第16話 初めての依頼 in  ロンドン①

奇等は、飛行機の中で寝かけていた。

「ん~。そういや、この飛行機っていつ向こうに着くんだろう。」


依頼書を見ると、向こうへ着くのは13時間後だが、現地時間は4時間しかたっていない。


「うー、時差ボケってやつになるのかな。」


奇等はこのように乗り物に乗って待っている時間が嫌いだ。何もしていないのに体力はもっていかれるからである。


「そうだ、この奇能で空って飛べないのかな。」


そういっても奇能はしゃべったりしない。


「もういいや、ぶっちゃけ酔いそうだし。やってやる。」


もし隣の客がこれを聞いていたら、どう思っただろうか。


やけになっていた僕は、奇能を使って昇降口まで誰にも気づかれずにいった。


しかし、問題はここからである。当然昇降口はしまっており、こんな大きなものを動かせば騒ぎを立ててしまうだろう。眠っている人に申し訳ない。


「職員用のドアってないかなぁ?」


そう呟くと、僕はドアを探しだした。そんなものあるのかと不安にもなったが、

実際あったので助かった。ドアであればそこまでの騒ぎにはならないだろう。


「へえ、こんなのにも使えるんだ。…たしかにこれはづるいなあ。」


なんと鍵を開けることができたのである。中の情報が頭に送り込まれてくる。

もはや水と感覚を共有しているみたいだ。


「よっと、うわ、さむ!」


当然だが、ここは地上からはるか上空であるので、温度はかなり低いそれに風で吹き飛ばされてしまいそうだ。


「よーし、ドアを閉めてっと、つかめてきた。」


なぜかわからないが、最近、「慣れる」のがかなり速い。これも奇能の副産物なのであろうか。


「やっほー!!なんかめっちゃ気持ちいい、サイコーだ!」





翌日、アジア州の国々で、「青い流星が低空飛行」という記事が一面に載ったのは言うまでもないことである。

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