第22話クラス対抗戦1
正直言って、この時期にルダン侯爵家の長男がこんな事をしてくれるなんて、運が良かった。もちろん、ここ最近ルダン侯爵は、陰でこそこそ何かをしている。
そのことを調べているうちに、長男のナレンの性格もいやでも、集まってくる。ナレンは、全てが自分言う通りになるのが、当たり前だと思っている。
そして、最近はリーシャに惚れて言うことを聞かせようと、婚約を迫っている。だが、先にバリステル家と、婚約をしているから、ルーデンス伯爵家に圧力をかけられない。そもそも、圧力をかけた所で、バリステル家が、援助をする事になっている。
それを知ってか知らずか、ルーデンス家に圧力をかけると脅して、絶対に勝てる勝負を持ちかけて、婚約させる気なのは目に見える。
今回の勝負は、クラス対抗戦の順位だ。今回、対抗戦に出られるSクラスは、多くて10人程度少なくて5人以下だ。
こんな人数で、対抗戦を勝つなんてまず無理だ。そんな数的不利の状況を覆せるくらい、強いやつが居なければ。
これによって、ナレンのクラスは1回戦を勝ち抜けば、勝てるようになっている。それに、1回戦敗退しても、Sクラスも1回戦敗退になるだろうから、引き分けとして直接戦えばいいのだから。
さてと、今日からクラスですごしたらいいのか。クラスでは、やることが色々とあるし。1つ目は、クラスの奴ら全員の怪我を治して、クラス対抗戦に出させること。2つ目は、ナレンの行動を監視すること。3つ目は、クラスに来たナレンを煽ってキレさせること。
3つ目は、何故必要か? それは、あいつをキレさせれば、学園外で手を出してくるだろう。自分自身で来れば楽だが、そんなことはしないだろう。精々、暗殺者を雇うぐらいだろう。
暗殺者を捕まえて、白状させれば、ルダン侯爵の責任として裁くことができる。まあこれだと、ナレンの投獄と罰金ぐらいだろうな。
けど、これをすることで、ルダン侯爵がやろうとしている、作戦を早めて行動しようとする。それに、そんな早く行動すれば、どこかしらでボロが、出るだろうな。
さてと、クラスの前に来たが、入りにくいな。俺には、関係ないけど。
「え?」
入ってみたが、全員こっちを見てくるな。セルシアとリーシャなんて、口を開いて驚いているな。
セルシアとリーシャが近ずいてきた。どうせ昨日の事と同じだろう。
「ちょっといいかしら?」
「イヤだけど。」
「っ………時間少しいただけないでしょうか?」
へぇー、頭を下げるなんてな。伸びた鼻を折ったから丸くなったか?
「ふぅーん。それでなにか? 手短にしてくれます?」
「前回のことで謝りに来ました。ごめんなさい。」
「それだけじゃないよね。」
「………それと、助けていただけないでしょうか?」
「何させるの? あと、普通に話せば? 話しにくいでしょ。」
「それは、クラス対抗戦に出て欲しいの。」
「なんで? めんどくさいから嫌なんだけど。それに、そんなのに出てなにか意味あるの?」
「それは、今回クラス対抗戦でAクラスとの勝負があってそれで、あなたに出てもらえれば、勝てるかもしれないから。けど、あなたに得なんてありません。」
「利点がないなら出る意味無いよね。勝負に負けても、俺は何も失わないし。」
「そこを何とかお願いします。」
「ねえ、それさ。都合よすぎない? 分かるよね。都合がいいの。あれだけ言っておきながら、助けて欲しいって。」
「……………。」
「何も言えないよね。事実なんだし、別に負けても実害なんて、ないからいいんじゃないの?」
「それはダメなの。それじゃあ、リーシャが可哀想じゃない。」
「もう、いいよ。しょうがないから。」
何やってんだ? こいつ。
「ねえ、そもそもなんで、可哀想なの?」
「だって、あのルダン侯爵家よ。いいわけないじゃない。」
「あっそ。可哀想って言うけどさ、この勝負に巻き込まれて、怪我させられたやつの方が、よっぽど可哀想だけど。」
「それにさ、調べて見たけど。リーシャの婚約者の家って、四大公爵家のバリステル家だよね。なら、圧力のかけようがないじゃん。」
「け、けどバリステルの長男は、生きてるか分からないんだよ。それじゃあ、頼るにも頼れないよ。」
分かってるのか、分かってないのか。
「あのさ、そもそも婚約者を奪うために、公爵家に喧嘩売るわけないじゃん。それに、婚約する前から、仲が良かったんだから、別に頼れると思うんだけど。」
「それは、そうだけど。」
「あのさ、行動するなら、ちゃんと考えて動けよ。最初から、ある選択を選ぶだけじゃなくて、自分で考えて、選択肢を増やすだとか、周りに被害が行くのかとか、考えて行動しろよ。わかったか?」
「うん。」
「俺は、自分でやりたいことがあるから、今回は出る事にするよ。」
「「え?」」
「出てくれるの?」
「なんで、出るのよ?」
「なんだ、出ない方がよかった?」
「いや、そうじゃなくて、クラス対抗戦にでないと思ってたから。」
「ふぅーん。」
「あの、やりたいことって何かな?」
「あぁ、俺ってさルダン侯爵家に父親を私利私欲で殺されてるからね。嫌いなんだよ。ルダン侯爵の事。」
「そ、そうなんだ。ごめんね。そんなこと聞いて。」
「ごめんなさい。」
「いいよ、別に。だから、今回のことを使ってルダン侯爵家を潰すんじゃん。おっと、そろそろナレンが来るんじゃないかな。」
「え?」
その時、クラスのドアが開いて、そこからナレンが、入ってきた。
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