第75話 「小悪魔友紀さん太」さん

 「おかえりなさい。ごはんにする?お風呂にする?それとも……あなただけのサ・ン・タ?」


 2回目を言われた真人、大事な事なので友紀は二度言ったのだろう。

 冬コミ用の衣装は11月の内に作っていたので12月に入ってから作っていたのはこのサンタ衣装だったのだろう。

 中々見せてくれなかったので真人には何の衣装を作っていたのかはわからなかった。


 しかし……なぜブラックサンタなのだろう。ブラック聖〇士?

 あれ死亡フラグじゃん。


 何かしようとして結果的にラッキースケベになる事を考えればある意味死亡フラグなのかも知れないけど。

 

 「な、何か言ってくれないと恥ずか死にます。」

 肩が見え、胸が見えそうな所謂際どくて夜のお店で利用されていそうな衣装なのだ。

 それは恥ずか死ねるだろう。


 正直こういうサンタは偽物サンタなのだけれど、真人にとっては友紀が着ている以上ポリシーだとか信念だとかはどうでも良くなる。

 可愛いからOK、可愛いは正義というやつなのかも知れない。


 三依が同じ衣装を着ていたとしたら……

 「足で踏む?膝でズドンする?それとも……この袋の中の道具総動員する?」

 と、放送出来なくなりそうだなと内心で思ってしまう小悪魔的衣装であった。

 

 肩が見える、胸が見えそうになっている。という事は鎖骨も見えているというわけで……

 ないのだ、アレが。女性であればなければならないアレがないのだ。


 なければならない紐というかワイヤーというか……とにかくないのだ。



 「さ、サタン?」

 噛んだわけではないしネタで返そうとしたわけではないけれど、真人は思わずサタンと返していた。

 堕天した天使でもなければミスターでもない、低俗過激団……帝国〇撃団の敵でもない。


 小悪魔友紀さん太(サンタ)は妖艶と可憐が同居していて、真人の動悸は激しく昂っていた。

 ちなみに下はミニスカートである。

 女性サンタ衣装でミニは邪道だと思っている真人であるが、これもまた似合ってるし良いかとポリシーもどこかへ消えていた。

 腿までのハイソックスにガーターベルトと思しき腿のライン。ナニコレやばい、えろ可愛い。

 絶対領域にガーターベルトって破壊力抜群ですよ、と真人は脳内で誰かと会話していた。



 「小悪魔友紀さん太さんに出迎えられて倖せ者だよ。もちろん……選ぶのは3、小悪魔友紀さん太さん。」


 靴を脱いで一歩近付くと例によってラッキースケベの神はいたずらをする。

 おっとっととつまずき、友紀のむき出しの肩を真人の手が掴んだ。


 「ひゃんっ。」

 驚いた友紀の声と赤らめた表情が艶めかしい。


 ブラックサンタ衣装の上半身部分がストンと二の腕の辺りまで落ちる。


 「もー吃驚した。紐がないから着けてないと思いました?ちゃんとチューブトップ着てました。」


 近付いた事で理解出来たけれど、そのチューブトップさん。

 ミニだからおへそが見えております。

 断じて言いますが、態と見たわけではありません。見えてしまっているのです、と真人は心の中で言い訳をしていた。


 えへんっと両方の腰に手を当てて威張る友紀の姿にほっこり癒されていると……


 「あ……」

 どうしたことでしょう、チューブトップもストンと落ちて……


 結局ラッキースケベは起こりました。

 

 真人は羞恥で動きが止まった友紀を抱き寄せて背中に手をやった。

 

 「あ、ほら。上げないと。」

 

 「んっ。はうっ。」

 身体を密着させているために動くと……擦れてしまうため過敏に反応してしまう。

 

 どうにか元のブラックサンタに戻る事は出来ていたけれど、羞恥と快感で蕩けている友紀だった。





 「いただきます。」

 友紀を……ではなく、今日の日のために友紀が用意してくれたクリスマス版晩御飯。

 今ヨネ〇ケが突撃してきても一口もやりたくない。

 それくらい、食欲をそそるし食べてみると美味しい。


 「クリスマスだからいつもより美味しく感じるね。これを作った友紀さんも当然美味しいよ……ね?」

 って何を下ネタに走ってるんだと後悔した真人。


 「そそ、そう言う事いう人嫌いです。」

 言葉とは裏腹に激テレ状態の友紀。

 黒いサンタ衣装で顔が真っ赤だと思いっきり萌えると思いませんか?と真人は脳内で会議していた。


 ご飯を食べ終わると食器を下げて、友紀が洗っている間に真人は先に風呂に入った。

 今日、世間ではこれが本当のホワイトクリスマスだーといってエッチな事してるカップルや夫婦は多いなろうなと思いながら湯船に浸かっていた。


 クリスマスとホワイトデーではかける人が多いと当社比調べ。

 そんな三こすり半劇場のネタにされそうな想像をしていると、先程の玄関前での事を思い出す。


 「最近友紀さんがどんどん積極的に大胆になってきている気がする。」


 「このままいくと……そろそろ卒業を本気で考えないといけないなぁ。」


 「近藤さん、買っておかないとダメかな。」

 財布の中に入れておくと童貞拗らせるという都市伝説もあるのだけど、真人は知っているのだろうか。

 



 一方その頃……


 「大分肌見せにも抵抗がなくなってきた気がする。」

 計算しているようにも取れる発言であるが、友紀にはそこまでの計算性はなく。

 今日の出来事に置き換えると、単に肩を見せるという行為を指している。

 その後のストン以降についてはラッキースケベ神のいたずらのため想定外の出来事であるのでカウントに含まれない。


 

 「いつか自分をラッピングしてプレゼントはわ・た・しとかやってみたいと思うけど……それは流石に恥ずかしい。三依ちゃんじゃないんだし。」




 さらに一方その頃……



 「へっくしょいっ、てやんでばろちくしょう」


 五木……天草大里の上に乗って連結している三依が盛大なくしゃみを放っていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る