第61話 その昔芸能人の水泳大会ではPORORIあったよ?
「本当に申し訳ありませんでした。」
覚醒した友紀さんにひたすら平謝りする。
「もう気にしないでください。私も恥ずかしくなっちゃうので。」
それに…と続けて。
「膝枕堪能出来ましたし?それはそれで良かったかなと。」
まだ顔が赤いのは太陽の熱のせいではない。
照れとデレの成分が化学反応を起こしていた。
両家の親父同士は母を連れて流れるプールに行っている。
浮き輪があるとはいえ、氷雨ちゃんに波のプールはまだ危険という事で霙さんに連れられ同じく流れるプールに。
2人が危険な目に合わないよう結城も一緒で見守っている。
五木さん達夫婦は千奈を連れて波のプールではしゃいでいる。
流されなければ良いけど。
そしてそれがフラグとなってこの後……
「流石に荷物番がいないわけにもいかないので最初の留守番って感じかな。」
「交代するとして、あの中に入れそう?」
そこまでぎゅうぎゅうではないけど、少ないわけでもないので場合によっては他人と触れてしまうかもしれない程度には人がいた。
「えっと…正直わかりません。以前程ではないと思いますが。」
友紀にとって苦手は、服を着ているとか水着を着ているとかではない。
異性という事が問題であり引き金であるだけである。
それも最近は大分緩和されているのは友紀自身実感していた。
水着を買いに行った時も、それなりに他人の異性はいたけれど、そこまで敬遠するほどではなかった。
「近くに行って無理そうなら、遠慮せずに言って。抱き抱える事は出来るけど、気分悪くさせるわけにもいかないしさ。」
「そうします。せっかく来たし、水着も買ったので……ちらっ」
何かを言って欲しそうなその目線に…
「そうだね。そもそも友紀さん、まさかのプールOKで可愛い水着を着て出てくるから…天使かと思っちゃったし。」
思った事がそのまま言葉に出てしまっていた。
萌えと照れとデレの化学反応が起こした結果……
「もー、もー、そういう恥ずかしいセリフは2人だけの時にしてください。もー。」
もーもー星人になってしまった友紀さん。
なぜだろうか、カップル達の周りだけ気温が高く感じる。
サーモカメラで見ればきっと真っ赤だろう。
その中でも真人と友紀のところは真っ赤を通り越して真紅となり、氷やチョコはどろどろに蕩けて…溶けてバブルスライムみたいになるだろう。
やがて親父達が戻ってきた。年のせいもあるのか疲れたのだろう。
「おじさん達は少し休ませてもらうよ。」
だそうだ。この場合のおじさんというのは年寄りの比喩を指す。
「せっかくだし…行く?」
立ち上って友紀へと手を差し伸べる。
「真人さんが守ってくれるなら。」
その手を取り立ち上がると、そのまま腕を抱く友紀。
当たってます…二の腕に。
「お、おう。任せときんしゃい。」
流石に歩き辛いので手を繋いで腕同士を絡めるに留めてもらった。
それでもただのバカップルであるが、そういうのは周囲にそれなりにいるので然程目立ちもしない。
人の少ない方…といってもそんなに変わらないけど、水と人に慣れるというところで流れるプールに入る。
先にプールの中に入り、友紀さんの手を取りえいっと友紀さんが水の中に降りた。
「あ…思っていたよりは大丈夫…かも。」
なるべく友紀を壁側にして人と触れないようにし、反対側は真人が壁となる。
前後に関してはそれとなく見て人との距離を測るようにする。
ソーシャルディスタンス、この頃からあったんだ。
ゆっくりゆっくり流れながら進んでいく。
「気持ち良いですね。」
プールの流れに身体を預けプールと真人成分を補充する。
他人が気にならなければこんなにも楽しいものなんだと認識する。
「そろそろ少しは慣れた?というか大丈夫?」
その言葉に軽く頷く。
すると真人は友紀の前に行き両手をそれぞれ掴んで、バックで進んでいく。
真人が引いてあげる形だ。
「せっかく流れてるんだから、こうした当たり前の楽しみ方をしないと。」
確かに周囲のカップルや親子の何割かはやっている。
そうして1周の半分くらいを進むと…
「おんぶしても良い?」
周りには彼氏が彼女をおんぶスタイルで進んでるのが見える。
「ひゃいっ」
それはどちらの意味だろうか。
「肯定」なのか「驚き」なのか。
「ぁぅぁぅ…ぃィDEATHょ」
なんだか不穏な音が混ざってた気がするけど。
真人は友紀に背を向けて少し前かがみになった。
「どうじょ…」
噛んだ。
おんぶを振っておいてなんだけど、真人自身も緊張していた。
「ぇぃ」
精一杯の気合と根性で真人の背中に飛び乗った。
真人の背中と友紀のお胸とお腹が接着し、友紀の腕が真人の前に回される。
真人は意を決して手を友紀の太腿をキャッチし……水中おんぶの完成!
これは2人にとって大きな前進。
超・密・着!
背中越しに伝わる心臓の音と振動。
ない胸だからこそかはわからないが、緊張と共にそれは共有のものとなった。
「ゆっくり進むね。」
「ふぁい。」
ぎこちなく、ゆっくりと、油の切れたロボットのように……
水の流れに委ねながら進んでいく。
周囲を見ている余裕はあまりない。
友紀は水に負けまいと真人を強く抱きしめ、真人は落とすまいと太腿をがっちりホールド。
水着という薄い布で遮られているからこそ感じるエロス。
逆に言えば薄い布があるからこそ出来る大胆な行動。
その辺のカップルは当たり前のようにやってるように見えるが。
他のカップルにはそれぞれの経験があるのだから同じ目線で考えてはいけない。
「んっ」
たまに聞こえる友紀の声がなめかわしい。
そりゃ…布で遮られているとはいっても…お胸が背中に当たって擦れるのだから…ね。
意識はしなくても身体は正直というもの。
特に卑猥な事を考えているわけではないが、こうした行動が将来致す時に役に立てば……
互いに大胆になった事は無駄ではないはず。
「そろそろ1周したね。」
真人は名残惜しいが友紀を下ろす。
直立し、少し前かがみになっており易いよう調節していた。
「ねむが城戸木戸してました。」
胸がドキドキしてましたと言いたいらしい。
そしてもう一つのプール、波がざっぱーんとくるウェイブプールへ。
「おー高いなー」
波がプールの中にいる人たちを襲う。
ざっぱーんという効果音はあながち間違っていない。
「大丈夫?」
大波からは少し離れた位置だったためそんなに苦しくはない。
身体が少し後ろに持って行かれる程度だった。
「もう少し中心に行っても大丈夫ですよ。」
手を繋いで波が強く感じる中心の方へと歩を進めた。
すると次の波が…チャレンジャー達を襲った。
きゃーとかひゃーとかうおーとか叫び声が聞こえ、人々が飲まれていく。
真人と友紀も大波に全身を丸呑みにされた。
波が去り…
立ち上がると友紀の様子がおかしい事に気付いた。
胸元が…肩が…
素肌が…
お胸が……
PORORI
「あぅ」
真人はさっと友紀を自分の胸に抱き寄せる。片腕を友紀の腕ごと背中から回して、周囲から友紀の胸が見えないように隠した。
そして友紀は両手を脇から背中に回して抱き着いた。
友紀の水着…ブラが波に攫われてしまったのだ。
ナイスウェーブ!とはいかない。
このまま見当たらなければ……
プールを出るわけにもいかない。
「どど、どうしましょう。」
「監視員にタオルでも借りて一時対応してもらうしか?」
…流石の真人も反応してしまっていた。
流れるプールでの密着と太腿の感触。
そして今の胸とお腹の素肌での密着。
反応して……
友紀のへその下辺りに触れてしまっていた。
薄い布1枚越しに。
監視員に説明に行って対処してもらおうとゆっくり進むと……
反応したアレが友紀さんのお腹に、先程よりはっきりと当たってしまっていた。
これは絶対にバレている。
バレてないはずがない。
だってさっきより友紀さんのぷるぷる具合と顔の真っ赤具合がオーバーヒートして超必殺技ゲージ溜まってオーバーキルしてるんですもの。
沈まれっ俺の○○ッとか言えないし。
中二病っぽくしてもダメだから。
それもうアウトだから。
だって…不可抗力だし、周囲からの視線から守るためとはいえ生乳が当たってるんですよ。
童貞には刺激が強すぎてメントス要らずですよ。
なんて心頭滅却すれば的な逃避をしかけたところで声を掛けられた。
「これ、お姉ちゃんの?」
可愛らしい女の子の声がしたので振り向こうと思うと、友紀の水着と思われる布生地が見えた。
「あ、ありがとうご…」
完全に声の方に振り向くと…
「あ、三依ちゃん。」
先に友紀が気付いた。
「あ、真理恵さん。」
友紀さんのブラを自分の胸に当ててるし。
「あ、パット入り。」
それどこの東方ですかね。
「ちょっ、三依ちゃん。それは言っちゃいけません。」
どうにか返してもらい五木さんと真理恵さんで壁を作り友紀さんはブラを装着し始める。
そのおかげか周囲から奇異な目で見られる事はなかった。
何人かには見られたかもしれないけど。
真理恵さんが急に潜った。
しばらくして
「ぷはぁっ」
「まこPさん……堪能したのね?」
目線は下半身を向いている。
「ちょ……だって仕方ないじゃん。あんな状況じゃああするしかなかったし。」
「童貞には刺激がお強かったと。」
「童貞関係あるかな?」
すると水着を装着し終えた友紀さんが輪に戻ってきた。
戻ってきて近付いてきて、耳元で……
「真人さんのだったら平気です。お腹で真人さんを感じました。」
その言葉のせいでこの後何をしたか記憶が飛んでいた。
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後書きです。
PORORIが書きたかっただけです。
え?PORORIする程大きくないだろって?
イメージですよ。
貧乳乙女隊ここでも設立ですよ。
A78最強です。
真人さんも男の子です。
生での刺激にはそりゃ反応しますって。
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