第6話 名付け、この世界を考える


「早く読んでくれないかな~


あぁ既読ついた、返信も早い!」


<り>



「り、だけ?


了解の<り>、のこと?


あっさりしすぎじゃないですか、マサノリ様。


私だけずっとこっちで寂しいですよ…」


「あっ、また着信!」


<タラスパは好きじゃない>


「が~ん!


いやいやこんなことでめげていられるか!


あの人のハートを掴むため、頑張る!」



王女は右手を頭上にかざして魔力を込めた。すると周囲に20人のステータス画面のようなものが浮上する。その20番目には先ほどまで会っていたサトルが映っている。


「さてタヌコ達はうまくやってるかな。


腕輪とみんなで20人の動向と能力把握は大丈夫だし、次はさっきの20人目と他の3人をタイミングよく合わせるだけね。


みんなはどこにいるかしら。


いたいた、お利口にダンジョンででレベル上げね。


レベルは3人とも3か。


まだまだだね、先は長いぞ。


がんばれ!


ではタヌコに指示を出しておきましょう。


(ピポポピプペポ…)


はい、これでOK」



王女は3つのジョブを持つが、そのひとつが召喚士。自らがイメージした生物を具現化し、使役することができる。同時発動可能は100体まで。現在そのうち20体を、サトル同様に日本からやってきたプレイヤーに同行させている。他の50体は別行動中だ。そして召喚動物を利用して20名の能力、言動、実績や性格、様々なことを把握している。


ただし「この」星で召喚能力を持つ人間はいない。


しかし「この」王女のみが使えるスキルだった。



~~


タヌコの名前を考えてみる。だが、まったく浮かばない。


今までペットを飼ったこともないし、何かに名前を付けたこともない。ここは横着して、アニメとゲームからアイデアを拝借しよう。


「お前はオスだったよな?」


“オスに分別されていますが、性別は気にしないでくださいラ”


まったく言っている意味が分からない。性別がない生き物なんているのか。さすがに異世界は違うな。しかし、どうやって繁殖するんだろうか、でも地球でも似たような生き物がいたような気もする。と考えていたが、そこを追求するよりは早めに名づけだろう。


サトルはこのタヌコが自分の行動を把握するため、女王によって作られた生き物だとは知らなかった。純粋に、この星で生きている住民だと思っている。


「わかった。お前の名前は…


ボンだ」


“ありがとうございます。今日からボンとお呼びください”



「まずは拠点を決めたい。長期で借りられる、安全で食事の美味しい宿はわかるか?」


“それなら2番街にあるウオヤがオススメですね。設備は充実、お風呂もありますし、食堂は王都でも特に豊富なメニューが揃っております。料理のオススメはラメンですラ。さっそく向かいましょう”


まったく迷いのない解答、優秀な助手を手に入れた感じか。


それにしてもこの世界は何か違和感がある。あまりにもリアルすぎるのに、ダンジョン、レベル、街の名前、ここまでゲームと同じ世界を作れるものなのか?


それとも、もしかしたらこの世界をもとにあのゲームが作られたのか…



いずれにしても、今は情報が足りなさすぎる。それに、どうせこの世界に来たなら楽しまないとな。


いまだのゲームの世界か現実の世界か区別がつかないが、しっかり腹は減っているし、食欲をかきたてる美味しそうな匂いもしっかり感じられる。何もかもやりっ放しだった日本の方は、まぁ何とかなるだろう。


まずは腹ごしらえを済ませ、今日は眠ろう



「その頃の日本、世界を動かす者」へつづく

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