妹はバブみが欲しい
「うーん、母性が足りない」
お兄ちゃんが私に甘えてくれないのは私に母性が足りないからではないか?
そう考え、所謂『バブみ』について調べている。
思えばお兄ちゃんは私が来るたびに怯えている、これは私が怖がらせてしまっているからだろう……何故怖がっているのかはさっぱり分からないが……
さて、どんな格好をしましょうかね……
私は見た目から入るタイプだ、エプロンドレス……アリですね。
スーツ、うーん、いまいち「甘えて」って感じじゃないですね……
薄着はやめるべきでしょうね、やはり母性というのはお兄ちゃんだけに与えるモノなので、誰彼構わず振りまくのは良くないでしょう。
制服……うん、無理だね。
どう考えても中学生の学生服に母性は感じられない……ないよね?
とりあえず今の最有力候補はエプロンドレスですね。
どうせウチの中でしか着ないんだから多少恥ずかしくてもいいでしょう、お兄ちゃんのために我慢です!
さあてと、調達してきますか。
私は電車で某電気街に向かおうとしてそれを買う状況を考え冷静に通販に頼ることにした、文明の利器バンザイ!
ピンポーン
届いた……届いてしまった……
これを着ればお兄ちゃんがメロメロに……ふへへ……
私は梱包を開けロングのエプロンドレスを取り出す。
「とりあえず、着てみましょうか」
鏡の前でクルリと回ってみる、我ながら似合っているなあ。
よし! これでお兄ちゃんに奉仕しちゃいますよ(健全な意味です)
「お兄ちゃん……ほら……こっちに来て、そんなに怖がらないでください、ってなんで怯えるんですか!」
お兄ちゃんは失礼にも私がこの格好で来るなり飲んでいた水を喉に詰まらせ目を丸くしていた。
そして……シュバババと壁に後ずさった。
「ほーら、お兄ちゃん、怖くないですよー。なんなら『お母さん』って読んでもいいんですよー? あ、『ママ』の方がいいですか? 私はどっちもいけますよ」
「やめてくれ、ただでさえキャラが濃いのに濃縮還元みたいなことをしないでくれ、頼む」
「むぅ……お兄ちゃんは私が怖いというんですか?」
「当たり前だろうが! どこの世界に唐突に兄を監禁する妹がいるんだよ!」
「ここにいますが」
お兄ちゃんはこめかみを押さえながら悩んでいる、こんな時こそ私に甘えてくれればいいのに……
「お兄ちゃん、いいのです……お兄ちゃんがどんな趣味をしていようと……私は受け入れます……だから存分に甘えてください」
「じゃあ甘えさせてもらう」
よっしゃ! お兄ちゃんがデレましたよ!
「いうこと聞いてくれるよね?」
お兄ちゃんが……お兄ちゃんが……ついに私に……
「もちろんじゃないですか! 法律に触れることだっていとわないですよ!」
そしてお兄ちゃんは恥ずかしそうにつぶやいた。
「一人にしてくれ」
私はお兄ちゃんにお願いされたことが嬉しくタタタっと部屋を出て行った。
次にお兄ちゃんに呼ばれたときどんなお願いをされちゃうんでしょうか……うう……恥ずかしい……
夕闇の帳が下りた頃、私はお風呂に入って髪をといて完璧に準備をしていた。
だというのに……結局お兄ちゃんから来てくれとの連絡はなかった。
私は夢の中でお兄ちゃんが私に甘えてくれる幸せな夢を見ているのだった。
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