第8話 ひとめぼれ

会ってまだ5分も経っていない。


それでも、目の前で涙だけ流す女の子、いや、女性のことが、手に取るように分かった。自分も同じ境遇なら、同じようになっただろう。


才能があるんだ。そして、心も強靭。

違うのは、身体。いくら鍛えても普通の肉体でしかない自分と違って、彼女は、特殊な血液を持っている。その血液が、自分を人ではなくモノだと誤認させてしまうほどの、才能。


「俺も、お前のような立場だったら、同じことをした。おまえ、生きるのが」


「やめて。同情しないで」


「じゃあ名前を教えてくれ。お前は。お前はなんて言うんだ」


部屋のドア。


いきなり、開く。


「はいそこまで」


親父。


「真名ちゃん。つかれたでしょ。ごめんね僕の愚息が」


強引に、俺を外に連れ出す。


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