熱弁を振るう

昨日はママと喧嘩した。つまらないことで言い合いになった。意固地でまだ謝れていない俺、一方今朝のママは様子がおかしい。

「今日のお弁当はシャカシャカするのよ」

シャカシャカする? 一体何を言っているのだ。不思議に思いながらも登校、そして昼食の時間を迎える。

お腹も空き、シャカシャカの言いつけも忘れて蓋を開ける。そこには……。

「ポティトゥ?」

フライドポテトが入っている。そしてスパイシーな粉も。俺は即座に理解した。これはシャカシャカポ○トだ。俺の好物の。仲直りの提案というわけだ。

俺は好物を前に気分が上がった。ただ、やはりポテトはアツアツが一番。そこで、食堂横の電子レンジに走る。

温めたポテトに粉末を投入、存分に弁当箱を振る。その様は実にシュールである。だがポテトのうまさがすべてを包み込み腹に落ちていく。

そこで俺はようやく冷静になる。待て待て、昨日の喧嘩は十割自分が悪かった。何をのんきに機嫌を取られているのか。俺が引けないことを見越して先に引こうというのか。ママ、出来すぎている。俺の脳裏に強い確信が生まれた。これは……ママによる慈愛の……シャカシャカ……否、釈迦釈迦ポテト……!!!

*

これがのちの「熱弁を振るう」の語源である。

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