第35話クラス対抗戦12
俺の探知魔法の範囲から、セシリア達、4人の反応が消えた。それが、意味することは、たった1つ。
「あいつら、やられたのか。」
実際、3年生相手に善戦した方だ。これが、普通の1年生なら、1分も持たずに、やられているはずだからな。
「あいつらにしては、持った方なのか? 正直、他の1年生が、どれくらいの強さなのか、知らないから、比べようがないな。」
レクスには、他の1年生の力を測る機会は、いくつもあった。同級生と戦った時だって、測ろうと思えば、測ることはできたはずだ。
だが、レクスには、同級生の強さなんて、どうでも良かった。それのせいで、セシリア達がレクスを除いて、1番強いなんて知る由もない。
「さて、時間的にはだいぶ余裕があるな。1時間以上は、あるんじゃないか?」
もちろん、セシリア達が戦っていた時だって、レクスも他の3年生相手に、戦いというか、一方的な戦闘をしていた。
「おい! ここから出せよ!」
「正々堂々と勝負をしろよ!」
「そんなに、俺たちと戦うのが怖いのか! この臆病者!」
うるさい奴らだな。どいつもこいつも、力の差を理解出来ないのか?
まさかとは思うが、こいつはも1年生のSクラスと同じように、3年生のSクラスだからって、増長でもしてるのか?
こんなヤツらを、まとめ上げるなんて、アイシャ先輩はすごいな。こんなヤツらを、まとめ上げるなら、俺はごめんだ。
もちろん、こんな人たちだけでは無いのを、レクスも理解している。だが、レクスが戦った3年生は、2組とも同じ反応をして、同じ文句を言ってくる。
「先輩達、知ってますか? 戦闘は、なんでもありなんですよ。奇襲でも、闇討ちでも、暗殺でも。なのに、今のは卑怯だから、やり直せなんて言いますか?」
3年生達は、レクスにそう言われて口を噛む。
「だが、騎士道には反しているじゃないか! 卑怯者の癖に、よくそんなことが言えるな!」
「はぁー、くだらない。本当にくだらないな。」
「なっ、貴様! 今、くだらないと言ったな! ふざけるのも、いい加減にしろ! 1年の癖に生意気なんだよ!」
今度は、1年生だからときたか。こいつら、本当に3年生のSクラスの人間か? ここまで、哀れだと呆れて、ものが言えないな。
「なら、その生意気なやつに、奇襲されて、手も足も出ないで、負けたあなた達は、俺以下だな。」
「なっ…ふざけるなぁぁぁ!!!」
「もう、うるさいので、強制的に黙らせるか。じゃあ、さようなら。《フリーズ》」
レクスが発動したのは、氷魔法の初級も初級、ただものを凍らせるだけの魔法だ。もちろん、生身の人間を、凍らせる程の効果なんてない。
だが、レクスは自分の魔力にものを言わせて、生身の人間でも凍らせるれるように、効果を高めただけの、乱暴な魔法だ。
「はぁー、またやってしまったか。いい加減に、制御できるようにならないと、そのうち痛い目に合うな。」
レクスは、いつもならこんな、魔力にものを言わせて魔法なんて、発動するわけが無い。だが、感情がたかぶっていると、ここまで雑な魔法を使ってしまう。
「こいつら、大丈夫か?………おっ、消えたから、死んではいないんだな。」
はぁ、どうやって訓練すればいいのか、皆目検討もつかないな。
「まぁ、考えるのは、この試合が終わってからでもいいか。さてと、さっさと終わらせて、いろいろと考えてみるか。」
それから、レクスは次々と、反応があるところに行き、蹴り飛ばしたり、女子には投げ飛ばすなどして、1箇所に集めて、魔法で閉じ込める。
レクスが最初にあった、3年生とは違って、すぐに潔く負けを認めた。
残り12人程度になったところで、大将のアイシャが率いる、6人のチームに出会った。
元々、レクスはアイシャが居るとこは、わかっていたが、戦っている最中に、邪魔されたくない後ために、数を減らしていった。
「やっぱり、来てしまいましたね。レクス君。」
「そうですね。大将を倒さないと、俺のクラスが勝てませんから。」
「そっちの、喋り方が素ですか?」
「そうですよ。こっちの方が、楽ですから。この喋り方は、嫌いですか?」
「いいえ。男の子らしくていいと思いますよ。ねぇ、ティナ。」
「私に聞かないでください。まぁ、喋り方なんて、人それぞれですから、否定する方がおかしいんですけどね。」
「そうですか。なら、そろそろ終わらせてもいいですか?」
そんな話をしているが、レクスもアイシャ達も、すぐに魔法を発動できるように、相手の行動を観察している。
「その前に、1ついいですか? どうせ、私の居る所なんて、最初からわかってたんじゃないですか。なのに、一直線に来ないで、なんで遠回りして、来たんですか?」
「分かりきった質問ですね。そんなの、戦っている最中に、邪魔が入らないように、数を減らしただけですよ。」
「あっ、あとクラスを、まとめ上げるのって、苦労しそうですね。あんな人達がいるなら、余計にね。」
「えぇ、まとめるのは、とても苦労するんですよ。だから、勝ちを譲って貰えないですか?」
「ちょっと、そのお願いは無理ですね。他のことなら、やってあげてもいいんですけどね。」
「言質は、取りましたからね。約束、前みたいに破らないで、守ってくださいよ。」
あっ、これなんか嫌な予感がするな。言わなきゃ良かったかな? 変なお願いじゃなきゃいいんだけど。
そんなレクスの思いは、虚しく散っていくのを、まだレクスは知よしもない。
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