『幸子さん対処典』 その2
『不思議が池』を甘く見てはなりません。
お池に放り込まれるものは、どのように小さいモノでも、センサーが検知し、幸子さんの基地に報告されます。
火星の女王様(地獄の女王様、タルレジャ王国の第1王女様、タルレジャ教団の第1の巫女様、普通の高校生、紅バラ組の組長、HM音楽事務所の社長、マツムラ・コーポレーション技術顧問、そのほか多数の肩書や、隠れ身があり。)が開発したコンピューター『プチ・アニ―さん・不思議が池』が常に監視しているのです。
世界中の、池の女神さまのお池には、『プチ・アニーさん』が、配置され、その上位には、『宇宙生態コンピューター・アニーさん』、がいますが、緊急事態以外は、各地の『プチ・アニーさん』が処理してしまいます。
手に終えないと判断すると、アニーさんに引き継がれるのです。
『警報、警報❗なにゃら、おかしなものが、放り込まれました。危険物と推察されます。排除行動に移ります。』
幸子さんは、やましんさんを、いつものように、さんざん冷やかしてから、不思議が池に戻って来ておりました。
『あら、お饅頭じゃないのね。』
『ちがいます。もっと小さい。直径9,5ミリの円形物ですが、超小型特殊核融合弾と思われます。また、おそらくは、幽霊や、女神さまなどの、半物質または、疑似物質にも作用するように、コバルトと、さらに、正体不明の物質が含有されています。いずれにせよ、食べられるものではありません。』
『あそ。地獄送りにして、あちらの研究所に任せましょう。』
『了解。強力吸着装置発動。………………』
『……………………………???』
『ん?どしたの?』
『こいつ、逃げます。知性的な逃走をします。出力アップ。しぶといです。あなたさまを狙っているようです。そちらに逃げます。』
『おっしゃ。基地を、埋没させるわ。』
池の底にある、幸子さんのお城は、伸縮自在です。
また、池の底に潜り込むこともできるのです。
危なくなると、周囲を固め、地下に潜ったりもする、むかしの人形潜水艦SF基地みたいなものです。
『回収に、失敗しました。危険物質は、池の底に入りそうです。アニーさんに、引き継ぎます。』
『あそ、あなた、役に立たないの?』
『時と場合によります。』
『あそ。ああ、あれかあ。食べちゃおうかしら。』
『こちら、アニーさん。ダメですよ。食べたら、すぐ、爆発する気ですよ。しかたないから、池の底から、総ざらいします。ちょっと、お客様がいるのですが、まあ、しかたないからね。そら。』
アニーさんは、なんと、お池のかなり深い地下から、巨大なスプーンで掬い上げるように、お池全体を、空中に持ち上げました。
たまたまた、遊びに来ていた5~6人の人がいましたが、みな、無事ではありますが、常識外れの光景を見ることになりました。
困ったのは、処典氏が投げ込んだ、その、『玉』でした。
これは、想定されていない事態でありましたから。
その場合は、爆発は中止されます。
玉は、あっさり、アニーさんの手中に落ちました。
そうして、『玉』は、爆発しても、まずは、安全な宇宙空間に次元移動させられたのです。
処典氏は、その様子を、意識のなかで確認しておりました。
『ふん。ちょっと、甘く見たか。まあ、試しただけだ。プレリュードさ。演奏会なら、『コリオラン』序曲とか、あたりだな。これからが、本番だ。今日は、シベリウスさんの、二番で、行こう。』
やがて、その『玉』は、自爆したのです。
しかし、不思議が池では、まさしく、さらに、不可思議な現象が現れました。
空中に浮かびあがったお池が、ゆっくりと元の位置にもどるやいなや、シベリウスさんの、『交響曲第2番』が、響き渡ったのです。
『おわ! これは、やましんさんが好きな、シベ先生の曲だ。池の女神さまのなかで、最高のクラシック音楽通の、幸子だから、分かるのだわ。』
幸子さんは、ひとりで納得しています。
『幸子さん❗ これは、危ないです。非常に、危険なやつが、どうやら、介入してきましたよ。』
アニーさんが、そう、伝えてきたのです。
『お饅頭?』
『違いますよ。これは、宇宙バウンティハンターですよ。しかも、一番、たちの悪いやつですなあ。』
『はあ? 宇宙バームクーヘンパンター? って、なに?』
………………………………………………
つづく🎵
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