第3話 奇能発覚その後…
はあ、奇等は心の中で息をついた。
助かったのはいいけど、これからどうなるのかな。多分あれで死んだことになってるだろうしなあ。
いや、爆弾爆発してないし、本人の遺体がないからもしかしたら、
「よう、みんな。なんか無事だったよ。」って言って笑ってすまされないかなあ。
ダメか、生きててもあの高さから落ちて傷一つついてないのは絶対怪しまれるわ。
ああ、この先ホントどうなるんだろう。
「君は、奇等くん、だったか?」
すると、どこからともなく無地の着物を着たおじさんが現れ、そう聞いてきた。
普通なら大分怪しい状況なのに、なぜかそのおじさんはそうは思えなかった。
「はい、そうですが、もしかしてどこかであったことありますか?」
率直に思ったことを口にした。
「ほう、おぼえているかね?君が幼いころにあったことがあるが、
よくわかったな。……さっきのスピーチをしていたのは君だろう?
娘の花蓮が、興奮しておしえてくれたぞ?なかなかに踏み込んだ内容だったな、おもしろかったぞ。…途中で事故があったようだが。」
「そうですね。もうあの流れでは、僕は死んだことになっているんじゃないでしょうか。まだこんな風に生きてるんですけどね…。ところであなたの名前は?
どうして僕がここにいるとわかったんですか?]
順番が変になったが、当然聞くべき重要事項だ。
「はは、ずいぶんと割り切っているな。儂は重正といってな、君が此処にいると風が教えてくれたので此処に来た。それに君は死んだことにはなっていないぞ、君のお祖父さんは君は死んだなんて信じないだろうしな。
……それからその眼は、君はもう操れるようになったのかな?あの奇能を。」
「…奇能って、さっきのあの現象ですか?正直夢かと思いましたよ…あんな力。よくわかりませんが、なんとなくできるような気がします。」
「ふむ、あの二人の子ならダブルアビリティかもしれないな…。あんな力が発覚したからには、申し訳ないが、今までどうりに生活を続けることは難しいと思う。明日、この建物に来てくれるか?そこで詳しい話をしよう。お祖父さんには、天王寺重正からの招待だと言えばわかってくれるはずだ。」
そういって、重正さんは封筒を渡してきた。
「わかりました。」
「よし、そんなに思いつめるなよ、少年。これから君の新しい世界が待っているのだから。」
言い終えると、重正さんはニッと笑って、傘のようなものを広げ、屋上から飛んで行った。
愉快な人だなと思った。でも、正直なところ情報量が多すぎてあまり飲み込みきれていない。
早く帰ろう。さっきの感覚を思い出してビルをおりていたそのとき。
「いや、まだテロリストがあのビルにはいるじゃないか。みんなを助けないと。」
なんで僕はそんな大事なことを忘れていたんだ?
急いで上昇し、屋上にもどった。
ついた途端、僕は落下時の感覚に再び戻った。景色がスローモーションになる。
頭の中はクリアだ。やることは、テロリストだけを凍らせる。
めんどうだが、これが一番被害を出さずにすむ方法だと思う。
爆弾も即座に破壊する。
そうして10秒にも満たぬ間に、奇等はテロリストを全滅させると、激しい頭痛がして、とても眠くなった。
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