第5話 ジュリエッタの協力

ジュリエッタと今後について話し合っている。

話題は私のステータスがメルフィス姫より低い事について、


「メルフィス姫の能力があればいつ襲われても大丈夫ですが・・・今のゆきち様の能力が多少弱くなっているので今、敵に襲われると命に係わる・・・・と」

とジュリエッタ。


「はい・・・」

うなずく私。(”多少”弱いでは無いけれど・・・)


「そこでご相談なのですが・・・・しばらくの間、ゆきち様にはメルフィス姫として過ごしていただく事は可能でしょうか?ゆきち様が経験を積み、強くなったら改めて勇者として名乗っていただく・・・・当然、私もお手伝いいたします。」


「でも、私のステータスが低くても大丈夫なの?」


「メルフィス姫はレベルMAX、この世界では最強の戦士であり名声もあります、挑んでくる命知らずはいません。挑んできたとしても聖なる武器や防具、その他多数の品物を持っています。それを装着すれば、”多少”弱くても大丈夫です。私も及ばずながらお守りいたします。」

ジュリエッタは”エッヘン”と胸をたたいた。


「聖なる武器に防具?」


「はい、周りに集まっている聖なる力の強さによって数値が代わります。ゆきち様の周りにはまぶしいほどの力が集まっていますので、剣の力で敵は一刀両断、防具に於いてはオーラを放っていますので敵は近づく事さえできないでしょう!」


確かに・・・・ステータスの能力値は私以外、この世界ではメルクス姫以外、誰もでも見る事ができないようだ。

であれば、メルフィス姫のレベル99の世界最強の力との名声に聖なる武器に防具があればだれも挑んでこない・・・・。

戦わずして勝!私、安全じゃない!


「ただ、今のままでは転生したばかりでレベルも下がっているでしょう。それについては私がご協力させて頂きます。」


「痛いのは苦手ですが・・・・」

と私。


「大丈夫です。痛みが無く、短時間でレベルを上げる事ができます!」


「本当に!?」


「はい、メルフィス姫様で実証済み!」

とジュリエッタ。


「分かりました。ジュリエッタの提案にのりましょう!」

と言うとジュリエッタは一言つぶやき私に手を差し出す。

私も手を差し出し握手する。


その時、私の手が光り、手首に白い線が入った。


「ゆきち様、今の握手で契約が結ばれました。」

と明るい声のジュリエッタ。


「あ~あ」

とメルフィス姫の声が脳内に響く。


私、騙された!?

「さあゆきち様、早速、訓練をしましょう!まずは姫として恥ずかしくない姿勢矯正から、挨拶作法、ダンスや音楽などの芸術など、社会情勢に歴史も必要かしら~」


「ただ、時間がありませんので、詰込みで行きましょう♪大丈夫です。魔法の主従契約で縛ってありますのでゆきち様は拒否できませんのでご安心ください。」

と上機嫌ジュリエッタ。


「なにそれ!私は簡単に短時間でレベルが上がる方法を知りたいのだけれど・・・・その前に主従契約?どちらが主?契約内容はとうなっているの?」

と私。


ジュリエッタは微笑みながら・・・・

「ゆきち様は勇者なのですから些細な事は気になさらずに・・・・そうそう、前に申し上げた通り。私はスパルタで体に教え込むような野暮な真似はしません、外傷の痛みは時間が経つと忘れますから!・・・だけれど安心してください!私のやり方であれば忘れなれないように魂に刻み込みますので大丈夫です。!」


「え・・・魂?なにが安心でなにが大丈夫なの?」


「大丈夫です!私に全てを任せて!身をゆだねてください!大丈夫です!」

とジュリエッタは赤い瞳で私を威嚇する。


私はその赤い瞳でこれから始まるであろう未知なる恐怖で力なくベットに倒れる。早速、特殊能力である体調不良が発動と思ったが・・・・。


「ゆきち様、安心してください。特殊能力も眠気も食欲も全て契約で縛りましたので発動しません。ゆきち様の御希望通り、短時間で仕上げて差し上げます。」

とジュリエッタは、口角だけを上げて微笑んでいる。


「新しい玩具を手に入れた時の顔だ・・・・」

とメルフィス姫の声がした。

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