第21話 黒幕①
『はあ、は、やっぱりこの術は疲れるわね。かなり体力を削られた。』
ブルーベルの森まで飛行術を使うと、約10分でつく。普通にバスなんかで行くより4倍ほど早いが、その10分の間、落ちないように飛ぶことだけに集中していなければいけない。
10分間ぐらいなら自由気ままに飛ぶことも可能だが、そんなことができるのは一流の精霊術師だけである。修業中の身であるアリアがそんなことしたら、制御不能になってどこかよくわからないような湖に落ちるのがオチだ。
『さて、と、勢いで来てしまったけど、キラくんの居場所がわからないのよね。』
そうである。メリーは彼がどこにいるかなんて教えてくれていない。
『とりあえず、奥、よね。』
最近事件がおきていたのは全て森の奥だ。彼が行ったとしたら、そこだろう。
5分ほど歩いたら、問題の立ち入り禁止区域にたどりついた。
『やあ、アリアちゃん。彼を探しに来たのかい?』
『こんにちは、ウッズさん。…なんでわかるんですか?』
『そりゃ、顔に書いているからね。彼はまだ戻ってきていないが、どうかしたのかい?』
『いえ、彼の任務はもう終わりだそうなので、迎えに来ました。』
『ほう、そうかい。でも儂はどこにいったのか知らないよ。すまないね。この先は土地勘がくるうんだ。うっかり来た道を忘れてしまったら一生迷子になることを君も知っているだろう?』
『はい…。わかりました、一人で行きます。』
『ああ、頑張って見つけるんだぞ。』
何故ウッズさんが最後にニコッと笑ったのかはわからないが、ここで時間を食ってはいられない。アリアはすぐに森の奥へ入って行った。
引き寄せられるような感覚がして、森の中を迷いなく進んでいくと、一本の大樹が見えてきた。よく見ると、そこに大きな美しいドラゴンと、奇等が眠っている。
ホッと安心して、走ってそこに行こうとする。
しかし、そこで腕をつかまれた。強い力だ。抵抗しようとするも続いて頭や足も引き込まれる。
その方向を見ると―――――――。
『あ!?あなたは、なんで―――――――――――!』
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