yショートショート集

Y

クリスマスのとある問答

 誰の一番でもないのが寂しいとあなたは言う。

 たった一人を一番に決めることはできないとわたしは言う。

 必要とされないやるせなさが分かるかとあなたは言う。

 誰にも頼りたくないだけなのとわたしは言う。

 あなたが傷ついているのが分かる。

 わたしが傷つけているのが分かる。

 ねぇ。

 なに。

 どうしてこんなに寒い日に、きみは僕を呼び出すの。あなたは問う。

 今日は十分暖かいから、誰かに分けたいと思ったの。わたしは答える。

 きみはひとりぼっちで、常に恵む者で。

 そう。神様になりたいのよ、わたし。


 夢に満たされた空虚な白い息が、たちまち夜風にかき消えていった。

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