第26話クラス対抗戦5


 今日は、待ちに待った(俺は待ってない)クラス対抗戦の日になった。あれから、クラスの参加者は1人も増えなかった。セルシア達になんで来ないのか、聞いてみたが




 「あんたの訓練を見たら、顔を真っ青にして帰っていったわ。」




 なんて、言われた。まだ、あれくらいなら、優しい方なのに。そんなことを、話したらアリクは、




 「あれ以上やったら、ほとんどの人は、死んじゃうよ。ガザンは、みたいなやつは、別だけどね。」




 なんて言って震えていた。




 まぁ、いいや。変わんないんだし。初戦は、2年のAクラスだった。ナレンの方は、シードになっていた。運なのか、それとも故意なのか、どうか知らんが、そろそろ襲撃を止めて欲しい。




 この1週間、帰りだけでなくて、行きまで来るようになった。だから、なんで失敗してるのに、襲撃者を送り付けてくるなよ。イライラし過ぎて、1回ルダン侯爵の家の前まで行った。




 そんなこと? は、置いといて初戦は、フラッグ戦だった。なので、4人にはこれまでの成果として、相手のフラッグを取ってきてもらうことにした。




 なんてのは建前で、守ってる方があまり動かなくて、楽だからだ。プランでは、魔法2発で終わる予定だからね。




 場所は、草原だからある意味楽だな。




 「お前らには、相手のフラッグを取ってきてもらう。頑張って。」




 「「「「え?」」」」




 「あんたがフラッグを取りに行ってくるんじゃないの? そっちの方が、確実だとか言ってたじゃない。」




 「いや、考えてみたんだが、俺が守ってる方が確実だろう。お前らには、訓練の成果を見してもらわなければな。それに、動かなくて楽だしな。」




 「ちょっと、絶対最後のが本音でしょ!」




 「なぁガザン、守って暇になるか、戦って動くか、どっちがいい?」




 「そうだな。俺は、動いているのがいいから、戦いに行くぜ。」




 よし。そう言うと思った。




 「アリク、守っている間、訓練するか、相手と戦いに行くか、どっちがいい?」




 「それは、戦いに行く方が楽だと思うから、戦いに行くかな。」




 そうだよな。アリクにとっては、戦う方が楽だもんな。訓練よりも。最後は、リーシャか。リーシャは、物で釣るか。




 「リーシャは、戦いに行ったら、勝ち負けに関わらず、スイーツを奢ってあげるけど。それに、戦っても怪我は、しないと思うけど。」




 「え? それなら、戦いに行くかな。」




 「だってさ。3対1だけど、どうするのセルシアは?」




 「うっ………わかったわよ。戦いに行けばいいんでしょ、行けば。」




 これで、俺は楽ができるな。そのまま、フラッグを取ってきてもらえれば、万々歳だな。




 「さてと、ならもう行くか。」










 受付の人に、入れてもらうのか? わからんから、話してみるか。




 「すいません。1年生のSクラスなんですけど。どこに行けば、いいですか?」




 「え? Sクラスですか? 人数が、5人しかいないように、見えるんですけど。」




 「大丈夫ですよ。5人ですから。他のみんなは、怪我をしてしまったんで、対抗戦には出ませんよ。」




 「そうですか。それは、お気の毒ですね。場所は、あそこに見える門から、結界内に入ってください。」




 「ありがとうございます。では。」




 「あの、人数が少ないですけど、頑張ってくださいね。」




 「はい、頑張ってきます。」




 あの門から、結界内に入るのか。




 門から入ったら、そこには草原の中に、ポツンと旗が立っていた。




 「あれを、守って相手のを持ってきて、刺せばいいのか。」




 「そうですね。けど、周りから丸見えですけど、大丈夫ですか? なんなら、私も残りますけど。」




 「大丈夫だ。そんなことより、作戦の件だが。」




 「作戦なんて、あんたが守って、私たちが攻めるんでしょ。」




 「そうなんだが、ポジションの件だ。まず、ガザンは、正面から敵を確実に倒していけ。」




 「おう。」




 「アリクは、速さを活かして、いろんな所から、攻撃して相手を混乱させて、ガザンのサポートだ。」




 「わかったよ。」




 「リーシャは、1人1人確実に、遠距離から魔法を放って、倒していけ。」




 「うん、わかった。」




 「それから、各自相手に囲まれることないようにな。以上だ。」




 「ちょっと、私にアドバイスはないの?」




 「セルシアか、忘れてた。なんとなく、頑張れ。よし、これでいいな。」




 「私だけ、雑じゃないかしら?」




 「そんなことは、置いといて、フラッグのことは、考える必要なんてないから、自分のできることを、考えてやってみろ。」




 まぁ、失敗したところで、俺が、直接取りに行けばいいからな。めんどくさいけど。




 正直、こいつらが2年生ごときに、負けるなんて無いだろうけどな。もし、負けてきたら、訓練をより厳しくするけどな。




 「今、嫌な予感がしたんだけど。」




 「奇遇ですね。僕もです。」




 「私もした。」




 「気のせいだって、気のせい。」




 訓練のおかげで、勘が鋭くなってきたか? もうすぐ、クラス対抗戦のスタートだな。まぁ、俺なんて魔法2発で終わるから、魔法放ったらあとは休憩だけどな。そろそろだな。






 『両クラスの準備が、完了したので。クラス対抗戦を開始します。 3、 2、 1、 開始!』






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