#2 青い森の魔物【2-10】
エミリアはすかさず上に跳んで回避。
だがそれを待ち構えていた最年少の少年がスペルアーツを発動する。
「スペルアーツ『
炸裂する小規模の爆発。
ブーストされていない攻撃系のスペルアーツはそのほとんどが戦闘において有効打にはなり得ないが、その攻撃はエミリア本人を狙ったものではなかった。
エミリアの直下で発動した爆発は上方に向けて猛毒の
エミリアは体を丸め、腕を交差させて防御の構えをとった。
たがその毒の
鋭い痛みと共に身体に痺れが走る。
「アムドゥス大丈夫? かかってない?」
エミリアは着地しながら聞いた。
エミリアが着地する頃にはソードアーツによって生まれた猛毒の激流は跡形もなく消えている。
リーダー格の少年はエミリア目掛けて
振りかぶった剣を振り下ろす。
エミリアは振り下ろされた長剣をハルバードで弾き返した。
「ケケ、俺様は無事だ! だが嬢ちゃんは
リーダー格の少年は次々と剣を繰り出し、そこに2人の少年も加わった。
迫り来る剣を
だが傷を負い、毒の回った身体では本来の力を発揮できない。
「エミリア、ボスを召喚しちまえ! 人間のガキ助けようとして討伐されましたじゃシャレにならんぞ!」
「それは……ダメ!!」
エミリアは勢いよくハルバードを振るった。
その攻撃を受け止めきれなかった長身の少年の肩を斬り裂く。
「シャルはあたしが操作してるんじゃなくて自立行動。加減ができないからみんな殺しちゃう」
「んな事言ってる場合か!!」
アムドゥスが怒鳴る。
「スペルアーツ『
少女は回復のスペルアーツを使い、続けざまにバフのブーストを再開した。
「頑張ってください! すでに魔人の体力は4割を切ってます!」
最年少の少年が叫んだ。
「アムドゥス! 森の上から『青い森』を探して! それまであたしは防御に徹する」
「………ケケ、死ぬんじゃねえぞエミリア」
エミリアはアムドゥスを横目見るとにこりと笑った。
それと同時にアムドゥスは飛び出す。
「魔物が出てきたぞ!」
坊主頭の少年が言った。
「構うな! 俺達は魔人をやる。魔物の警戒任せた」
リーダー格の少年が言うと最年少の少年はうなずいた。
だがアムドゥスは少年少女達には脇目も振らず、凄まじい速度で上方へと
「魔物、森を抜けて上空に消えました。奇襲注意です!」
「了解」
「おう!」
「あいよ」
3人の少年が答える。
アムドゥスは木々を抜けると周囲を旋回。
すぐに青く染まった木々を発見して。
「あそこか! 距離はそんなねぇがガキ助けに行く前に嬢ちゃんの方をどうにかしねぇと。ディアスは……あっちか。ちくしょう、こっちは距離があんな」
アムドゥスはディアスの『
「……にしてもおかしな森だな。俺様もあんな現象は知らねぇぞ。永久魔宮の範囲だけを変質させてやがる。魔宮に反応する性質なのか────」
そこでアムドゥスはハッとして。
「魔宮に反応するなら嬢ちゃんの魔宮もヤバいんじゃねぇかぁ!?」
アムドゥスはすぐさま急降下を始める。
「胸騒ぎがしやがる。ディアスを呼びに行ってる時間はねぇ。悪いが力使うぞ」
アムドゥスの被る獣の頭蓋骨の右半分がその姿を変えた。
いくつも枝分かれした鋭く巨大な角が生え、アムドゥスの目が覗いていた頭蓋骨の
そしてアムドゥスの右翼がその形を変えて。
肥大化しながら変形した巨大な翼は先端から5つに
アムドゥスはその異形の翼を振りかぶりながらエミリアのもとに
木々を抜け、エミリアと少年少女に視線を向けるアムドゥス。
そしてエミリアの魔宮を確認すると、その隅が青く結晶化してるのを捉えた。
それは
「エミリア、下がんな!」
アムドゥスが叫ぶと少年少女は声の方へと振り向いた。
「『
アムドゥスが異形の翼で大地に触れると、そこから闇が拡散した。
その闇は渦を描きながらエミリアと3人の少年の方へ。
3人の少年は後退。
エミリアも力を振り絞って後ろに跳ぶ。
それと同時に青く結晶化したエミリアの魔宮に亀裂が入った。
魔宮を突き破り、青白い影が飛び出す。
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