第13話 魔族と対峙

私は赤い龍の背中にのり空を駆け抜ける!

これぞ魔法と冒険の世界!

龍の背中に乗って移動!

徒歩⇒地上を早く動く鳥にのる⇒空を飛べる鳥にのるor飛行艇にのる。

が冒険の鉄板だったはずだけど・・・・

この世界では序盤で早くも空を移動できる龍をGET!


このペースで物語が進んで大丈夫ですか?

どこぞの世界にいる誰かの心配をする。


ただ私の眼下には何もない荒野が広がる・・・・のみで移動してる感覚が無い!

私が知らない間に起こった大惨事とはいえ酷いものだ。


「私が知らない間?」

メルフィス姫からツッコミが入った。


「勇者様、魔族の街が見えてきました」

赤い龍が教えてくれる。

龍が向かう先に建物が見える。

赤い龍はスピードを上げ、街に近づく・・・・


赤い龍は街の真ん中にある広場?跡に降り立つ。


私は龍の背中から降りて周囲を見渡すが・・・・

上空からは分からなかったが街の建物は所々崩れている。

建物はレンガを組んで作った3~4階建てになっている。

進んだ建築技術を持っていたようだが・・・・今は手入れがされていないようで、かなり傷んでいて所々崩れている。


「誰かいますか~~」

私は叫んでみたが・・・・返事はない。


「勇者様、魔族は3年前、不可侵を破り侵攻したことの罰として、女神様はこの街に住んでいた魔族達を消し去りました。」

赤い龍が教えてくれた。


「この街に住んでいた者達すべて・・・・・女神様!怖い!!」

メルフィス姫に言うが・・・・


「私はゆきち様の方がよっぽど怖いです!」



迷いの森で起こった大災害について、その情報は魔族にも伝わっていた。


そして、残った魔族が一か所に集まって今後について話し合いをしていた。

ただ、話し合いとはいっても・・・・どのように勇者の許しを請うか。


龍族とは違い、魔族は直接、『聖なる光』で被害を受けている。

勇者がやった所業だと誰もがわかっていた。


魔族といっても2種類いる。

肉体を持つものと持たざるもの。


肉体を持たざる者・・・・術者によって異世界より召喚され、この世界で活動するには肉体が必要となる。生贄として術者が肉体を提供すれば、活動ができるようになる。


肉体を持つ者・・・・・この世界に肉体を持って誕生し、生活をする魔族。魔法を使う力を体内で作りだす。メルフィス姫達の一族は聖なる力を使うが魔族は使えない。



肉体を持たざる異世界にいる魔族が上位となり、肉体を持つ魔族が下位となる。基本的に異世界の魔族の指示で下位の肉体を持つ魔族が行動をする。

人間の現在社会で言えば・・・・肉体を持たない魔族が人間、肉体を持つ魔族が道具。

道具に許される行動は2つしかない。

進んでやるか?、やらされるか?


先の戦いも、異世界より来た魔族がアンデットを作りだし・・・・戦争を始めた。

それに追随する形で肉体を持つ・・・・この話し合いに集まっている魔族が参加させられて・・・・聖なる光の罰を受けた。


今、長老が魔族のトップとなっている。

この世界の魔王も3年前に一度滅び、今転生しているが・・・・まだ幼く、体は成人と変わらないほど成長しているが魔力は外見に追いついておらず・・・・勇者と戦えば瞬殺されてしまう。


「我々はこれ以上勇者と戦い、被害者を出すことはできない!」

長老は叫び、頷く魔族達・・・・


「先の大戦で我々は絶望的なほどの被害を出し、住んでいた街も維持できずに地下に籠り隠れて生活している。」

長老は語る。


「今、勇者は我々を探しているそうだ。先日、迷いの森で起こったことは、皆が知っているであろう、聖なる光、あれは我ら魔族に対する警告である。逆らったらどうなるか・・・3年前の再現になると・・・」


「私は提案する。私と転生した王、二人で勇者に会いに行こうと思う。」


「そして勇者に乞う、2人の命と引き換えに魔族討伐を許してもらおうと」

魔族達の泣き声がする。長老と王の命を勇者に差し出さなければならない、それは絶対的な力の前にひれ伏す以外に選択肢がないことを・・・・



(魔族・・・・いないのかな・・・・)

私は不安になる。

私がこの世界に転移した理由、それは『魔王討伐』

討伐さえしてしまえば、この世界とはおさらば!

今までやってきた所業を考えれば・・・・ジュリエッタからのお仕置き?は必須!

なんとか討伐して元の世界へ逃げなければ!


「誰か来たようです」

赤い龍は私に教えてくれる。


地面に魔法陣が浮き上がり・・・・

2人の魔族が現れ、私の前に跪く。

ジュリエッタが教えてくれた作法にあった、服従の姿勢だ。


「勇者様、お願いがあります。」

下を向いたまま、片方の魔族が私に話しかけてきた。


「・・・・・・」

私はジュリエッタに仕込まれた作法にあった、初対面の方と会ったときは微笑み!

を実践しながら無言のまま頷く。


「私は魔族を束ねる長老、そして隣にいるのは、転生した我らが王でございます。」

といい顔を上げる。


長老と名乗った魔族は、目尻や顔に皺があり、頭からフードを被っているので体格は分からないが背中が曲がっており年配と思われる。

一方、王と紹介された王は・・・・髪の毛はバサバサだが、目は黄色で鋭い感じがする。目筋は通っていて色黒だが細面のアイドル顔!上半身はTシャツのような服装で胸元がV字に開いている、下半身は長ズボンをはいている。

体は筋肉質のようで胸のVラインからか胸筋、腹筋はシックスパッド、太ももの筋肉もすごく、着ている服装もボディーにピッタリとしているので余計筋肉が引き立つ。細マッチョといった感じだ。


長老より、魔王の説明が細かい?

そりゃそうでしょう!魔王はいい男だもの!


「勇者よ、我々を探していたと聞いております。」

長老がしゃべる。

しかし私は長老に視線を移すことなく、キラキラした目で魔王を見てしまう。

魔王は照れたのか私から目をそらす。

(かわいい♪従弟の小学生男子を見ているみたい!)


「なぜ我々を・・・・?」

魔王がしゃべる。

声も可愛い!!

でもダメ、私は落ち着いた声でしゃべる。


「私は女神様より魔王討伐の命を受けております。」


勇者!実物を見たが恐ろしい。

赤い龍を従える勇者、我ら2人と対峙しても全く動じることなく・・・。

氷つくような冷たい瞳に口だけ微笑んだ顔で我々を見下ろす。

私の背中は冷や汗で塗れている。

王の横顔を見たが・・・・王は勇者に睨まれて直視できず、顔を下に向け恐怖に震えている。


長老である私は魔族の話し合いの中で打ち合わせをした。


1.話をして勇者を煽てて気分を良くしてもらい、引き返してもらえれば・・・・


2.あんな凶悪な魔法を使える勇者には魔族が束になっても勝てない、勝てる見込みがあれば王の体力。なので交渉中、勇者に油断があれば不意打ちの体力勝負をする。


3.油断が無い場合、王と自分の命と引き換えに勇者に許しを請う


魔力では私も王も勇者には勝てないが、不意打ちの体力勝負であれば王にも勝機が1%はあるかと思ったが・・・・。

私が話しかけても勇者は一瞬たりとも王から目を離さない。あれだけ警戒されていては・・・・しかも勇者が来た理由が「魔王討伐」、はやこれまでか・・・・・。


「魔王討伐ですか・・・・」

私は震える体を気付かれないように声を絞りだした。



ゆきちは2人を見ながら考えていた。

2人は完全に戦意を喪失している。

女神様より魔王討伐と言われたけど・・・・。

この2人を討伐したら・・・私が魔王!?


今日からマ王・・・・気になるフレーズだが・・・。

さあ、どうしよう?

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