第32話クラス対抗戦9




 昨日、マリアからルダンのことを、聞いたおかげで、いろいろとやることができてしまった。


 まずは、クラス対抗戦で何としても、代表選手に選ばれること。これは、学園長からも出て欲しい、なんて言われているから、大丈夫だろうな。


 これは、身分を明かさなくても、王城に入れるように、なれる。それに、襲撃されるのは、王城なので、何かと都合がいい。


 次に、貴族の当主だと、身分を証明するものを、持ち歩くこと。身分を証明するものは、バッチと紙、2つあればいいので、バッチはポケットに入れて、紙は懐に入れておけばいい。


 まぁ、これはいろんな保険を兼ねて、持ち歩くだけだから、使う機会はほとんどないと思う。


 他にも、いろいろとあるが、これも保険みたいなものだから、あってもなくても、どっちでもいい。




 さてと、今日は3年生のSクラスだったような。学園で、1番強くて、1個人の能力も高い。それで、リーダーが、現生徒会長のアイシャなのだ。


 もちろん、1年生が戦えば、コテンパンにやられる。それは、セルシア達も例外じゃない。たかだか、1週間程度で3年生に勝てるなら、そこら中にいる奴らが、Sクラスになってしまうからな。当たり前だ。


 2年生にも、1対1では、ギリギリ互角だし、2人以上だと為す術もなく、やられる。


 だから、前々回は奇襲が、成功したため2年生の連携が、とれなくて勝っただけに過ぎない。同じことを、もう一度やったとしても、勝てる保証はない。


 だけど、あいつらはそんなことは知らない。だから、今回はあいつらにも戦わせて、伸びた鼻をもう一度、へし折る。





 今日の試合は、どっちなんだ?


 なるほど、大将戦か。それなら、都合がいい。あいつらには、相手の方向だけ教えて、戦わせるか。


 もちろん、俺は他の3年生を片っ端から、蹴散らしていく気だ。もちろん、大将がどこにいるかなんて、わかんないからだけど。


 そう言えば、ナレンのクラスは、どうなったんだっけ? ナレンと勝負してたけど、途中からすっかり忘れてたわ。


 どれどれ、どうなってるかな。…………なんだ、負けてんじゃん。あっ、けどあいつの事だから、今回は直接対決してないから、無効とか、言ってきそうだな。馬鹿だから。


 さて、あいつらと合流するために、探しに行くか。………と思ったが、こっちに歩いてきてるな。このまま行けば、5分ぐらいで、合流するかな。



 「お、ここにいたじゃねぇか。」


 「遅かったな。今回は、初めての大将戦だぞ。大将は俺がやるから、お前らは、4人で他の3年生を倒しに行け。」


 「あのぉ、思うんだけどさ、僕達4人で3年生に勝てるのかな?」


 「そんなこと、関係ねぇぞ。戦いっていうのは、やってみねぇと、わかんねぇもんだ。だから、当たって砕けろ。」


 ガザンの言うとうりなんだけど、やっぱり、脳筋だったな。当たって砕けたら、ダメだろ。砕ける前に、勝てるのか、負けるのか、察しろよ。


 「ねぇねぇ、レクス君。クラス対抗戦に、出てくれて、ありがとね。おかげで、勝負に勝てたよ。」


 「お礼は、別にいらないぞ。俺が、勝手に出ただけだからな。それに、今回の勝負は、無効だとか、言ってくるぞ、多分。」


 「それは、大丈夫よ。もし、そんなこと言ってきたら、私が止めてあげるわ。」


 「ふぅ〜ん。どうやって止めるのかな? 言ってみてよ。」


 どうせ、王女だからとか、お父さんにとかだろうな。


 「それは、私が王女だから、言えば止まるでしょ。」


 やっぱり。


 「そんなことは、無理に決まってる。」


 「なんでよ。」


 「そんなの簡単だ。王家が、特殊な事例なしで、1貴族肩入れなんてしたら、他の貴族から反感を買うぞ。」


 「うっ、じゃ、じゃあどうすればいいのよ。」


 どうするのか、か。やり方は、あるがデメリットが大きい。


 「そんなことは、自分で考えてみろよ。」


 「なんでよ。あんたならもう、やり方なら、わかってるんじゃないの。」


 「やり方なら、ある。でも、俺にかかる、デメリットが大きすぎるから、無理だな。」


 「そんなの、「また、自分勝手に決めて、やれって言うのか?」………。」


 「2人とも、落ち着いて。まだ、そうなるなんて、決まってないからね。」


 はぁ、なんで俺が、デメリットを被って、助けなきゃいけないんだ。そんな問題は、自分達の問題だろ。


 俺はまだ、関係ない身だ。だから、俺を巻き込むなよ。


 「分かったわよ。自分で考えればいいんでしょ、自分で。」


 「助言だけしてやる。今回の、クラス対抗戦で、いい成績を残して、学園対抗戦の代表選手に、選ばれれば、王城で開催される、パーティーに出られる。その時に、国王陛下にでも、相談すればいい。」


 「あなた、なんでパーティーのことと、開催される場所を、知ってるのよ。そんなこと知ってるのは、貴族達だけよ。」


 「そもそも、貴族達でも開催場所は、いつも変わるわ。だから、知っているのは、それなりの地位がある人だけよ。」


 「なのになんで、研究者のあなたが、そんなことを知っているのよ。」


 あいつ、他の奴は知ってるとか、嘘着きやがって。


 「知り合いに聞いただけだ。」


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