第2話 卵から生まれて?
卵から生まれ『俺』は自分の状況を把握しようと周りを見渡した。
まだぼんやりとする目を何度か瞬きをして、最初に目に入ってきたのは見慣れない生き物。爬虫類?トカゲ?でも二足歩行?異世界生物?
『もしかして俺もアレに生まれ変わった?
卵から生まれたし』
しばらく周りをキョロキョロ観察していると異世界生物の一匹が近づいて俺を持ち上げた。
そして、布団のようなフカフカした場所に寝かされた。
隣には異世界生物の赤ちゃんが寝かされていた。
『俺よりも少し早く卵から返った兄弟なのか?』
そんなことを考えていると俺の周りに数匹の異世界生物が集まって俺を観察しながら何か話している。
「この子は本当にあの卵から生まれた私達の同族か?」
「間違いありません。
確かにあの卵から生まれました」
「今回は異例なことなのか?
我等が神龍の卵が同時に二つ生まれたのも、私達と同族とは思えない外見の子が生まれたのも」
『どうやら俺の外見は他と違うようだ』
そう思いながら左手を目の前に上げてみた。
『あ!普通の人の手だ。指も五本で』
開いていた指を親指から一つずつ曲げていき、何度か開いたり閉じたりして感触を確かめた。
右手も同じように感触を確かめる。
『前世は左利きだったけど、今はどっちだろう』
そんなことを考えているうちにいつの間にか眠ってしまっていた。
次に目覚めるとアノ異世界生物の一匹に抱きかかえられてどこかに移動していた。
隣を歩くもう一匹には多分隣で寝かされていた異世界生物の赤ちゃんが抱かれていて
「神龍様にお伺いせねば。
この子達をどうしたものか」
『そういえば俺、言葉理解出来てるな。日本語喋ってるのか?
それともあの神からのチート能力か?
もう少し説明してから転生させて欲しかったよ!』
そう思っていると大きな扉の前に着いたのだった。
すると扉は音も無くゆっくり開いて中には大きなドラゴンが横たわっている。
そのドラゴンがゆっくりこちらを見ると二人は一礼をして中に入って行く。
「この二人が今回生まれた子供です」
ドラゴンに顔が見えるようにされる。
しばらくすると異世界生物は
「はい」
……
「はい」
……
「そのように」
……
「わかりました」と誰かと会話しているように話しいる。
しばらくそんなことが続いているとドラゴンと目があった。
その瞬間頭の中に
『アイツに頼まれたが……竜人以外の育て方は分からんぞ!
どうするか。お前はアイツから何か聞いているか?』
声が響いた。
『俺の言葉が解るのか?』
なぜか俺は急にドラゴンに向かった話かけていた。
二人の竜人は変なモノを見るように俺を見るとまた頭の中に
『言葉が解るか。それならば私に向かって心の中で話しかけるがよい』
そうドラゴンから聞こえる。
『ここはどんな世界なんだ?
説明不足で気がついた時には卵から出てくるところだった』
『お前はあるモノから預かった。
私もあまり詳しく聞かされていない。
ただ頼まれた』
『それはナニに頼まれたんだ?
アレは神なのか?』
『そうだな。
神かと言われるとお前の概念では神の一柱だろう。
私も神になるだろうがな』
『この世界でアイツと連絡出来たりしないか』
聞いていると扉の外から竜人が一匹の翼のはえた黒猫のようなのを連れて来た。
その黒猫はドラゴンの前まで行くと会話するようにしばらくドラゴンと見つめ合うと頷き俺に向かって話し掛けてきた。
「無事にこちらに来れたようだな。
私もこちらに来るのには苦労した」
確かにアノ何も無い空間で話した黒色の光だと頭が勝手に理解している。
「説明の途中でこちらの世界に送ってしまって悪かったな。
お前のいた世界とこちらの世界では少し時間の流れる速さが違うようでな。ハハハ」
猫が頭を掻いている。
俺は猫に話し掛けようとした。
「ぉあぁぃばぉぶ……」
「? ハハハ」
言葉にならない言葉を話して猫に笑われてムッとすると。
「まだ言葉を喋れるようになってないから、もう少し成長してからこの世界のこととかお前の能力を説明してやる。
それまでおとなしくここで暮らせ。
私は地上で情報収集や旅の支度をしておく」
そう言うと猫は翼を羽ばたかせて飛んで行った。
『俺は置き去りか!』
心の中で叫んだ。
それを見ていたドラゴンはあきれたように首を振ると横になり目をつぶって寝てしまった。
「神龍様はお休みになられた」
竜人達は言い一礼して俺達を抱いて部屋を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます