温厚な少年の激怒
第12話 プロローグ ~予定通りの学園生活と予定外の刺客~
「ねえねえ、今日転校生が来るんだって。しかも有名人らしいよ。」
「なによ、有名人って。」
「めっちゃ頭いいらしいよ。特待生って聞いた。まあこの学校来れるくらいだからね。私もよくは知らないんだけどさ。」
天王寺学園は私立のなかでもめずらしく、各学年クラスが2つしかなく、そのかわり、1クラス基本50人という異例の形式なので、転校生なんかの噂が出た時には、その話題でいっぱいになる。教室は、大学の講義を聴く場所をもう少し大きくしたような感じで、一応は教師から全員の顔が見えるようになっている。
「優理香、それほんと?」
「うんほんとだよ、兄さんを問いただしたら教えてくれた。」
「そっか、優理香のお兄さんここの学校の先生だもんね。」
「それにしても転校生かあ、どこの奇族なんだろう。どんな奇能を使うんだろう。」
「そうだねえ、確かにそれは気になるねえ。」
そうなのである。この学校は奇能力を持つものが通う高校であり、中等部、小等部から、奇能力者ではあるが、日本人としてしっかりと学業を周りを気にすることなく学ぶため、設立された学校なのだ。
ちなみに生徒は普通の職につくか、協会に入って魔物や奇能持ち犯罪者と戦う仕事につくかにわかれる。校内では、奇能力をつかった戦闘の大会もある。
「「お前ら、座れ、LHRを始めるぞ。」」
「「「「「はーい。」」」」」
「せんせーい、今日転校生がくるってほんとですか?」
「はあ、お前らのその情報源はどこから来てるんだか。…本当だ。もう少ししたら来ると思う。」
「男子ですか?女子ですか?」
「男だ。見て驚け、本物の有名人だ。」
女子たちから黄色い歓声がもれる。
『ガシャガシャ、ガシャン!!!』
そのとき、いきなり教室の窓ガラスが割れた。
「ヒャヒャヒャヒャ!!!聞こえるかお前ら、ここはオレラがのっとった。金をだせ!!スマホもだ!!」
そういって、薄汚れた顔の青年?たちが銃を出していった。
生徒の一人から煙が出だす。
「おっと、奇能も使うなよ、こちらも奇能力者がいるんだ。どうなるかわかんねえぞ?」
「チッ」
「おいおまえら、こちらは完了だ。そっちはどうだ、…オオイ、返事しろよ!!」
『にげ、ろ』
「はああ!?この状況でなんで、…ガア、ア!」
無音だった。いつの間にかひとりの少年がこの教室に入ってきていた。
いつの間にか、犯罪者たちは全員キンキンに凍り固まっていた。
それをしたのであろう少年が生徒たちのほうを向いて一言発した。
「よし。…えっと、このクラスであってますよね。それじゃあ、はじめまして。申し遅れましたが、僕は時道 奇等といいます。この天王寺学園に転校してきました。これからよろしくお願いします!」
「「「「「「「ええー!!!」」」」」」」
全員が奇声を発した。先生だけが、苦笑いをしている。
「君って、あの政治会占拠した人じゃん!?てか生きてたんだ?」
「はい、そうですね。ちょっとダサい終わり方でしたけど。」
「「「そりゃ有名人なんてもんじゃないよ!!」」」
「それにちょっと、イケメンじゃん!!」
「はは、そんなことないですよ。」
「それになに、今の奇能。絶対普通に凍らせるだけじゃないでしょ。」
「ちょっとそれは…、いろいろありまして。」
器用なことに、すべての質問に答えていく奇等。
「「おまえら、な、驚くだろ?」」
「なんで先生が自慢してんだよw」
「「「「「「ぷははははは。」」」」」
奇等side―
(よかったああー。怖がられてない。怪しがられてもない。本当に奇能に理解があるんだな。)
奇等はまだ全員が奇能力者であるということを知らない。
(これからは友達も増えるといいな。…彼女もできないかな。)
「とりあえず警察を呼びますか?こいつらまだ仮死状態なので。」
「でもこいつら以外もいるんじゃ…。」
「あ、そいつらももう一応は。」
「「…そうだな、ん?救急車は呼ばないのか?仮死状態なんだろ?」」
怪訝に先生が聞いてくる。
「大丈夫ですよ、たぶん、きっと。そこはどうにかなるんじゃないですか?」
「「なんか怪しいが、わかった。警察を呼ぼう。」」
そうして奇等の予定通りの学園生活が始まったのである。
お待ちかねました。≪学園編≫始動です!
ここからは恋愛要素も増えていきますので、そういうのが好きな人にはホントにお待たせしました!
これまでで、奇等が強すぎると感じた方、この話は、誰が何と言おうと俺TUEEEではありません。この「温厚な少年の激怒」で奇等の短所があらわになります。
なんか違う気がしますが、お楽しみに!!
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