・・・材料は知らない方が良さそうだ。」
カクスケは体力勝負!?で薪割りをやったり、水や荷物を運んだり・・・少年の遊び相手になっていた。
私?料理を手伝うと・・・言ったのは良いが学校の授業以外では包丁を使った事が無く・・・で
メルフィス姫より
「ゆきち様、万が一指を切ったダメージでヒットポイントがゼロになって死んでしまうと・・・・」
と言われ戦力外。掃除は何とか・・・・と思ったが、掃除機が無い!世界ではジュリエッタの魔法による掃除にはかなわない。
少年の相手は・・・・
「馬鹿が移る」
とジュリエッタの反対!なので指揮権の無い、現場監督として指揮をふるう形になった。
そんな私達の宿屋のお仕事体験だが・・・
私とジュリエッタで男性人気、
トビマルとカクスケは女性人気をつかみ、宿は大盛況!
そして4人ともお母さんの膨らんだお腹に興味津々。
エルフ族は体内に子供を宿すことなく、聖なる力によって体外に魔法で繭の中に次の世代を作る。繭から出た時はすでに大人に近い形になっている。
魔族は基本的に不老不死に近く、肉体はほぼ劣化しない。ただ、外的要因により肉体が滅んだ場合でも魂が滅ぶことがなければ肉体は復活するそうだ。
龍族もエルフ族に近く、聖なる力は繭ではなく卵に宿り・・・・大人に近い形で生まれてくるそうだ。
そして、全ての種族に言えること、生まれて又は復活したての肉体は魔力が少ないので・・・長い年月をかけて魔力を高めていくそうだ。
一方こちらの世界の人々は私がいた世界に似ている。
母親のお腹の中で赤ちゃんは育ち、出産によって生まれてくる。
そして時間の経過と共に赤ちゃんから子供、大人になっていく。
そんな自分達には無い、この人間界の生命の営みについて興味をもっているようだ。
トビマルは・・・・
「昔、腹を裂いて男女を当てるゲームをしたなあ・・」
と遠いい目をして怖い事をおっしゃっていたことはお母さんには内緒だ。
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