番外編 魔法使いからバーサーカーへジョブチェンジしました。

 ※これは本編が大団円を迎えた後の物語の先取りとなります。

 つまりは約1年後の物語。世間がバレンタイン企画や話を盛り込んでおりますのでそれにあやかっての話です。

 それよりもバレンタインという事は友紀の誕生日もすぐじゃない?という事で。


☆ ☆ ☆


 「誕生日おめでとう友紀……さん。」


 テーブルを挟んで向かいに座る友紀に、真人は箱包みを手渡す。

 それを受け取る友紀は、中学生の女子のように照れながら赤くなっていた。


 「ありがとうございます。早速開けてみても良いですか?」


 「どうぞどうぞ。」


 友紀はセロテープを綺麗にゆっくりと剥がしながら丁寧に包装紙を解いていく。


 「あ……」

 いつかエプロンをプレゼントされた時の事を思い出したのだろう。

 友紀はその中身を見て真っ赤に……なると同時に少し呆れていたように真人は感じた。

 

 「これは……」


 「この前買い物に行った時に欲しそうに見てたからさ。あの時を考えて断念したようだったから。」


 「……ありがとうございます。」

 嬉しそうだけれど、どこか複雑そうな表情の友紀。

 それもそのはず、「夜も安心上から下まで一式コーデ」(別名:今夜から貴女もサキュバス)と言う名の下着一式セットがそこにはあった。

 ちょっと攻めたセクシーな下着であり、以前の友紀であれば確実に欲しがらないであろう類のものであった。

 それなのに欲しそうにしていたのには理由がある。

 色々解禁してからもう1年になる。当然今の二人は魔法使いでも賢者でもない。


 「もちろんそれだけじゃないよ。」


 封筒が入っておりその中には手作りの紙が入っていた。

 

 「マッサージ券?期間は永久?」


 「えっちなのはいけないと思います。」

 セクシーな下着にマッサージ、エッチな事に繋げてしまうのは大人であれば仕方のない事。

 「あ、別にえっちな意味では……最近疲れてると思って。理学療法士の資格があるわけじゃないからきっちりした事は出来ないかもしれないけど。」


 「日頃の疲れを少しでも解消させてあげる事が出来たらなって思って。」


 「あ、はい。そうですね。ありがとうございます。」


 下着の事もさることながらこの1年で二人は随分と変わった。

 魔法使いからクラスチェンジした夜のバーサーカーは、普通のカップルや夫婦と変わらなくなっていた。

 もっとも恥ずかしがったり照れたりは相変わらずではあるけれど。


 「まだあるんだ。」

 そういってもう一つの筒みを友紀に手渡す。


 「なんだか今年はたくさんですね。」


 同じように丁寧に包装を解いていくと……

 「メイド服?」


 それは後のアニスミアのメイド服となるクラシックなメイド服であった。

 スカートはもちろんロングであり、セットでミニもあった。

 えんじ色のラインが他にはないデザインとなっている。


 バレンタインの時を思い返すとこうだったと真人は振り替える。


☆ ☆ ☆

 2日前、2月14日。世間ではバレンタインデーと呼ばれているリア充祭典の日。


 「真人さん……」

 すっと差し出してきたのは小さな箱の包み。


 これは間違いなくアレだ……チョコだと真人は思った。



 「あ、ありがとう。」

 その包みを受け取り真人は礼を言う。赤くはにかみながら友紀は包みから手を離す。


 「そ、それと……」


 真人は何だろうと思いながら続きの言葉を待つ。。



 「わ、私と一緒に召し上がれ?」

 爆弾発言を前に真人は冷静ではいられなかった。

 三こすり半劇場に出てきそうな状況に夜のバーサーカーは……


☆ ☆ ☆


 「ぴゃあっ!?」

 「あ、ごめんね。肩が凄い凝ってるみたいだから……」

 特に肩甲骨周りが凄い張っていると素人の真人でもわかっていた。


 「あぅんっ……だ、だめ……ひゃうっ……はうんっ」

 決していかがわしいことをしているわけではないのだけれど、真人が友紀の肩甲骨廻りを指圧する度に挙げられる友紀の声はとても甘美なものであった。

 

 真人は温泉に行った時にマッサージを受けるから分かっているのだけど、尻肉のマッサージは物凄く来る。

 マッサージ師がおじさんとかおばさんとか関係なく、ツボを押さえられたら痛かったり気持ち良かったりするものなのだ。


 

 

 肩廻りから始まり背骨に沿って背中、肩甲骨と解していき……腕へと移る。

 「ひゃっ……ふぅ……んんっ」

 腕を揉んでいる当たりで再び淫靡な声が漏れてくる。

 二の腕あたりを解している時、真人はぷにぷにして気持ち良いと感じていたけれどそれは言葉にはしなかった。

 掌を解していくと、友紀の掌が少し汗ばんでいる事に気付く。


 左側が終わったので同じ事を右半身でも行っていく。

 背中や肩甲骨廻り、腕で同じように友紀は声を漏らしていた。


 背中から上半身側が終わったので下側へと指圧は移っていく。

 尻の少し上辺りを押したときも……


 「んあああっ、あっ!」


 「大丈夫?」

 真人は声を掛けるが友紀はそれどころではなかった。


 「はひぃ。らいじょうぶれふ。」

 痛いとか気持ち良いとか感じるという事はそこら辺が凝っていたり張っていたりするという事。

 をしているという事はそれだけ身体に負担がかかっているという証でもある。


 「つ、続けるけどこれはマッサージだからね。それと本当に嫌だったらちゃんと言って。」

 友紀はコクコクと首を縦に振るので精一杯の模様。


 尾骶骨周辺を圧すとやはり声が漏れる。

 そのまま真人の指圧は下半身へと移りついにはお尻のほっぺへと……


 「んああひあっ!」

 先程断ったので真人は構わず続ける。少し鬼畜であった。

 「んんああぁぁっ!」

 圧しながらお尻を左右に揺らす。その度に友紀の声は荒々しくなっていく。


 「ひゃっ、はうぁっ……あっ……だ、だだ……らめぇぅっ!」

 真人は圧している指の力を緩めて友紀の顔を見る。

 「苦しい?」

 先程掌でも感じたけど若干友紀の顔には汗が見られる。

 やはり少し強すぎたのだろうかとか、悪い所があったのかと真人は考えてしまう。


 「違う。や、やめないで……も、もっと……もっとして欲しいの意味の【だめぇ】です。」

 どうやら違ったようだ。下世話な話かもしれないけれど、マッサージは総じて痛いか気持ちいかの二択なのだと真人は思っている。

 左側のお尻が終わると次は右側へ……


 その時少し股間の当たりに指が触れてしまうが真人は気にしていなかった。

 というより気付いていなかった。粘膜性のある液体が付着していた事に。

 ぴくぴくと友紀の太腿や脹脛が震えていた。


 お尻が終わるとそのまま太腿へと真人の指圧は移る。

 太腿や脹脛も腕と同じように痛気持ち良いゾーンである。


 「ひゃうっ……あふっ……あんっ……んっんーッ!」


 


 裏側全ての指圧が終わると次は仰向けになってと真人は言う。

 「流石に表面はそんなに圧せる所ないけど、ちょっと我慢してね。」


 首の裏あたりから指圧していく。

 鎖骨の下辺りを圧すと結構硬く、凝っているのが真人にも伝わる。

 

 友紀の表情が強張る事からもそれは伝わってくる。

 そのまま外側をなぞるように、腋の方へと圧す位置を変えていく。

 ちょうど上乳の外側というべきか。

 友紀はもうどこを圧されているかも自分ではわかっていない。

 

 真人もいやらしい事をしているわけではないので、不用意なところに触れたり圧したりはしない。

 エロマッサージ師であれば突起に触れたりもするのだろうけれど。


 「ひゃんっ、あんっ……」


 今度は仰向け状態で腕を揉んでいく。

 やはり腕の辺りは硬い。


 左側が終わると右側も当然行うわかだけれど、反応としては左側と同じだった。 



 「じゃぁ最後に足ツボいくね。流石に道具使ってやると痛いから指だけでイくから。」

 何故だか文字がおかしいのだけれど、真人は特に意図して言ったわけではない。


 「あっあっああーーーーーッ!」

 世にも大きな友紀の声が広がった。

 友紀が悶死しそうである。

 「あっあぁっ……だ、だめーーーーっひゃぐっ!」

 友紀の足裏はどこを圧してもこんな感じである。

 もちろんくすぐったいも含まれるのだけれど、圧している真人は気付かない。

 自分が温泉地でマッサージを受けている時にはわかっている事だというのに。


 「ぴゃうっ、ひうっ……あっあっあっああぁあっ!」


 足裏のツボが終わると足の指を解していく。

 


 「はぁっ……はぁっ……」



 「つ、次は……も、もっと激しくしても良いですよ。」


 友紀は少し……ソフトMだなという事は真人は知っていた。

 それがこの1年の歩みで分かった事の一つ。



☆ ☆ ☆


 「あと、これも誕生日プレゼント。」


 小さな袋を真人は友紀に手渡した。

 受け取った友紀は早速その封を開けると輪っかが出てきた。


 「友紀さんこの前そっち系だって言ってたから……」



 「あ、ハイ。よろしくお願いします。」

 嬉しそうにしてそれを真人に手渡した。

 「真人さんが付けてください。」

 

 「あ、でもマッサージで汗かいちゃったから……」

 

 「俺は気にしませんよ。」

 首輪を誕生日プレゼントに贈る夜のバーサーカーは第二ラウンドへと突入した。



 第二ラウンドが終了し、布団で仲良く仰向けになって眠る友紀の首には自分の名前が彫られた首輪が嵌っていた。


―――――――――――――――――――――――――――


 後書きです。

 2月16日は友紀さんの誕生日です。

 本編から1年後という設定でバレンタインと誕生日の話をさらっと挿入しました。


 そして本編では冬コミの後2月へという流れには向かいますが……


 公言しているようなものなのでわかっている方もおられるとは思いますけど、その2月で魔法使いは卒業する予定です。


 あ、なんか友紀はソフトMだったようです。

 これはあくまで1年後の話ですからね。


 メイド服のイメージはあのお店の本家です。15年前のものでもぐぐれば出るんじゃないですかね。



 本作でもここまで大きな声をあげた事がない友紀さんですが……

 えろよりもえろいマッサージで大音量……


 今から4年かけて理学療法士の資格取って来いよ真人君と。30代で学校通って取得する人もいますよ。

 リハビリ始めて10ヶ月くらい。少しは生かせたかな……

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