第31話

木曜日。

PM4時の予定だった家庭訪問なわけなのだが・・


なぜなんだ?

亜子先生は、愁花と一緒に3時に家にやって来た。


ピンポーン

「まさるぅ。亜子先生と来たよ。開けてよ~」


「あ、ああ。ちょっと待って」


や、やばい。

ついさっきまで俺と純菜さんは、ひょんな拍子からまた愛し合ってたところだった。

とにかく、俺は、急いで着替えたが・・

純菜さんは、まだバスルームから出てこれない。


「こ、こっちです。」


「ああ、ここで結構ですよ」


「い、いえ。せんせ仕事部屋見たいって言ってたでしょ。奥へどうぞ」

<とっさに出た言葉だが、この家に俺に書斎など無い・・>


このアパートは、玄関のすぐ横がバスルーム。

仕方なく、愁花と亜子先生を一番奥のキッチンテーブルに座らせた。

<はあ、これなら純菜さんも、横の扉から寝室に入って着替えられるぅ>


「まさるはね~。いつも、ここで小説書いてるねんよ」


「へっ?台所で・・書かれてるの」


「あ、はい。仕事場は、駅前に部屋を借りているのですが、いざ本気で書くとなるとここが、一番筆が走るんですね。だから、ここが一番大事な仕事場なんです」

<辛い言い訳になってしもうたかあ>


「す、素敵です。偉大な文豪たちも、そう言った隠れ家的な創作の場を持っていたとも聞きますし。そうだったんですね。」

<それで、こんなところに転がり込んだのね。それだったら、私の部屋の方が・・>


ガタッ。ガタガタ。


「こ、こ、こ、こん…にちはぁ。」


「あら、お母様こんにちは。いらしたんですね」


「ひゃ、は、は、はい。い、い、いつも、愁花がお世話に・・なて・なてましゅう」

<なにこれ、純菜さん。緊張してめちゃくちゃ可愛ええくなってるぅ>


「ママは、これから病院に夜勤に行くんだよ」


「あ、そうなんですね。お忙しいところすみません。」

<なにこの女ぁ、へたすると私よりも若く見えんじゃん。ああこれ、マサルさん絶対に浮気されているわ。見た目に騙されてかわいそう。あの女から助けたい・・>


「じゅ、純菜さん。もう時間だよ。そこまで送るから早くいって!」


「ひゃああぁ。わかったよぉ」

「愁花も、さくらん家遊び行ってくる~」


俺は、ややこしくなりそうなんで無理やり純菜さんを仕事に送り出した。


さあ、早く家庭訪問を終わらせよう。

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