第16話 タヌコらのトーク
夜も更け、サトルら4人が寝静まった頃、彼らを担当する召喚獣4匹が集まっている。
この召喚獣たちはイスタ王国の王女スカーレットが召喚し、4人それぞれをサポートするために同行している4匹。ただし本質的な目的は、王女による4人の動向や能力を把握するためのものでもあった。
サトルを担当する「ボン」
エリを担当する「ミーナ」
マッキーを担当する「ラック」
ワカナを担当する「クロミ」
見た目はモフモフ系だが、知識や交渉術に長けており、しかも実際はレベル50クラスの戦闘能力を持つ戦士でもあった。
その本当の戦闘能力はまだ4人も知らないが…
その4匹が集まって、スカーレットに報告するための情報をまとめている。これは定期的に行っているものであり、他のゲームクリア者に対しても同様のことが行わているのである。
≪では、恒例の報告会を行うラ≫
≪今日の題材は4人の人間関係と性格ラ≫
≪まずは私から報告しますワ。エリさんは間違いなくサトルさんに惚れていますワ。感情が常にサトルさんに向いていて、まぁ、わかりやすいこと≫
≪サトルさんは気づいているのかな。それによって関係が影響してきそうだヲ≫
≪ワカナさんもサトルさんに特別な感情がありますレ。ただうまく自分の中で整理できていない様子で、エリさんの言動に敏感に反応していますが≫
≪サトルさんの感情を見ると、多少感付いている雰囲気がみられるヲ。ただそれよりも、今は戦闘やダンジョンが楽しすぎて、そっちに気が回っていない様子≫
≪ボンからみてサトルさんの力はどうですレ?≫
≪スカーレット様から聞いていた、他のクリア者との比較でも、かなり上位にいるのではないかな。ソロで10階層クリアは聞いたことがないですかラ≫
≪確かに。前の4チームでもそんな成績は聞いていないですレ。うまくいけば最強チームになれるかもしれないですレ≫
≪ボンは一度も先頭に参加していないのかヲ?≫
≪まだないですラ。というか、一度も危険な状況になっていないですし、戦闘で相談されたこともないですかラ≫
≪私たちも、まだレベルに合わせたサポートしかしていませんワ≫
≪いずれ力を出す機会があるかもしれないですレ≫
≪この鳥の森ダンジョンでは、おそらくサトルさんいる限りその機会はなさそうですラ≫
≪まぁ楽しみなのは次のダンジョンだヲ≫
≪マッキーさんは、あまり女性が好きではないのかラ≫
≪あの人は、エリさんとワカナさんに対しても特別な感情を抱いていないようですし、それよりも、たまにブツブツつぶやくのが気になるヲ≫
≪どんなことをつぶやくのレ?≫
≪よくわからない言葉で、「あいつは四天王最弱」とか「諦めたらそこで終了だ」とか「敵がゴミのようだ」とか。なんだろうかヲ≫
≪よくわかりませんラ。エリさんとワカナさんの関係は?≫
≪サトルさんに対する特別な意識があるようですが、特に問題はないかと思いますワ。ワカナさんのことを妹のように思っている節も感じられますし≫
≪ワカナさんも同じですね。どちらかというと、何とかみんなに付いていくのに必死な様子ですレ。エリさんに対しても頼りになるお姉さんという感じですレ≫
≪では、4人の関係は良好。少々三角関係もある感じですが、問題なしラ。20階層に向けても不安なしということで、スカーレット様に報告しますラ≫
≪異議なしヲ≫
≪異議なしワ≫
≪異議なしレ≫
≪では今夜はここまでラ≫
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その夜、スカーレット王女は16人のクリア者をサポートする召喚獣からの報告を受け取っていた。
「自衛隊チームを除いた4チームで、一番進んでいるのはフロンティアチームね。4つ目のダンジョンもクリア目前だし。
それにしてもサトル君のチームは、サトル君が合流してから一気に攻略スピードがアップしたわね。一番最後に彼を飛ばしたマサノリさんの意図もわかるような気がするわ。
ただこのままいくとインターチームとぶつかってしまうかも。これは向こうにも報告しておいた方がいいかしらね」
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日本某所
≪≪室長。スカーレット様からのレポートです≫≫
「何かトラブルでもあったか?」
≪≪緊急ではありませんが、第4チームの攻略スピードが速く、第3チームと次のダンジョンで鉢合わせになる可能性があるとのことです。念のため対策を、と確認が届いております≫≫
「了解。クエストAからEで使えるものをピックアップしてくれ」
≪≪了解しました。≫≫
「魔法使いの悩み」へ続く
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