第62話 花火が上がるとキスするカップルどのくらい?(友紀視点)

 どどーんどーん


 花火が打ちあがる音。

 花火の光でみんなの顔が光って見える。

 やっぱりカップルか家族連れがほとんどを占めてるなぁ。


 「たーまやー」

 今時花火で掛け声かける人見た事……

 あ、うちのお父さんでした。


 「かーぎやー」

 そして今度は真人さんのお父さんでした。

 

 「ちんどんやー」

 最後のは違うっ

 って三依ちゃんかい。


 私と真人さんはこの前染めた浴衣を着ております。

 三依ちゃんが良いなーと言っていたので来年は一緒にどう?と誘っておきました。


 2組の夫婦で参加というのも楽しそうです。

 って私達がそうなってるかはまだわかりませんが。


 花見の時と同じく、普段あまり食べない焼きそばとかたこ焼きとか今川焼とか……

 三依ちゃん、男性陣より食べてるけど大丈夫かな。高校の頃から良く食べる子ではありましたが。


 「綺麗~」

 私が花火を見ていうと。


 「君の方が綺麗だよ。」

 と真人さんが返してくれた。

 もーそれなんてラノベ?

 萌死とかキュン死とかさせる気ですか。


 そんなに私ばかり見ないでー

 恥ずかしいので花火を見ていてください。

 

 「まこPさんくっさー。」

 三依ちゃんは茶化さないで。


 「でもそう言わないとウチの嫁は起こるんだよな。」

 五木さんがしみじみ言ってます。


 「うちのも言いますね。」

 霙も言わせてるの?なんてこったパンナコッタ。


 花火の種類はわかりませんが、どれを見ても綺麗です。

 でも儚いです。

 咲いた瞬間から暫くは綺麗なのに、あっというまに夜空の闇に消えてしまう。


 私達に咲いた恋の華は……

 闇に消えたりしませんよね。


 自然に真人さんの手を握ってしまう。

 一瞬戸惑ったみたいだけど、真人さんは握り返して放すものかという意思を感じます。


 「真人さん、綺麗ですね。」


 少しの間の後


 「うん、綺麗だ。花火なんて久しぶりだったけど、一緒に見れて良かった。来年以降も一緒に見たいね。」


 真人さんはそう言ってくれた。


 私は自然と頭が真人さんの肩へと倒れ込んだ。

 すっと真人さんも私の方へと重心を寄せて少し傾けてくれた。

 

 「花火もそうだけど、一緒に温泉行ったり雪祭り行ったりコミケに行ったりしたいよ。」

 最後のコミケが私達らしいなと思った。

 繋がった手と手が互いの温もりを感じさせてくれる。


 ふっと真人さんがこちらを見てくる。

 それに気付いて私も真人さんを見る。


 理屈や理性なんて要らなかった。

 みんなが花火に夢中になる中。

 私達は互いの引力に引き寄せられ。


 どーんと花火が上がった時

 お互いの唇が重なり合っていた。



 そして私達以外の同行者達はその様子を優しく見守っていた。   

 一名、暗視カメラを構えていたけれど。


☆☆☆☆☆


 ここからは本日の反省です。

 反省ったら反省です。


 今日は少し大胆すぎた事を反省しております。

 まずはプールでの事です。


 水着を誉められたのは素直に嬉しかったです。

 でも三依ちゃんや千奈ちゃん達に対抗意識を燃やしてしまい。

 あの日焼け止めクリームはやり過ぎました。


 今思い返してみると……

 触れられましたよね?

 真人さんが気付いているかはわからないけど。


 私のあそこに指、触れてましたよね。

 多分そこから歯車はおかしくなっていたのです。

 

 流れるプールでおんぶしてもらったりしたのも、そのせいです。

 ふともも触られても嫌な気はしませんでしたが恥ずかしかったですよ。

 ない胸だって背中に押し当ててしまいましたし。

 必要以上に強く身体を当てたりしてしまいました。

 

 けれどそうしてないと、関係ない人の近くにいってしまいそうで……

 とはいえいつになく身体を預けすぎました。

 でもあのウェーブプールの波が悪いんです。


 誰も予想出来ないじゃないですか、水着が波に攫われるなんて。

 それなんてラノベ?ってやつですよ。


 その後身体を盾にしてくれた真人さんには感謝しかないのですが。

 お胸が生で当たってしまい……そのぅ


 恥ずかしかったのと……どきどきしてしまったのと……ちょっと気持ちい……って何言わせるんですか。

 それがいけなかったんだと思います。


 真人さんがその……反応してしまいまして。

 でも男性だから仕方ないのかもしれません。

 反応したアレが私のお腹に……水着越しではありましたが当たってしまい。

 

 監視員を探そうと動いた時に更に圧迫され押し挟んでしまう形になって。

 もう何が何だか……


 不思議と嫌な感じはしなかったのですが、私も……そのぅ

 おまたがちょっとじん。としたのを感じてしまって……

 

 三依ちゃんから水着を受け取り装着すると


 「真人さんのだったら平気です。お腹で真人さんを感じました。」


 なんて思わず出ちゃいました。

 これ、あとで思い返すととんでもない言葉でした。


 もー恥ずかしくてお嫁にいけない……あ、真人さんに貰ってもらう予定でした。

 きっとえっちな子だと思われたに違いありません。

 

 あ、そこ。子とかいう年齢じゃないだろなんて言っちゃだめです。

 こういうのは年齢の問題ではないのです。


 とにかくこのプールには魔が宿っています。

 きっと他のカップルさん達にもイベントが起こっているに違いありません。

 

 あ、でも……うぅ

 そのうちアレが……


 

☆☆☆☆☆


 あの後どうにか水着の件も解決して

 みんなでもう一回流れるプールで流れて


 私が他の人に触れないようバリケードを作ってもらっていたのは申し訳ないけど

 楽しめたと思います。 


 花火も綺麗でしたし。


 でも、キスシーンを全員に見られていたのは恥ずかしくて死ぬと思いました。

 仕方ないのです。雰囲気ってあるじゃない、きっと同じ事したカップルさんも何組はいるはずです。

 それより三依ちゃんが花火でも綺麗に取れるカメラを私達に連写していたのが解せません。


 それを千奈ちゃんが焼き増ししてと言っていたのも解せません。

 というか今はデータで簡単に写真のやり取りが出来ます。


 被写体が私達じゃなければ、物凄く良い写真なんですけどね。

 バックの花火が良いアクセントになってましたし。

 写真としては良い絵でしたよ。


 えぇ私もデータ貰いましたよ。

 待ち受けに……は流石に出来ませんでしたが。 


 それにしてもプールでの事。

 えっちなのはともかく、考えようによっては私の貧相な身体で反応してくれたという事だよね。

 悪い事でもないですよね。

 花火でのキスもお互いがお互いを想っていたものが溢れたからですよね。

 

 むぅ、なんか今日は寝れそうにありません……

 今度責任を取って貰いましょう。


 布団の中で悶々としながら夜が更けていくのを待ちました。






 待ちましたじゃないよ。私達出番少ないよ。

 霙と氷雨ちゃんが帰ってから愚痴っていたとかいないとか、後で言われても知りません。



―――――――――――――――――――――――――――


 後書きです。


 今回は友紀さん視点で多少回想含みの花火回でした。

 花火がどーんと上がった時の接吻て絵になると思いません?


 キスする二人のバックには咲いた花火が。

 夜空とセットで良い絵だと思うんですよね。


 友紀さん、少しだけえっちな事に興味が出てきました。

 荒療治ではないけどプールは良い経験になったかと。


 大分その他大勢の異性に対して恐怖と嫌悪を抱かなくなりつつあります。


 夏コミ回……いるかな。     

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る