【2】地味子も反撃するのです
聖也side
7
―翌週、月曜日―
俺はいつものように教室で男子と談笑していた。
俺の視線の先には、林の机。まだ学校を休んでいる林に、俺の心は棘が刺さったようにズキズキと痛む。
「オイッ、アイツ……誰だよ?」
「転入生か!? 超可愛い」
クラス中がザワザワとざわつき始めた。俺は声のする方角を目で追う。
「……誰?」
そこにいたのは肩までの黒髪をふわっと内巻きにした可愛いスタイル、目ギリギリラインの前髪がとてもチャーミングな美少女。
ていうか……。
誰だよ!?
女子達がワッと彼女の周りに集まった。彼女は素知らぬ顔で、林の席に座った。
「えぇー!? 林さんなの? 本当に林さん? 可愛い~! 前髪切ったんだ。コンタクトにしたの? すっごく似合ってるよ。まるで別人だね。転校生かと思っちゃった!」
は、林……!?
マジで!?
ていうか、別人じゃん!
まるでビフォーアフターだよ。
男子の目の色が一瞬にして変わった。今まで興味すら示さなかった林に、みんなが注目している。
林の周りに男子が集まり、俺は何故かソワソワと落ち着かない。
「おい聖也。ぼっちのガリ勉地味子が、いきなりシンデレラになっちまったぜ。女って髪型で化けるんだな。驚きだな。お前、どーすんだよ。可憐な花に群がる害虫どもが、林を狙ってるぞ。お前、あの激カワ林を本当に落とせんのか?」
「ま、まかせろ。絶対に落とす」
『好きだ』って告ったら、『……うん』って頷いたんだから。
確かに、一発殴られたけど。
あの賭けのことは、誠心誠意謝罪すれば問題ない。
なんたって、俺は光月聖也だぞ。
学園の王子様、光月聖也だぞ。
シンデレラを射止めるのは、王子様だと昔から決まってるんだ。
この俺に振り向かない女子なんて……。
この学園に、いないはずだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます