Fin



既読付くはずがない

ブロックされててもおかしくない


そんな事を考えて寂しくなっている

私はまだ希の事が好きなのだろうか


はぁとため息をついて

布団の中に潜り込んだ


あの頃の希の笑顔が

フラッシュバックする


それだけで胸がキュンキュンする


社会人になって

男女共に接触はあるが

こんな気持ちになった事は一度もない


最初で最後の恋だったのか

と思うレベル


その時にスマホが鳴った


表示された名前は《希》

慌てて名前を見直した


何度見ても《希》だった


驚きと嬉しさと緊張

頭の中が混乱状態


とりあえず電話に出る




「もしもし」




希の声は少し大人っぽくなっていた

その声にどきっとした



「もしもし、久しぶりだね。

どうしたの?」



何とか平常心を演じて

声を出す




「春からLINEが来たから嬉しくてつい」




希の声は嬉しそうだった

画面の向こうで満面の笑みが

想像できる


またもやどきっと胸がなった




「そっか、元気そうでなによりだよ」




私がそう言うと

希は嬉しそうに話続けた


可愛い


LINEしてよかったと思いたいが

しなきゃよかったが勝ってしまう


また好きになってしまう

だから電話を切ろうとした




「待って、もう少し声聞いてたい…」




希はそう言った


こんな事言われたら勘違いしてしまう

怒りたいところだが

可愛すぎて頬が緩んでどうしようもない




「そんな事言うの意外だね」




気づかれないように

素っ気なくしてしまった




「だって、ずっと話したかったんだもん

嫌われたと思ってたんだもん

寂しかったよ…春」




言葉と言い、不意打ちに名前呼ばれ

心臓に悪い




「幸せになってねって言ったの覚えてる?」




希はそう言った




「覚えてるよ

あ、好きな人とはどうなったの?」




聞きたくないのに

聞いてしまった


希は黙った


返答がなくて名前を呼ぶと

やっと返ってきた




「好きな人と、ずっと話せなかったんだけど

また話せたよ」


「そっか、それはよかった」




一瞬私の事かと思ったけど

そんな事があるはずない




「今度こそ幸せになりなね」




そう言って電話を切ろうとした




「春の事が好きなんだよ」




希の声ははっきりそう言った




「ずっと、春が好きなんだよ」


「私も…ずっと好きだった…」



こうして私の初恋は

再び始まった



「お変わりないですか」



そんな一言が

私達を結びつけた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お変わりないですか 小波 せん @konami_sen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ