『幸子さん対処典』 その1

 『では、処典くん、次には、『不思議が池の主』を、排除してほしい。世界中の池の女神と言われる中では、最も弱いとされるが、しかし、かつての記録によれば、なかり、いざとなると、それなりの力があるとも、思われる。塩が嫌いだが、すぐ、逃げてしまい、話しにならぬ。あそこは、本社が開発したがっている。マツムラは、拒否するだろうが、そこは、話し合いだ。どっちにしても、女神さまは、引っ越しになれば、それでもよい。』


『ふむ。やりかたは、任せてもらいましょう。』


『よかろう。』



 …………………………………………



『悪いが、私は、呑気なことをやる気はない。



 処典氏は、昼間の参拝時間に、どうどうと、お池のほとりにやってきました。


 交通事故という、気の毒なアクシデントで、優秀な楽員を失ったのですが、指揮者は継続中です。


 例の評論家氏は、口を閉ざしてくれています。


 彼女が、化け物であったことを、認識させるのには、多少技術が必要でしたが。


 そこは、命がかかれば、みな、考えるものですし、得るものもあったからね。



 処典氏は、お池の参拝所から、ぐるっと散歩道を、……池というには、なかなか、広い……、回りながら、やがて、ポッケから、小さな何かを取り出して、ぷいっ、と、落としました。


 これは、『対妖怪虫核爆弾』です。


 お池の女神さまのような、『半物質』にも、効果があります。あるはずです。


 ちいさいけど、優秀な頭脳をもち、目標物を探して、確実に処分します。


 ただし、相手が、化け物である場合に限られます。


 後からは、一切証拠は見つかりません。


 放射線による被害や、汚染は、最小限になりますが、マツムラが、お池を手放す理由にはなります。たぶん。


 あとの、除染は完璧に可能です。


 実行は、幸子さんが現れる時間帯に絞られます。


 まかせておけば、オッケーです。


 しかし、処典氏は、このお池の重要性を、過小評価していました。




……………………………………………


             つづく


 


 


 





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