第14話 かつて、再び
~ * * * ~
ボーグの旧市街の端、石造りの古い集合住宅に囲まれた場所に傭兵団『
三階建ての広大な館とそれに併設された大型倉庫、団員用の訓練場に加えて、騎獣用の飛行場まで備わっている。
警備をしていた団員に戻ったグルニャックは館へは入らず、倉庫の中へと入って行った。
所狭しと並べられた大きな棚には、様々な物が整然と置かれていた。
武器や防具。
土木用の工作器具。
騎獣用の装具。
樽や木箱からは酒や食料品の匂いが漂っている。
迷路のようになった棚の間の道を、グルニャックの後ろ頭は迷わずに進んで行く。
最奥の壁の扉、それが開かれた先には一際大きな空間が広がっていた。
奥の壁まで連なる、斜めに立て掛けられた長方形の鋼の揺り籠と、その中に横たわる金属鎧の巨人。
―― 錬金術により生み出された魔術機械の一種。
―― 対魔獣兵装『ギガス・メイル』。
「調子はどうだ?」
「あ、団長おかえりなさい」
服装から錬金術師とわかる男が、グルニャックの元へ駆け寄って来た。
「『ボーグス・ソルジャー』全三十機、試験運転終わりました。機体の問題は無しです。かなり俊敏に動きましたし、武装の威力も十分以上にありました。大型魔獣や亜竜種程度ならば、五体も投入すれば楽勝です」
錬金術師の男が手元の書類を捲る。
「けどネックはやはり使用者の消耗が激しいことですね。魔力量900の団員で以って最大五十分、800でその二分の一、700以下の団員では動かせませんでした」
『魔力量』とは使用可能な魔法を参照する数値かつ生命力かつ戦闘力を示すものである。
平均な人間の男女は500前後、兵士職の者は650~750、
訓練等により後天的に魔力量を増やすことは可能だが、逆に加齢や傷病などの理由によって減ってしまうこともある。
なお戦闘の達人であり血統の確かな騎士をしても平均は850前後であり、1000を超える者達は一流以上に分類されている。
「増幅器を頼んだヒルペン工房に秘蔵の魔生石を渡したんですが、工房長もこれが限界だと」
「そうか。いや、十分だろう」
ちなみに一般的なギガス・メイルの使用限界時間は、男が申し出た時間の約三分の二であった。
「戦場がコートデン大干拓地に移ったことを感謝せねばならんな」
「はい。陸地と違って輸送船が使えますからね。勇者ラルフ様々です」
「ああ。さて」
グルニャックが振り返り、視線が天井を向いた。
「出て来るがいい亡霊」
『おっ、気付いてたんか』
ジニックは霊体となっていた体を実体化させた。
空中で一回転し、軽やかに着地を決める。
「ジニック・ジュノークか。死に損ないが何の用だ?」
『おいおい、何の用だはねえだろ』
黒い瞳と黒い髪、後ろで揺れる狼の尾と頭から突き出た狼の耳。
子犬ではない生前の人の姿で、ジニックはグルニャックの前に立った。
『主様に
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