熱弁を振るう
昨日はママと喧嘩した。つまらないことで言い合いになった。意固地でまだ謝れていない俺、一方今朝のママは様子がおかしい。
「今日のお弁当はシャカシャカするのよ」
シャカシャカする? 一体何を言っているのだ。不思議に思いながらも登校、そして昼食の時間を迎える。
お腹も空き、シャカシャカの言いつけも忘れて蓋を開ける。そこには……。
「ポティトゥ?」
フライドポテトが入っている。そしてスパイシーな粉も。俺は即座に理解した。これはシャカシャカポ○トだ。俺の好物の。仲直りの提案というわけだ。
俺は好物を前に気分が上がった。ただ、やはりポテトはアツアツが一番。そこで、食堂横の電子レンジに走る。
温めたポテトに粉末を投入、存分に弁当箱を振る。その様は実にシュールである。だがポテトのうまさがすべてを包み込み腹に落ちていく。
そこで俺はようやく冷静になる。待て待て、昨日の喧嘩は十割自分が悪かった。何をのんきに機嫌を取られているのか。俺が引けないことを見越して先に引こうというのか。ママ、出来すぎている。俺の脳裏に強い確信が生まれた。これは……ママによる慈愛の……シャカシャカ……否、釈迦釈迦ポテト……!!!
*
これがのちの「熱弁を振るう」の語源である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます