第33話クラス対抗戦10


 危なかったな。あの場では、誤魔化したが不信がられただろうな。パーティーが行なわれるのを、知っているのは、貴族の家のもの、前回の学園対抗戦に出たもの、そしてマリア達などの護衛だけだ。


 さらに、開催前にパーティーの場所を知っているのは、さらに限られる。貴族の当主と、マリアみたいな、何かのトップだけだ。


 そんな重大な情報を、一般市民が知っているのはおかしい。それは、研究者だとしてもだ。


 それに、貴族の当主や、マリアみたいなトップは、そんなの情報を外部のもらすわけが無い。


 ということは、その情報を知っている俺は、そのどちらか、ということになる。


 パーティーのことも、会場の場所まで、生徒に知らされてないなんて。絶対マリアは、知っていて、俺に教えたな。


 あいつは、何年かは知らないが、九聖剣をやってたんだ。知らないはずがない。いったいなんのために。


 ただ、忘れていたなんてこと、あるはずがない。多分、絶対に。


 まぁ、そんなことは、一旦置いといて、クラス対抗戦の方だが、倒すのは簡単だ。それに、見つけるのも。


 だけど、時間がかかりすぎる。なんたって、力がないやつに、手加減することはできる。


 けど、弱くなくて、俺よりもだいぶ弱いやつには、中途半端に力を持っているやつには、手加減が難しい。


 手加減しすぎても、倒すことは出来ない。もちろん、手加減しなさすぎても、相手の生命に関わるかもしれない。


 1人1人に、5分以上かければ、倒せる。だけど、1人に5分なんてかけてみろ、30人いるんだから、合計で150分かかる。


 2時間なんて、とっくにすぎてるし、3時間にしても、あと30分しかない。1人1人ばらばらに、逃げられたら、もっと時間がかかってしまう。


 かかる時間は、1人6分、下手をすれば、7分かかってしまう。そんなにかかれば、時間切れの人数の少なさのせいで、負けてしまう。


 まぁ、負ける気なんてサラサラないけど。時間がかかるのは、本当だ。けど、逃げることは、ほとんどないだろうな。


 なんたって、3年生のSクラスが、たった1人の生徒から逃げるなんてことは、評判がガタ落ちだ。そんなことをして、負けるくらいなら、正々堂々と戦って負けた方が、まだいい。


 それなら、他の1年生は無視して、俺に対して消耗戦をしてくるに違いない。それなら、


 「レクス君、もう時間だよ。早く行こ。」


 「もう、そんな時間なのか。わかった、すぐ行く。」


 「あんた、ちゃんとしなさいよ、ちゃんと。これから、試合だけど、大丈夫なの?」


 「あぁ、大丈夫だ。」





 「さてと、今回は頑張って、相手を倒して貰います。相手のいる方向は、教えるから、あとは自分達で頑張ってね。」


 「ねぇ、相手ってどれぐらいの強さなのか、分かるかな?」


 「俺は、知らないぞ。俺は、戦えればいいからな。」


 「個人の能力は、分からないけど、上手く連携して、戦ってたよ。」


 「そうね。なら、連携出来ないように、分散させて戦うか、1人の時を狙うしかないわね。」


 その判断は、正しいけど、間違ってるな。そもそも、その作戦は力が、ほとんど同じぐらいの時に、やるもので、1人1人が劣っている状態の時は、各個撃破が基本だろ。


 まぁ、今回は好きにされるけど。


 「俺の方は、勝手に動くから、好きにしていいぞ。」


 「あんたは、なにかやるつもりなの?」


 「別に、特別なことは、しないけど。地道に1人1人倒していくだけだから。」


 そうだ、別に倒す必要なんて、ないじゃないか。関係ない奴は、氷で閉じ込めておけばいいじゃないか。そうするか。



 『両クラスの準備が、完了したので。クラス対抗戦を開始します。 3、 2、 1、 開始!』





 「クラス対抗戦が、始まったけど、相手がいるのは、俺から見て左方向にいるから。」


 「わかったわ。みんな、行きましょう。」


 「うん。」


 行ったか。けど、わかってるのかな。開幕直後に、相手の居場所を教えたんだ。そこに行けば、相手に会えるけど、クラス全員がいるってことを。


 「まぁ、いっか。俺は、俺のやることを、やればいいか。」


 20分ぐらいは、歩いて行くか。どうせ先に、アイツらが、相手と接敵するんだから。


 おっと、相手は3人1組で行動するのか。3人で行動されると、アイツらは絶対に勝てないな。


 それに、結構な人数が、こっち方向に来てるな。めんどくさいから、少し迂回してから、行ったほうが、あんまり接敵しなくても、すみそうだな。


 大将を、探すのは簡単になったな。だって、さっきまでは、30分の1だったけど、今は10分の1になったんだから。


 居そうな場所は、1番後方にいるのか、それとも中央にいるのか、その2択だろうな。




 そろそろ、アイツらが相手と接敵しそうだな。この感じから言うと、相手の方は、居場所がわかってるんじゃないか。


 対して、アイツらは、相手はもうすぐ接敵するのを、知らなさそうだな。


 こっちも、他の相手に気づかれたから、そろそろ、戦わないといけないのか。けど、まぁ、氷で閉じ込めて終わりだけどね。



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