第2話 最強?の勇者誕生
私はベットの中で寝返りを打つ。
窓から差し込む光。
明るさで目が覚めた。
いつの間にか眠っていたようだ・・・。
ベットから上半身を起こすとあくびをして目元を手で押さえる。
体が軽い!胃痛も治ったようで気分が良い。
「これなら今日の入学試験は大丈夫かな?しかし変な夢をみた・・・。」
昨日見た夢を思い出す。
試験前で大変な時に白い空間にいきなり呼ばれて狸のぬいぐるみから私が”勇者ゆきち”?になって魔法の冒険の世界?を魔王から救う?メルフィス姫?
と夢に文句をつけていると・・・・。
「はい・・・。」
頭の中で声がする。
目元を抑えていた手を下ろし慌てて周りを見渡すと・・・・誰もいない。
目の前には漆黒のでかいベット、表生地には豪華な刺繍。天井まで宝飾が施されている広い部屋、明らかに四畳半の私の部屋とは違う!
慌てて自分の体を見ると、大きな胸が目の前に・・・・
震える手で胸を触ると感触が・・・・続いて自分の顔を触るとふっくらとした頬っぺたはなく・・・・
私は慌ててベットから立ち上がり傍にあった鏡をのぞき込む・・・。
そこには黒髪丸顔、ストーンぽっちゃりな見慣れた私の姿ではなく、夢の中でみたメルフィス姫の姿がそこにあった。
(まだ夢の続きをみているのか・・・)
と思っていると・・・
「勇者ゆきち様、はじめまして、ルール・ビザンテ・メルフィスと申します。ゆきちにはビザンテ帝国を魔王より救ってもらうため、来て頂きました。」
と又、頭の中で声がする。
「来ていただいた?魔王?」
と私が質問すると・・・・
「はい、3年前に女神様が私の体を使い魔王を消滅させたのですが、数ヶ月前より別の魔王が誕生、その魔王を封印する為に勇者様にお力添えを頂きたく・・・・。」
と声がする。
私・・・・どうやら本当に魔法と冒険の世界に来てしまったようです・・・。
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「姫様・・・・」
私を呼びかける声がする。
声がする方を見るとメイドさんがいた。
ピンクの髪、顔は無表情。両手でお盆を持ち、上にコップが乗っている。
「ゆきち様、彼女はアリス、昔から私の面倒を見てくれる侍女。」
と頭の中でメルフィスが説明してくれる。
「ありがとう、アリス」
私は、アリスからコップを受け取り中に入っている液体を飲む。
(苦いような微妙な味・・・・。この世界の食事は美味しくない?、以前小説でよんだ、前の世界での知識を生かしておいしい料理をこの世界で再現、紙を作って料理本を作り・・・ぼろ儲け!。
いやいや、メルフィス姫の能力は高いのだから魔王退治は置いておいてこの世界を満喫するのもありかな~
なんといっても帝国の姫様だしアリスという侍女もついている!
権力者の悪女に転生しなくても贅沢し放題!?・・・・と考えていると
「勇者様は前の世界で剣技など学ばれていたのでしょうか?」
メルフィスから・・・・申し訳なさそうな声。
「へ・・・・なんで??」
「勇者様の能力、だいぶ低いようなのですが・・・・」
私はパラメータを確認すると・・・・・
勇者ゆきち●レベル 1 ⇒(ルール・ビザンテ・メルフィス●レベル99・MAX)
ヒットポイント(HP)5 ⇒(10万・MAX)
マジックポイント(MP)0 ⇒(1万)
防御力 1 ⇒(5万・MAX)
攻撃力 1 ⇒(5万・MAX)
特殊技能 体調不良、単純(考えなし、反省なし) ⇒(居合切り、攻撃属性付加、属性完全御防等・・・・・多数)
属性 なし ⇒(万能:光・闇・炎・氷・雷・空間・重力・・・)
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何このパラメーター!
ヒットポイント5ってどのくらい?
特殊能力 体調不良、単純・・・なにそれ!悪口じゃん!馬鹿にされている?なにに使うの?ありえないくらい慎重とかないの!?
・・・・私、弱くない!?
わたしはパラメーターを見ながらおそるおそるメルフィスに聞く・・・・
「メルフィス様、ヒットポイント5ってどのくらい?」
「ゆきち様、申し上げにくいのですが・・・・町民の子供でも生命力ヒットポイントは50あるので、赤子以下かと・・・」
「・・・・・・・」
まさに絶句する私。
おいコラ狸!この世界最強の人材を用意してくれたのではないのか?
勇者なのに赤子以下とかありえなくない!?
今すぐ白い空間に戻って狸のぬいぐるみに蹴りを入れて仕留めてやりたい!
と怒りで震えている・・・・
そんな中、特殊能力、体調不良が発動したのか快調だった体が重くなり力なく床に座り込んだ。
今、世界最強⇒最弱になった勇者・”ゆきち”が誕生した。
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