第14話 魔王討伐?

「メルフィス姫どうしましょう?」

目の前で跪く魔族の2人に気付かれないように私はメルフィス姫に問いかける。


「ゆきち様、私もこの展開についていけないのですが・・・・」

メルフィス姫も困惑している。


(う~~~~~んそうだよね!)

私は考えながら何気なく、魔王を見る。

頭を下げたままで顔を上げてくれない。


ボサボサ頭が目に入る。そして気がついてしまった。寝ぐせがあることを・・・・

寝ぐせを直すために頭に触れ、頭をなでなでする・・・。

髪の毛は見かけほど固くなくやわらかい!ただ、根性が入った寝ぐせのようでなかなか直らない。


魔王は最初『ビクッ!』と震えるものの、そのあとはおとなしく撫でられている

そんなにおびえなくても・・・・と私は考えたが・・・。


「ゆきち様、今何をしたかお分かりですか?」

メルフィス姫に質問される。


「え・・・・寝ぐせが気になって・・・・」

と言い、周囲を見渡す。


驚いた表情の長老と赤い龍がいた。

私は何かしでかしたようだ・・・。


その時、赤い龍が叫ぶ!

「危険なものがこちらに近づいてきます!」


私も本能から危険を感じる、メルフィス姫も感じているようだ。

赤い龍にまたがり、飛び立つように指示しようとするが・・・・体がゆっくりとしか動かない。

周囲にいる魔族と赤い龍の動きが止まっている。

時間が止まっているようだ。


そして目の前にある地面に魔法陣が浮かび上がる。

そして白いローブをまといフードを被っている人物が現れる。


この感覚は・・・・私は体験している。


フードから覗く髪の毛は紫色、赤い瞳は獲物を見つけた猛獣のように輝き、赤い唇をひきつらせながらが立つ女性。

聖なる力が見えない私でも白いローブでは隠しけれない怒りのオーラを感じる。


「勇者・ゆきち様、ご無沙汰しております。」

その場で”くるり”と一回転し頭を下げる女性。


「ジュリエッタ様、なぜここに?」

私は驚きと恐怖で声が出ない・・・・がなんとか震える声で答える。


「ゆきち様とメルフィス姫が素敵な事をしてくれたので到着が遅れました。」

とジュリエッタ様。

心の中でも敬称をつけてしまう私。


「何が起こったか教えて頂けますか?」

ジュリエッタは視線を地面に下ろす。

”座れ!”と目で訴えながら・・・

私は当然、ジュリエッタの前で正座をする。

そしてジュリエッタ様は私の頭を鷲づかみにして呪文を唱える。


そして私達を襲う、激しい痛み!

私とメルフィス姫は気を失う・・・。


GAME OVER 勇者ゆきちはジュリエッタに捕まってしまいました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る