第12話 龍族襲来?
雲一つない空、太陽は何事もなかったように”ゆきち”を照らす
周りを見渡すが・・・遠くに見えていた山々も綺麗になくなり・・・・見えるのは地平線と、ゆきちの影があるのみ。
ゆきちとメルフィス姫・・・・無言を歩く。
そんな中、遠くから何か飛んでくるのが見える。
よく見ると龍!かなり遠くにいるようだが巨大な体であるのがわかる。
(世界樹が言っていた次のボス戦闘かな?)
しかし、先のボス戦、私は勝ったのに龍を攻撃できる”ドラゴンなんちゃら”は手に入らなかった。
どうしよう!
とりあえず情報収集を・・・・。
「メルフィス姫、この世界で龍の存在とは?」
私は脳内で話しかける。
「はい、世界樹様が決めた世界の規律を守る守護神と言われています。群れで行動し、集団で襲い掛かります。体は固い鱗に守られ、傷がついても直ぐに治る回復力、特殊な攻撃以外効果はありません。敵に回してはいけない生物です。」
・・・・・
(世界樹はちょっとした手違いで・・・・遠い世界にお出かけしてしまった・・・。今度は龍と戦う?私は龍の鱗を貫く武器・・・・”ドラゴンなんちゃら”を持っていないぞ・・・!。まずい!まずい!まずい!!)
遠くに見えた龍は私達に近づいてくる・・・なんだかフラフラ飛んでいる?。
さらに近づいてくると・・・巨大な龍の全体が良く見える・・・・が、片手、片足が無く、鱗は殆ど剥がれていて骨が見えている所もある。大怪我をしているようだ・・・。
龍は私より少し離れた所に着陸したが・・・・その巨大を支えることができないのか力なく倒れてしまった。
私は、龍に静かに近づきながら剣を抜く
・
・
・
・
龍族の長老は世界樹と話をつけ、再度、魔族へ勇者討伐の説得から戻っている最中。
迷いの森の方角に黒い影でが見える。
その影は種類ある龍族より主に戦闘を担当する先鋭である龍達が勇者討伐の為、迷いの森に集結、上空を旋回していた。
その数は数千を超え、長老の到着を待っていた。
遠方から見ると、うごめく黒い影、巨大な龍を思わせた。
(魔族は勇者を恐れていたが、龍族がこれだけの数が集まれば勇者といえども・・・・魔族も腰抜けになったものよ!)
長老はこれから起こる戦闘にも勝てる!そう思い微笑んだ。
しかし、迷いの森より発せられた強烈な光が全てを打ち壊す。
最初に、上空で旋回していた龍族を襲う。
続いて、龍の長老に向かってきた。
きっと本能がしらせたのであろう今まで経験したことのない嫌な予感がしてとっさに急旋回し、光から逃げる。
本来龍族が敵に背中を向けることはない強靭な鱗をもち、ケガをしても優れた回復力を持つからだ。
しかし長老は逃げた、迷うことなく・・・しかし強烈な光は長老の体を襲う。
「ぐあ~~~~~」
生を受けて今まで一度も感じたことのない強烈な痛みを感じながら光から逃れようと全速力で光から離れようとする。
長老の体に張り巡らされた強靭な鱗でも強烈な光を防ぐことが出来ず、鱗は一瞬で蒸発、皮膚、そして肉をも溶かしはじめた。
本来あるはずの木々も山も、強烈な光により溶けてなくなっていた。
当然、勇者討伐に参加する為集まっていた龍族たちも・・・。
しばらくすると光は収まり、今度は強烈な風と爆音が長老を襲う。
長老は耐えることが出来ずにその風と爆音に飲まれ吹き飛ばされる・・・・。
何時間経過しただろうか?
長老は意識を取り戻す。
周りを見ると森も山も全て無くなり、地平線まで続く荒野・・・。
なぜか痛みは感じない・・・。
そして自分の体を見て愕然とする。
強く光りに長く当たった右手、右足は無くなっていた。
強靭な鱗は無くなり、肉もほとんど解けて骨が見えていた。
長老は回復を待った・・・・が龍族の力である脅威てきな回復力が一切働かず・・・・怪我の状態は何時間経っても変わらなかった。
そして龍族の長老は悟った・・・・手を出してはいけないものに触れてしまったと・・・・。
・
・
・
・
「勇者様・・・・お話のお時間を頂けませんか?」
龍は苦しそうに話しかけてきた。
「メルフィス姫・・・・どう思います?」
私はそんな龍を注意深く見守りながら脳内で話しかける。
「ゆきち様、龍は大怪我をしているようです。戦う意志もないようですし・・・・お話を聞いてみては」
メルフィス姫は答える。
確かに戦う意志はなさそうだ。
私は龍と戦う度胸も武器も無いし・・・お話すれば戦闘を避けられそうだし!
「分かりました。お話を聞きましょう」
私は静かに龍に話しかける。
ジュリエッタに仕込まれた作法の中にあった微笑を浮かべる。
戦いたくない心を読まれないように・・・。
「私は南の森で龍族の取りまとめをしていた長老だったものなり」
「長老だったもの?」
私は質問する。
「はい、私は南の森にいた龍族の長老だったもの・・・・無謀にも勇者様を攻撃しようと他の龍族や魔族に話しかけ勇者様の討伐を準備をしていた・・・・だが強烈な光に・・・飲まれ・・・」
龍族の長老は言葉に詰まる。
「強烈な光はすべて飲み込み、龍族の精鋭たちは消し飛びました。私は他の者より遠くにいたので即死は免れたが手と足を失った。龍族は世界の規律を守る守護神として優れた回復力を持ち無敵を誇ったが・・・強烈な光にて引き裂かれた我が体はご覧いただいた通り、回復できず、生き恥をさらしています」
「・・・・・・」
私は考える。
「メルフィス姫、強烈な光?・・・・私は関係ないですよね?」
「ゆきち様、『強烈な光』イコール『聖なる光を!』です。関係有です。大惨事の中心人物!主犯、元凶です。」
メルフィス姫はさらっと教えてくれた。
「私は剣を掲げて空に向かって「聖なる光を!」と叫んだだけ!そんな威力があるものなんでしらない!」
「ゆきち様、『知らない』では済みません!『聖なる光』と叫んだ時、周囲には世界樹様や妖精など聖なる力が沢山集まっていました。その力を全て吸い取り凶悪な魔法を”ゆきち様”が使い、”ゆきち様”によって”大災害”が引き起こされました。これはその”大災害の一部”です!”自覚してください!!”」
とメルフィス姫に怒られた。
””までつけてそんなに強調しなくても・・・なんとなくは・・・・分かります。
私が起こした大災害とは言っても不可抗力!天災では? と、私は言い返したいが・・・・何もいえねえ・・・・。
「私が生き恥をさらして勇者様の前に参上したのは、長老である私の命で、生き残った我ら龍族を許していただきたいからです。」
長老は頭を地面につけ、目を閉じる。首を落とせと言わんばかりに・・・。
「・・・・・・」
「メルフィス様!どうしましょう!」
メルフィス様に助言を求める。
「一応情報として・・・・世界樹を殺し、龍族の長老をも殺せば、ゆきち様は凶悪人として・・・・」
「STOP」
メルフィス姫の会話を止める。
私は灰色の脳細胞をフル回転で考えあることを思いつく。
「龍の長老様、私も強烈な光にびっくりしたのです。」
しれっと言ってみる。
「強烈な光?びっくり?」
長老は目を空け私を見る。その目は100%疑いの目・・・・。
「はい、世界樹様とお話をしている最中、私達も襲われたのです。強烈な光に!」
私はジュリエッタに仕込まれた、泣く仕草をする。
「そして世界樹様は私を守るため、光に立ち向かい・・・・」
すすり泣く・・・・そして倒れる。
(どうだろう・・・・)
鳴き真似をしながら薄目を空けて長老の様子をうかがう。
「ゆきち様、それは都合がよすぎるかと!しかもこのやり方では・・・・」
とメルフィス姫。
「お静かに!」
私はメルフィス姫に答える。
龍の長老は考え事をしているようだ・・・・。
そして私の迫真の演技?であるウソ泣きを続ける声以外聞こえない時間が過ぎ・・・・。
「勇者よ疑ってすいませんでした。大変失礼いたしました。」
といい、龍の長老は顔を上げ、そして下げた。
「疑いが晴れて何よりです。龍の長老様、世界樹様にお祈りを差し上げたいのですが・・・・ご一緒によろしいでしょうか?」
私はジュリエッタに教わった、お祈りのポーズをする。
龍族の長老様も一緒にお祈りをしてくれた。
「私はこれから魔族の王に会いに行きたいのですが・・・・場所を教えて頂けますか?」
と聞いてみる。
長老は少し考え、
「分かりました。龍族の者に案内をさせましょう」
といい、空に向かって雄たけびを上げる。
しばらくすると、遠くからすごい勢いで飛んでくる赤い龍が見える。
そして赤い龍は私の前に降り立ち、頭を地面につける。
「メルフィス様・・・気になったのですが・・・龍族が頭を地面につける行為これは服従?ですか?」
「ゆきち様、龍族は偉大な一族、服従させたものは、この世界が創生された時より誰もいません!そんな瞬間に私は不本意ながら立っています。」
メルフィス姫に断言されてしまった・・・。
赤い龍の背中になるように長老に案内され・・・・私が乗ると赤い龍は羽をはばたかせ上昇を始める。
「勇者様を魔族の長老へ案内するように!」
と赤い龍に伝える。
赤い龍は頷く。
「勇者様、世界樹様の仇を打つ時、我々龍族にもお声がけください!私はそれまで体を休めて来る時、決戦に備え、ここで眠っております。」
と言い、長老の下に魔法陣?が浮かび上がり、その中に体が消えていく。
「分かりました。仇を打つ時、長老のお力をお借りいたします。」
といい、ジュリエッタに教わった、約束のポーズをする。
龍族の長老も同じ仕草をして・・・・。
「共に協力して討とう、世界樹様の仇である凶悪魔導士ジュリエッタ!」
と叫び長老は魔法陣に消えていった。
「え?なんでそうなったの!」
私の叫びに答える事なく・・・。
ぴろりーん
勇者ゆきちのレベルが上がった。
ヒットポイントが上がった。
特殊技能 三文芝居 を覚えた。(度胸+修正)
ジュリエッタを悪役にしてしまい、バレた時のお仕置きに恐怖を覚えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます