第11話 第1章 エピローグ 


戦闘中は、昔のことを思い出していた。




4年ほどまえ、じいちゃんに修業で魔物と戦う訓練をさせられたときに、言われた言葉がある。


「なんでこんな奴と戦わかなくちゃならないんだ。嫌だよう。」


「そんなことを言ってはならん。……奇等、先を守りたかったのじゃろう?」


はっとした、


「うん。先を守りたかった。死なせたくなんてなかった。」


「そうじゃ、いい顔をしたのう。

…よし、奇等、戦う時の心得を教えてやる。

将来、お前には一緒に戦う仲間ができるじゃろう。その仲間が戦えなくなったとき、

お前は立ち上がらなくてはならん。仲間の為に闘志を燃やせ。


将来、お前には好きな人ができるじゃろう。その人がおびえた時、お前は自分が傷を負ってでも、笑って助けてあげなくてはならん。女の為に己を捧げろ。


将来、お前には守りたい人たちが増えるじゃろう。

その人たちが危険にさらされたとき、お前は戦わなくてはならん。戦いとはな、たった一つのことですべてが決まる。一瞬の偶然すらも掴むんだ。」


そのときはよく意味はわからなかったけど。今ならよくわかった。じいちゃん、僕頑張るよ。もっと強くなれるように。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「おかえり、奇等くん。」


「どうしてここにいるの?花蓮さん」


「もう、第一声はただいまでしょ。…君が見えたからだよ。

どうだった?初の任務は。疲れたでしょ。顔色悪いよ。一緒に帰らない?」


花蓮さんは少し、口を膨らませていった。やばい、かわいい。


「ただいま。気を使ってくれてありがとう。…うん、それじゃご一緒させてもらうよ。」


「そ、そう、よかったわ。」(あんな笑い方するんだ…)


「ところで、花蓮さんもこのビルに住んでるの?」


「いえ、私はお母さんのいる実家に住んでいるんだけど。今日は泊まらせてもらうことになってるの。……あなたの部屋に。」


「ええー!!僕の部屋に?」


「ご、ごめんね。お父さんたちが勝手に決めてしまって、い、いやなら今からたのむけど?」


「いや、嫌じゃないけど。僕の部屋なんかでいいの?」


「ほら、前ギターとピアノ聞かせてくれる。っていってたじゃない?

このビルはどこの部屋も防音完璧だから、この機会にってお父さんが。

それに私、また1週間ここに来れなくなるから。」


「そういうことなら、わかったよ。でもピアノは今買い換えていて、ギターだけになってしまうけどいい?」


「うん、楽しみ!」


花蓮さんが満面の笑みで言った。花蓮さんの少し臙脂に近い黒髪に金色の瞳が、

とても綺麗に見えた。


こんな楽しい時間が、永遠に続けばいいのにと思った。





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