第2話 転機

 「この幸四郎の絵、SNSに乗せてみたら?」

そう言ったのは、幼馴染の莉子だった。


幸四郎 「いいよ、そういうネット系あんまり得意じゃないし」

莉子  「じゃあ、今から得意になればいいんだよ」

幸四郎 「載せてどうするんだよ」

莉子  「ん~何かにはなるんじゃない?わからないけど」

幸四郎 「わかんないのかよ」

莉子  「でも、幸四郎の絵ただ描いてるだけももったいない

    思うんだよな」

幸四郎 「うーん」

莉子  「私、幸四郎の何とも言えない独特な感じ好きよ、現代

    のピカソって感じがする」

幸四郎 「それ褒めてるのか?」

莉子  「うん、割と」

幸四郎 「・・・」

莉子  「まぁ物は試しでやってみようよ、気に入らなければ消せばいいんだし」


 そう莉子は言うと、机に置いてあった幸四郎のスマホを手に取った。


莉子  「パスワードは?」

幸四郎 「かけてない」

莉子  「え、本気で言ってる?!」


 莉子は幸四郎のスマホを開くと、簡単にホーム画面になってしまった。


莉子  「ほんとにかけてないじゃん、あぶな」

幸四郎 「そんな見られて困るようなもの入ってないし」

莉子  「いや、そういう問題じゃあないでしょ」

幸四郎 「そうか?」

莉子  「まぁいいや、とりあえず無難にソイッターでいいよね?」

幸四郎 「なにそれ」

莉子  「写真と文章を載せるアプリ、世界中の人が見れるからいいんじゃない

    かなって思って」

幸四郎 「色々あるんだな」

莉子  「ほんと知らなさすぎ、とりあえず乗せる写真を撮ろう」


 そういうと莉子は幸四郎にカメラを向けた。


幸四郎 「なんで俺を入れるんだよ」

莉子  「とりあえず初投稿だから、横顔だけでも入れとこ」

幸四郎 「いらないだろ」

莉子  「つべこべ言わずに、ほら!」


 そういうとなかば強引に莉子は、絵と幸四郎の横顔が写った写真を撮った。


莉子  「じゃあ、あげるね!」

幸四郎 「もう任せるよ・・・」

莉子  「いいんだよ、無駄にイケメンなんだからこういう時に使わないと!」

幸四郎 「まったく、お前ってやつは・・・」

莉子  「はいはい、じゃあさっそく!初投稿!」


 そう言って、莉子は投稿のボタンを押した。

 この時、僕の運命の歯車が動き出すなんて、夢にも思わなかった・・・。

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