第8話 楽勝な冒険ライフ

ざしゅ!

又モンスターを退治した。

今回の獲物は4mを軽く超える鹿のような生き物だ。

私ってすごい!?


「ゆきち様勝ちましたね!」

メルフィス姫が喜んでくれる。


「大物を仕留めたけど・・・・重いから置いて行こう!」


(日が暮れてきているからここで野営しよう)

私のヒットポイントはジュリエッタとの特訓の成果むなしく、15と子どもレベル以下・・・・

ジュリエッタの特訓で何日も走ったりしたので基礎体力は上がっているはず・・・・やはり精神的な問題だろうか?


でも大丈夫!

メルフィス姫の伝説の防具に守られ連戦連勝を重ねている。

流石伝説の武器、振るだけで当たらなくても勝手に魔法が発動!先ほどのように一刀両断にしてくれる。

防具も、オーラのような光が出ていて敵を寄せ付けない!なのでそこら辺のモンスターの攻撃は当たらない。

しかも魔法攻撃も効かないそうだ。

私が寝ていて意識が無くても大丈夫。寝込みを襲われてもオーラ?が出ていて近づけず安全です!


ロールプレイングゲームで最初に強力な武器を渡さない理由がわかります。

今の私のように経験値を稼ごうと思いません!


食事は川に剣をつければ電撃が起こり魚が浮ぎあがってきて取り放題!

今日も豪華な食材が集まった!

飢餓や睡魔に勝てるスキルは持っているが・・・・わざわざ使うことはない!

大物は持ち運べないし解体も出来ないので今日も魚パーティーだ!


とは言ってもただ焼くだけ・・・・

前世では料理は両親が準備してくれていたので私は調理が出来ない!・・・・

メルフィス姫も立場上食べる専門なので作り方は分からない!

前世界の料理知識をこの世界再現、紙を作り料理本を出して一儲け?だれですかそんな夢物語を語っていたのは・・・・


焚火を一人で起こし(これは異世界転移しても大丈夫なように練習した)魚に木の棒をさして焼く・・・・一人焼肉もとい一人焼き魚・・・・

一人ならさみしいが心の中にはメルフィス姫がいる。

独り言が多く、周りから見ればひとりごとの多いやばい人だが・・・ここには誰もいない!

ジュリエッタ風に大丈夫だ、問題ない!


「メルフィス姫に教えてほしいことがあります。」

私はメルフィス姫に脳内で話しかける。


「ゆきち様、どうしました。」

とメルフィス姫。


「3年前の魔王討伐についてなのですが・・・・」


「どこから話せばよいのやら・・・・。」

メルフィス姫は語り始めた・・・・。


今から3年前・・・・

魔族とエルフ族の我々との間には不可侵の契約があり、お互い不干渉が原則の中で魔族が侵攻してきた。

今までは、魔族と我々、力も数も拮抗しており、争いにならなかった。

ただ、3年前の前・魔王は秘術をもっていた。

死体を死人兵・アンデット兵として兵隊にすることができたからだ。

魔王軍は先に北方から死人・アンデット兵を投入した、

本来魔族は南側の森に棲んでおり、北方は本拠地から遠いエリア、完全に魔王軍が侵攻していたことに気が付いていなかった。

始めは少数だった魔王軍だったが各国の戦争で戦死した、私達の仲間を死兵・アンデットとして生き返らせ、前線に投入、数を増やしていった。

各国はしがらみがあり個別で、死人兵・アンデット兵と対峙し苦戦し惨敗、死人兵・アンデット兵その数をどんどん増やしていた。

追い詰められた各国は魔王軍に反撃すべくやっと団結、ビザンテ帝国の帝都にエルフ族に残存するすべての戦力約5万を集中させた、


アンデット兵は日中は行動が出来ず、侵攻が遅かった為、我々は北部戦線を放棄、逆に南方にある魔王軍の本拠地を叩く決断をする。


魔王軍もその動きを察知し、死人・アンデットではない、魔族中心の軍約8万で応戦する為、ビザンテ帝国、帝都へ向かい集結させた。

ビザンテ帝国の第1陣が帝都へ攻め込む時、最強の魔導士ジュリエッタが禁止呪文である、空間圧縮魔法を詠唱、エネルギーを一点に集中させ、それを開放、巨大な地響きと熱風を発生させ、魔王軍の第1陣であった1/3を焼き払った。その魔法は凄まじい破壊力があり、爆心地を中心とする約20kmは焼け野原となり巨大なクレーターが出来た。


その悲惨な光景に魔王が直接指揮する第2陣の指揮系統が混乱、我々が逆に攻めるチャンスではあったが、その悲惨な光景は味方の指揮系統も混乱させた。

その混乱の中、魔王自身が単身わが軍に突撃してきた。第2波として同じ呪文を詠唱していたジュリエッタを見つけ詠唱が終わるまでがチャンスと思ったのだろう。

詠唱途中で動けないジュリエッタに襲い掛かり・・・ジュリエッタは避けることが出来ず命を落とした。


そして我々エルフ族は総崩れとなり、残存兵は帝都に籠城。私は小さい頃より病弱であったため、その戦いには参加していなかったのですが、療養していた叔父が統治する都市へも死人・アンデット兵が迫っていました。


そしてついに私がいる都市を守る外壁に死人・アンデット兵襲い掛かり、防衛部隊もがんばったのですが・・・数には勝てず、敵が侵入、場内に悲鳴が響きわたる中、私の前に女神様が降臨されました。


降臨後は今の私と同じように体の自由はありませんでしたが・・・・目を通じて感じた記憶は残っています。

女神は降臨後、最初に両手を上にあげ、今使っている聖なる武器と防具を精製し、装着して魔王の前に瞬間移動しました。


目の前にいる魔王は身長5メートルはあったでしょうか・・・。頭からは2本の角が生えており、肌の色は黒く、赤い顔に黄色い2つの瞳、口からは牙がでていた。

魔王は突然現れた私に驚きながらも私の体をつかみ、握りつぶそうとする・・・。

しかし女神様は気にすることなく・・・・空を見上げ・・・・


「聖なる光よ・・・・。」

と詠唱すると・・・・私の頭上に大きな光の塊が集まりはじめ・・・・数秒の後、光が弾け、周りが真っ白になった。

目が慣れてくると・・・・目の前にいたはずの魔王とその軍隊は消え去っていました。


魔王の死により死人・アンデットとなっていた我が同胞呪いが解け蘇生の魔法が効くようになり、蘇生され元の姿にもどっていた。

(この時、ジュリエッタも死人・アンデットとなっていた)


そして、今度は女神様が魔王軍の首都に瞬間移動。魔族の首都にも女神による聖なる光が落とされ・・・・魔族のほとんどが蹂躙されたと聞いている。


女神様は魔族に戦う意志が無いことを確認すると、私の体から離れ・・・・いずこかに戻って行かれました。


これが3年前の出来事です。

その後、体力がない私の教育係としてジュリエッタがつき・・・・ゆきち様が体験された特訓で3年の月日が経ち、強くなりました。



ジュリエッタの国土を吹き飛ばす魔法も酷いが、女神様の容赦のない魔法?も酷い!

一番の被害者は魔王以外の魔族の方々?

今回の転生について、女神様に文句を言うのはやめておこうと思った、ゆきちだった。



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