第30話クラス対抗戦8



 はぁ、昨日はさすがに堪えたな。まさか、メリルが泣くことになるなんて、思いもよらなかったな。帰りに、スイーツでも買ってくるか。




 今日は、確か3年Dクラスだったかな。正直、負けるなんてことは、無いだろうけどな。問題は、次の対戦相手だな。どうせ、3年Sクラスが勝ち上がってくるんだから。




 気が進まないけど、学園にいくか。おっ、そう言えば今日から、襲撃が無くなるんだっけ。




 クラスに着いたが、あまりいい雰囲気じゃなかった。なんたって、5人だけで勝ち上がったんだから。




 Sクラスの他の奴らは、簡単に負けてくると思っていたからだ。




 そんななか、生き生きとしているのは、4人だけだった。もちろんそれは、セルシア、リーシャ、アリク、最後にガザンだ。




 なんたって、4人は上級生相手に、大した傷をおうこと無く、15人を倒して見せたのだから。




 「ねぇ、レクス君。今日は、どんな風に戦うの?」




 「リーシャ、気が早すぎるだろ。対抗戦は、午後からだから、まだ何時間もあるんだぞ。」




 「それなら、3年Sクラスと3年Bクラスの試合を、見に行ったらどうかしら。その試合って、1番最初でしょ。」




 「そうですね。映像で確認できるので、行って見るのもいいですね。」




 「俺は、やめとくぜ。そんなの見たって、全然わかんねえからな。俺は、時間まで訓練でもしてるよ。じゃあな。」




 俺は、どうしようか。正直、見たところで、何も変わらないからな。フラッグ戦か、大将戦かで作戦が違ってくるからな。




 「そう言えば、今日の対抗戦は、どっちなんだ? フラッグ戦か、大将戦なのか。」




 「えぇっと、今日は確かフラッグ戦だったと思うよ。」




 フラッグ戦か。今日は、メリルのために、スイーツを選ばなきゃ行けないから、早く終わらせたいんだよな。相手には、申し訳ないが、俺が出て、さっさと試合を終わらせるか。




 「今日の試合だけど、俺が全部やるよ。」




 「えっ? それってどういうこと?」




 「だから、お前たちは、フラッグの前に立っているだけでいいってことだ。」




 「なんでなのよ? 私たちじゃあ勝つことが出来ないっていうこと?」




 「いや、勝つことは、できるだろうな。怪我をするだろうけどね。」




 なんせ、相手は守りに全力を尽くすだろうからな。




 「だけど、僕達じゃあフラッグを守りきることなんて、出来ないと思うけど。」




 「それは、大丈夫だ。攻めに来ても、精々数人程度だからな。」




 「なんで、数人だってわかるの?」




 「そんなことは、簡単だ。お前達は、今から3年Sクラスの試合を見に行くんだろ。」




 「それがどうしたのよ。」




 「相手だって、俺たちの試合を見ていたはずだ。(多分)だから、俺がどうやって守っていたか、知っているはずだ。」




 「だから、なんなのよ。さっさと、言いなさいよ。」




 これでも、まだ分からないのか。少しは、考えてみろよ。




 「はぁ、考えてみろよ。相手は、自分達では回避出来ない攻撃をしてくるんだ。回避したところで、勝てるビジョンが浮かばないんだ。」




 「ということは、人数が有利だから、守りきって、時間切れを狙って動いて来るっていうことなの?」




 「そっ、お前達は20人以上を相手にして、無傷で勝てないだろ。」




 「今の僕達じゃあ無理だろうね。けど、それなら大人数で、攻めに来るってのもあるんじゃないのかな?」




 「それもないな。俺たちは、探知魔法が使えないと思われてるから、攻めるより、守る方が楽だからな。」




 「なんで、探知魔法が使えないって分かるのよ。」




 いやいや、お前相手の場所が分からなくて、迷子になってたじゃないか。




 「お前達さ、前回の試合で、相手がいる方向の、反対側に歩いて行ったらだろ。探知魔法が使えるなら、そんな事はないからな。」




 「わ、分かったわよ。あんたの好きにすればいいじゃない。その代わり、負けてくるんじゃないわよ。」




 「はいはい。」




 さっさと、終わらせますか。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜saidアイシャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 ふぅ、今日も危なげなく、勝つことができましたね。確か、この後の試合は、次の対戦相手だった気がします。このまま、見に行きましょうか。




 「会長。今回も無傷で勝つことが、できましたね。」




 「そうね。みんなが、頑張ってくれた、おかげよ。」




 「違いますよ。僕たちは、指示に従っただけです。」




 「そうですよ。」




 はぁ、ちょっと疲れるわね。




 「みんな、ありがとうね。」




 「会長、次の対戦の試合を、見に行きませんか?」




 「そうね。ティナの言うとうりね。それじゃあ、さようなら。」








 「さっきは、ありがとね。」




 「いえ、疲れていた、顔をしていたので。」




 「ティナには、おみとうしね。」




 さてと、今の試合だと1年生Sクラスと、3年生Dクラスだったかしら。Sクラスは、5人しか居なかったはずなのに。よく、勝ち残れたわね。




 「会長。次の対戦相手は、Dクラスになりそうですね。」




 「そうね。さすがに、5人じゃ無理そうね。」




 3年生には、さすがに勝つのは無理なのかな。




 「そろそろ、始まりそうですね。」




 「そうね。」




 あら、レクス君は1人で攻める気ですね。




 「あの子、1人で攻める気ですね。25対1ですけど、大丈夫なんでしょうか?」




 「正直、あのこ1人なら勝てるんじゃないかな。」




 「なんで、そう思うんですか?」




 「そうね。1か月ぐらいに、あったSクラスの事件、覚えてる?」




 「あれのことですか?」




 「そうよ。あれを起こしたのは、あの子、レクス君ですよ。」




 レクス君なら、25人くらいなら、倒してしまうんでは、ないでしょうか。




 「そのレクス君ですが、一直線に相手がいる方向に、向かってますね。まさか、探知魔法が使えるんでしょうか。」




 「そうですね。そろそろ、接敵しますね……ってなんですか、あの黒い雷は!」




 おかしい。あんな魔法見たことも、聞いたこともない。普通の雷魔法よりも、早さも威力も桁違いなんて。




 「ねぇ、ティナはあの魔法を、知ってる?」




 「いえ、あんな魔法なんて、知りません。」




 そうよね。ものの数分で、3年生を倒せるなんて、普通の1年生には、絶対にありえない。




 「次の試合は、厳しいものになりそうですね。」




 「そうよね。どうやって、レクス君を倒すかが、カギになってくるわね。」




 どうやって、倒せばいいのかしら?








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