最弱勇者「ゆきち(女子)」の異世界見聞録
真矢
第1話 勇者召喚
みなさんは本番で実力を発揮できるタイプですか?
私は昔からプレッシャーに弱い。
幼少の頃、両親や姉から音痴と言われて、習い始めたピアノ。
ピアノの練習では、友人と比べても演奏技術は負けていない。
ただ・・・・ピアノの発表会は本番前におなかが痛くなり・・・が最初だった。
その後、プレッシャーがかかる場面になると体調が悪くなる。
なぜって?
私は人の前に立つのが苦手だから。
人の視線が集まる中ピアノの演奏?運動会でリレーの選手?・・・・
失敗したらどうしよう!
心配で眠れない・・・。
プレッシャーが無ければピアノだって上手だし、走るのだって早い方だ。
勉強だって出来る方だ(自分評価)落ち着いてやればできる子なのに!←言い訳ではない!
なぜプレッシャーに弱いのか?理由は分からない・・・。
最近は学校の成績も試験期間になるとなぜか生理不順とストレスによる胃痛も重なり試験に集中できすに結果を残せない。
今は、中学校3年生の3月、はっきり言えるのは、高校受験で学力としては大丈夫と思われた学校にも落ちて、行く高校が決まっていない大変危険な状態であることだ。
欠員がでた2次募集を行っている学校(選べる状況でない)に出願し、明日が入学試験、学力と面接にて判断されるが成績としては大丈夫なはず・・・・だが
(今度こそ大丈夫か?)
両親や姉の心配とそれに答えようとする・・・・今、プレッシャーによる猛烈な胃痛に悩まされている。
胃痛を押して机に座り少し前まで参考書を見ていたが・・・・胃痛が気になって頭に入らない状態。
なので明日に備えてベットに潜りこみ・・・3時間経過、時間は24時近く・・・。
21時にはベットに入ったので3時間ほどゴロゴロしている。
明日は7時に起きて準備・・・指を折って『寝れる時間は7時間・・・』そう思うと余計に頭が冴えてきて・・・・の悪循環。
今までの試験前日と同じ流れになっている。
『このままではいけない!トイレに行って…』
とベットから上体を起こし、足を床に下ろして、起き上がった瞬間、目の前が白くなる。
そして・・・・倒れて意識を失った・・・・。
・
・
・
・
「勇者『ゆきち』起きなさい」
遠くから男性の声が聞こえる・・・・
私は気にせず寝返りを打つ。
「勇者『ゆきち』起きなさい」
声が大きくなった・・・・ちょっと怒っている?
私は、体を起こし、目を空ける・・・・。
「まぶしい!」
目の前が真っ白になったが、目が慣れてくると周りの状況を確認する。
今までいた自分の部屋とは違い、何もない真っ白な部屋?空間にいた。
周りを見渡すと・・・狸のぬいぐるみ?が座っている。
大きさは50cmぐらいだろうか?しっぽが30cmぐらいあるかわいい感じだ。
「勇者『ゆきち』返事をしなさい!」
男性の声がする方向に狸のぬいぐるみ・・・。。
「何をしている『ゆきち』」
・・・・・
狸のぬいぐるみがしゃべっている?
なにこの不思議な展開?
その前に・・・・。
「すいません・・・・『ゆきち』って誰ですか?」
私は質問する。
「この空間には『ゆきち』と私しかいないはずだが・・・・『ゆきち』には他に誰か見えるのか?」
不機嫌そうな狸のぬいぐるみの声・・・。
(私が聞きたい!なんで怒られなければいけないの?)
「私は怒ってなどいない。機嫌が悪いだけだ!」
と狸の声
(???私の考えがわかるの?)
「・・・君は頭が悪いのか?」
(たしかに入学試験では結果を出せていないし、中学校での成績も・・・・良くない。ただ、理由を言わせてもらえれば試験になると体調が悪くなり、試験に集中できない為だ)
「それとも鈍感なのか・・・・」
と狸。
私が言い返そうとすると・・・
「言わなくてもいい、「ゆきち」と私は君の世界でいうテレパシーで通じている。だからしゃべろうとしなくても大丈夫だ・・・ただ今は「ゆきち」に割いている時間は無い。手短に済ませたいのだが・・・・『ゆきち』から聞きたいことがあるか?」
とイライラしたような声。狸のラブリーな外見からは想像できない声だ。
私は・・・・
「なぜ私がここに?」
「本来、女神を呼ぶはずが、(忙しいから代わりに『ゆきち』に・・・)となったから、不本意ながら『ゆきち』を勇者として召喚した。」
と狸の声。
「勇者??召喚??」
混乱する私。
「『ゆきち』よ勇者として、転生し、今いる空間とは別の空間にある異世界を魔王より救ってほしい」
「異世界?とある・・・世界?」
「そうだ、『ゆきち』の知識に置き換えると、小説の世界でよくある、魔法と冒険の世界だ」
受験勉強の合間?に気に入って読んでいる小説で起こるイベントが私にも!?、
日本人は転生についての適応力が高いから?
私は試験勉強の合間?に事前学習していた。
タイトルはズバリ「もし自分の身に転移が起こったら!」。
ここは能力を決める時は平均値で、、、、(注意!龍族なと強い生物を含める)
パラメーターは防御力に割り振って、、、(痛いのは嫌)
特徴は・・・ありえないくらい慎重とか、、、(何事も)
後、私専用の聖なる武器とかあるといいな~(喋って、美男子に変身するとか・・・)
いや、魔法と冒険の世界!強力な魔法も使えるといいな~電撃とか・・・
などと考えていると・・・。
「そんな心配をしなくても大丈夫だ。」
「大丈夫?」
心配する私の考えをかき消すように狸の声。
「『ゆきち』が転生するのはこの娘だ・・・』
目の前に鏡が浮かび上がり、ある女性を写す。
鏡の中には、私より身長は大きいだろうか?黒髪短髪ではなく、腰まで伸びる長い金髪、尖った耳、エメラルドグリーンの瞳、丸顔ではなく細面の白い顔、白いワンピースに胸と腰のあたりに防具、腰には長い剣を挿している。
ゲームに出てくるエルフの外見だが・・・私のように”丸顔、目を前髪で隠してのストーンぽっちり”ではなくお目目はパッチリ、ウエストにくびれがあり胸や腰回りはグラマラスだ。
「彼女は、エルフ族、ヒザンテ帝国の姫、名前はルール・ビザンテ・メルフィス。3年前に女神の転生を受けて世界を魔族の王より救った英雄、剣技は世界最強!『ゆきち』が転生するには十分な能力だろう」
メルフィス姫のパラメーターを見せてもらったがレベル99でほとんどの項目はMAX。ただ、魔法の数値は低い。魔法はあまり使えないようだ・・・。
「剣技は世界最強、魔法は使えないが補佐として、世界最強の魔術師もついている。普通にやればすぐに世界は救えるだろう。」
と狸の声。
ここは慎重に・・・・
「戦う魔王が強いとか・・・・」
「魔族の王は一度女神に滅ぼされ、生まれ変わってはいるが時間が経っていないのでそこまでは強くないだろう。まあ、女神のように一撃では仕留められないかと思うが・・・・」
「一撃!?」
「女神が転生した時は一瞬で魔族の王を打ち滅ぼしこの空間に戻ってきたぞ」
「『ゆきち』もがんばるように」
と狸の声。
そうだ!気になっていたことが・・・。
「なぜ私を『ゆきち』と呼ぶの?」
「知らん!女神がそう言ったからだ。続きはメルフィスに聞け私は忙しい。」
切り上げるような狸の声が聞こえる。
「ちょっと待って」
私は声を出そうとするが・・・また目の前が白くなる。
さっきまであった狸のぬいぐるみはいなくなっていた・・・・
そして私の意識が遠くなっていく・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます