第15話 依頼と疑問と好奇心と…

ビルに帰ってきてすぐ、僕は会長室に呼び出された。


「やあ、奇等くん。学校生活は充実しているかい?」


「はい、それはもう、毎日忙しいぐらいですよ。」


少しイラついている僕は、相手が会長であるのにもかかわらず皮肉気味で言ってしまう。しかし重正さんはそれを気にした様子はなく、真剣な顔で話を続ける。


「そうか、よかった。君をここに呼び出した理由だがね、君宛に依頼が届いている。個人依頼だ。」


「え、僕にですか?まだたいして依頼も受けていないのに?」


普通、ここでは、協会が決めた依頼をうけ、その成果から評判などが出回る。

つまり、個人依頼をされるような人は何回も依頼をやり遂げたベテランである。


「ああ、おそらく時道家と深く関わりのあるのではないかな。時道の名を連ねたものが協会に入っていることは別に隠していないからね。」


「そうですか、うちに関わりのある家ですか。」


ふむ、そういえば、僕がまだ中学生だった時にじいちゃんに話があると言ってきた人がいた。確かじいちゃんは、「もう昔の儂ではない。こんな老いぼれに依頼を出しても役に立てんぞ。」と言って断っていたっけ。昔はってことは前は有名なベテランだったのかな。

そんなことを考えていると、重正さんの声が僕を現実に引き戻した。


「ということで、明日から君は遠征に行ってもらう。悪いが4日ほど外国だ。依頼主はロンドンに住んでいるし、経費も届いているからな。学園には私から連絡をいれておこう。…しかも飛行機の便は今日だ。よっぽど急いでいるんだな、この人は。」


「マジですか!?…………わかりました、急いで準備をします。依頼書をくれますか?」


「当然だとも、まあ、初めての依頼だ。張り切っていけ。頑張るんだぞ。」


「ありがとうございます。それでは!」


そういって僕は会長室をでた。

そういえば、これって個人依頼だから同伴の人いないんだよね。

1人で外国かー。そう思うと少し気が重くなるが、相手は間違いなく僕を買ってくれているのだろう。期待に応えなければいけない。

それに初めての外国である。心が高鳴っていた。


「よし、着替えと、お金と、タオルと、パスポートと、携帯食だ。」


それに今回もらった依頼書を入れたファイルをリュックに入れ、僕は部屋を出て鍵をかける。あの悪魔姉妹のことはもう忘れていた。


「おーい、奇等。どこ行くんだよ、そんなに荷物を持って。」


「うん、ちょっと4日ほどイギリスにね。」


「イギリスぅー?おま、まさか。」


「ふふん、そうだよ。僕は依頼を受けて遠征をするんだ!」


「くうー。うらやまし、でも頑張れよ。最初の依頼だろ?」


「うん、大きく手柄を立てて、またご贔屓にしてもらうんだ。」


自慢げに僕は言う。

これから、僕はいろんな人に知ってもらって、だれにも頼られるようになろう。

そして、僕がみんな守ってみせる。先に約束したからね。




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