第2話 抜き打ちチェック

さて、着いてしまった。王都!テッテレー!


馬車は、公爵家には向かわず騎士団の敷地へ。手紙が来なくて、判断に迷って公爵が迎えをやるのをギリギリまで遅らせたと。それで、騎士団の入団試験ギリギリに王都到着となったらしい。


どうやら、試験を受けてから公爵家に連れて行くらしい。いや、絶対に行かないけどね。


筆記試験は、常識問題ばかり。馬車では、泣き言を言いながらも基礎問題から全て叩き込まれたよ。という訳で、手応えあり。さて、寮を希望に丸。


結果は、合格。よし、これで逃げれる。


「じゃあ、ノイルは寮生だね。」


「先輩、そうです。よろしくお願いします。」


さて、部屋は4人部屋で3人は居ないみたい。明日から、仮配属となる騎士団が張り出される。今日は、ゆっくり休もう。執事さんは、驚いた様子だったけど、何とか帰ってくれて良かった。


と言うか、公爵様ではなく祖母様が、僕と会いたいと思っているとか。別に、会いたくないから。


ノイルは、周りの気配を探りひと息つく。


『大丈夫?』


『顔色、悪いなの!』


「大丈夫。少しだけ、疲れた……。」


そう、小さく呟くと2段ベッドの下に荷物を置く。そして、ベッドに座り倒れた。3人は、遊びに行ったんだろうな。ノイルは、苦笑して目を閉じる。


暫くして、ノイルは机に座り読者する。


『何を読んでるのぉー?』


「歴史書だよ。主に、国の事や騎士団の事のね。」


さて、そろそろ夕食の時間……。結局、3人は夕食後に戻って来た。3人は、僕を無視している。


それにしても、壁から人の気配がする。まあ敵意は無いし、精霊や妖精も反応しないから大丈夫かな?


まあ、実害が無いなら何でもいいよ。


机に向かい、勉強道具を広げて真剣に勉強する。そして、数時間後に先輩達に寝るように言われる。ノイルは、手早く勉強道具を片付けて、寝る準備を整える。3人は、準備をした事が無いのか戸惑う。


「おい、お前……俺達の準備をしろ!」


「嫌だ。自分で、やれば?」


すると、拳が飛んで来る。ノイルは、避けない。


「お前ら、何してんの?」


その拳が、少年によって止められる。


「アルバロ公爵家の!?いや、こいつが俺達の準備を断ったから。その、こいつが悪いんです!」


「へぇー、お前達のお家は準伯爵だったな。」


あ、これは……僕の身分を知ってるんだね。


「こいつは、剣の家ファーシ家の長男だけど。公爵家に、お前達は命令が出来るほど偉いんだな?」


すると、青ざめる3人組。少年は、ノイルを見る。


「良く、返り討ちにしなかったな。偉い!お前ならさ、こいつら瞬殺とか出来そうだし驚いたぜ。」


なるほど、弱いけど闇の精霊の祝福を持ってる。だから、本能的な感覚で実力を計られちゃったかな。


「えっと、うん……僕も、いきなり暴力沙汰とか凄く驚いたよ。取り敢えず、どうすれば良いの?」


「不敬罪で、断罪したら手を汚さず殺せるぞ。」


少年は、あっさり言って試すように僕を見る。


「あ、それは要らない。殺したら、敵が増えちゃうし。それに、僕は名ばかりの公爵家長男だから。」


すると、3人は驚き少年は含みのある笑み。


「ふーん、なら寮長にだけ報告しとくな。」


「報告なら、僕がするから良いよ。君と僕では、影響力が違いすぎる。僕が、報告した方が傷が浅くて済む。君が報告すれば、傷を拡げちゃうでしょ?」


言外に、君の正体を知ってる余計な事をするな。と言ったのだが、しっかり伝わったようだ。


「……了解だ。」


ノイルは、ため息を吐き出す。そして、素早く報告の為に部屋から出て行く。よし、これで大丈夫!


ノイルが、去り少年は冷静な瞳で3人を見る。


「良かったな。今回は、運良く見逃して貰えた。」


3人は、無言で頷く。少年は、壁に向かって言う。


「噂では、聞いていたけど。本当に、大人しい奴だよな。しかも、相手に気遣いも出来るし。何より、年相応の対応じゃない。俺達は、特別教育でマナーとか叩き込まれてるけど。あれは、おそらく独学と鍛錬のおかげだろうか?うーん、何はともあれノイルは優等生っぽいな。次の剣公爵が、ノイルなら喜んで歓迎するのに。そう、思うだろう2人とも。」


壁から、少年と少女が現れて嬉しそうに頷く。


四公、魔術師の家マーリル家の1人娘アイリス


「そうですわね。」


四公、医術師の家ドクトル家長男ロイン


「ふふっ、僕達にも気付いてましたね。」


四公、暗殺者の家アルバロ家末っ子ファイ


「おう、バッチリな。アイリスの魔術、それを一瞬で見つけるなんて。しかも、敵意がない事を理解したうえで放置するとか。いや、放置するってより興味がないって雰囲気だったな。笑えてくる。」


3人は、ひとしきり笑ってから真剣になる。


「さて、報告をしないとですね。」


「ええ、お父様も喜ぶ報告が出来そうです。」


2人は、真剣な瞳で笑ってから言う。


「さて、どう捕まえようかな。何か、どうやっても逃げられる予感しかしない。うーん、取り敢えず俺が様子を見て、友達になる事から頑張るか。」


ファイは、苦笑して呟きアイリスとロインを連れて撤退する。ノイルは、戻って来て気配が消えたのを感じてホッとする。3人は、バケツを持たされて連れて行かれた。ノイルは、無言で寝る事にした。

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