第8話 チートアイテム


 水龍神の前に着いた俺はキョロキョロと周りを見回し




『アイツは?

 アノ黒猫何処に居る?』




 水龍神は俺達を見ると


「アイツ? ラィなら昨日の内にまた出掛けて行ってしまったぞ?」




『水龍神、普通に喋れるのかい!』


 心の内で突っ込んでしまった。




『他に聞かれたくない話しや最初の言葉が喋れない時のお前にはこの心に語りかける方が良いだろう』


 そう言われて納得する。






 「それよりラィ?ってアイツ名前?」


「そうだ。アイツからその名前を伝えてくれと頼まれた」


「ラィか。そのラィは何処に行った」




「まだ調べモノがあるらしい。


 詳しいことは何も言わずフゥの荷物だけ置くと飛んで行ってしまった。


 またしばらく帰ってこない気がするぞ。


 お前のことは私に任せるそうだ」




「マジか!

 聞きたいことがたくさんあるのに」


 がっかりしていた俺に


「がっかりするな。

 魔法の練習も基礎だけでなく練習していいし


 その為にも体力を付ける為の訓練もさせていく。


 そして、この世界の歴史や地理、他の種族や動物や魔物のこと、私の教えられる範囲で教えよう。


 他に聞きたいことがあれば聖域の外などはラミネや冒険者をしていた者に聞いてもいい。


 水の聖域以外の聖域のことも火の聖域や土の聖域の竜人に聞いてもいいし、火や土の魔法も教えて貰ってもいい」


「本当に!」


「あぁ」


 水龍神は答えて俺に聞こえないように、ラミネとシイバに何か伝えて二人が頷く。






「それじゃ部屋に戻ろうか。

 朝食もまだ、食べてなかったよね?」


 ラミネがまた俺を抱き抱える。



「待て。そこの袋を持っていけ。 


 中にフゥに必要な物が入っているそうだ。


 昨日、ラィが持ってきた」


 水龍神の横に一つの袋が置かていた。



「何入ってるんだ?」



 シイバが袋を開けようとすると


「お前が開けるな。


 部屋でフゥに開けさせろ!」




 水龍神にシイバは起こられ、


「ハイ」


 一礼をするとシイバが袋を持ち三人は俺の部屋に戻った。








 俺の部屋に三人で戻るとお腹がなって昨日の朝から何も食べてなかったことに気付いた。



「まずは朝食食べたら。わたし達はフゥに教えること相談しておくから。

 シイバ、行くよ!」


 ラミネとシイバが部屋を出て行く。





 俺は朝食を食べながら気になっているラィが持ってきた袋を開けようと手に取る。


 この小さな袋に何が入っているのかと袋を覗くと袋の中は空っぽだった。



『何も入ってない』


 そう思った瞬間。

 頭に袋の中身が映像として見える。


『オォー、やった!


 これが異世界モノで有名なチートアイテム!

 無限に収納できる袋か!』




 異世界に来て初めてまともなアイテムを手に入れた気がする。




 『どれどれ、どんな便利アイテムが入っているかな?』


 袋の中身を調べていく。



『頭の中に映像が浮かび何が入っているか解る。

 まずは盾、次に服、で最後に魔法石。


 魔法石って竜人族が使ってる魔法石と一緒かな』




 ひとまず魔法石を袋から出してみる。


 白金に白い色の魔法石が一つ付いた腕輪が出てきた。




『どの腕に嵌めればいいかな?』 



 俺の腕は四本ある。



『やっぱり利き腕かな?』



 左の上の手首に嵌めようとすると、なぜか嵌まらない。



 次に左の下にも嵌まらない。



 右の上の手首に近付けるとスッと嵌まり


 『フゥ、神の魔法石を装備した』


 魔法石の使い方と変な声が頭に流れ込む。


『何、気持ち悪!


 でも、これで情報を引き出せるようだな。 

 よし、まずはこの腕輪の情報を見るっと』


 頭に


『神の魔法石。


 情報の入力と出力ができる。


 フゥ専用。


 破壊、譲渡不可』




『俺専用ね。


 これで知りたいことを思い浮かべると教えてくれるのね。


 それじゃ、一度外しておこうかな』




 腕輪を外そうとするが外れない。



『一度装備すると外れない』


 頭に流れる。




『呪われたアイテムか!』


 ついそう叫んでしまった。






 次に袋から盾を出してみた。




 中から出てきたのはさっきと同じ腕輪だった。




『今度は嵌める前に情報を確認しておこう』




『神の盾。


 全ての物理攻撃を防ぐ。


 フゥ専用。


 破壊、譲渡不可』




『腕輪なのに盾?装備したら外れないだろうな?』






 しばらく考えたが考えてもしようが無いと左の上の手首に嵌めた。




『フゥ、神の盾を装備した』


 頭に同じように内容が流れ込んで、盾の使い方が自然と理解できていた。




 左腕を前に出して盾を構える感じにする。




『オォ、盾が出た!


 大きくしたいと思うと大きくなり、


 小さくしたいと思うと小さくなる。


 そして、どんな物理攻撃も防ぐ。


 またまたチートアイテム』




 盾を腕輪に戻し外そうとして……やっぱり外れない。




『一度装備すると外れない』


 また、同じ言葉が頭に流れる。




『デスよね!』






 最後に残った服を袋から出してみる。


 今度は白金でできたベルトのようだ。


 これも真ん中に白い色の石がある。




『神の服。


 全ての環境に耐えられる。


 常に清潔に保たれる。


 フゥ専用。


 破壊、譲渡不可』






『このベルトを嵌めるとまた外れなくなるだろうな。


 ……考えてもしようがない』


 思い切ってベルトを嵌める。




『フゥ、神の服を装備した』




 今、着ている服にベルトをしただけでだったが、 



『アー、なるほど。

 盾と同じように、出したり、消したりできるのね』


 頭に使い方が自然と入ってきて、服を出してみる。




 服はフードの付いた白いパーカーと、白いズボン、中は裸だった。




『下着とかはなしか?

 それに汚れ目立ちそうだな』


 そう思うと


『今まで着ていた服は袋にしまわれました。

 この服は常に清潔に保たれるます。

 汚れることはありません』


 と少し笑ってバカにしたように頭の中を魔法石の言葉が流れる。




『イラッとする!』


『フフフ』


 そんな風に思っていると頭の中に笑い声がしたように感じた。




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生き返る為に、異世界の神?様のお使いに行きます りづ @RIZUkzm

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