第21話勝負


 疲れた。真面目に論文を書くことなんて、ここ15年やったことなんてない。まだ、1人でやっているわけではないからいいけど。ここ1ヶ月ぐらい家にこもっている。なんたって、学園よりも、ここの方がなんだかんだ落ち着く。


 最近は、研究も終わったし、学園でもやりたいことはない。だから、メリルとすごしている。


 「レクス様ー、朝ごはんが出来たので、降りてきてください。」


 「わかった。」


 さてと、これからどうしようか。本格的に忙しくなるのは、4ヶ月後になる。久しぶりに、メリルと一緒に遊びに行くか。


 朝ごはんを食べてると、メリルが聞いてきた。


 「レクス様、学園に行かなくて、いいんですか? というか、学園で何があったか、学園長とかに話さなくていいんですか?」


 何か、忘れている気がする。まぁ、いいかな? 忘れるってことは、それほど重要じゃないってことだろ。


 「いいんじゃないか。どうせ、陛下が上手くやってくれるからさ。」


 「そんな、陛下に任せるって、よくそんなこと平気で言いますね。私は、怖くてそんなこと出来ませんよ。」


 そうだな。考えてみれば、任せっきりにしてるのって、マリアと俺だけじゃないか。


 「まぁ、そんなことは置いといて、メリル。久しぶりに、外に遊び行かないか? 最近、学園とか論文で行けてないだろ。」


 「いいんですか? なら、買い物に行きませんか?」


 「買い物か。それなら、何時から行く?」


 「そうですね。1時間後っていうのは、どうですか?」


 「そうだな。それくらいで、いいんじゃないか。」


 「なら、今から出かける準備をしなきゃですね。」



 それからか、1時間がたって、メリルと出かける時間になった。


 「すいません、ちょっと遅れました。」


 「別に、いくら遅れてもいいぞ。それに、メリルと出かけることが目的だからな。」


 「なんですか? 告白ですか? ダメですよ、私になんて。」


 「告白じゃないぞ。ただ、メリルの近くにいると、家にいるって感じがして落ち着くからな。」


 「そうですか。(告白なら良かったのに)そう言えば、婚約者のルーデンス家の長女さんには、会いましたか?」


 「あぁ、リーシャのことか。会ったことは、あるぞ。」


 「そうですか。どんな人だったんですか?」


 「そうだな。いつも落ち着いていて、いつも大人しいって感じで、メリルみたいに優しいかな。」


 「そうなんですか。」



 それからか、昼ごはんを外で食べて、家に帰ろうとすると、そこにはセルシアと、アイシャが居た。


 なんで、アイシャがいるんだ? セルシアは、まぁ何となく分かる。けど、なぜアイシャ? そう言えば、なにか約束をしてた気が………


 そうか。事情聴取の約束があったっけ。メリルの誕生日で、すっぽかしたまんまだったな。


 「メリル、あそこにいる2人、見えるよな。」


 「えぇ、見えますけど。」


 「俺は、今から気配を消して家に入るから、俺のことを聞いてきたら、知らないと言ってくれ。」


 「なんでですか?」


 「あっちの金髪の方は、第二王女だ。そして、赤髪の方はアイシャで生徒会長だ。多分、俺が事情聴取をすっぽかしたから、家まで来たんだろう。」


 「そうなんですか。ダメじゃないですか。」


 「だからお願いします。」


 「はぁ、分かりましたよ。」




 「あのぉー、家になにか用ですか?」


 「あなたがこの家の人ですか? あっ、申し遅れました。学園で生徒会長をしています。アイシャという者です。こちらが、クラスメイトのセルシアさんです。」


 「私は、メリルといいます。」


 「早速で申し訳ないんですが、ここにレクス君は言わせんか?」


 「いえ居ませんけど。」


 「そうですか。もう何処にいるか検討がつかないですね。セルシアさん、帰りましょう。」


 「待って、早くあいつを見つけないと、リーシャが。」


 「しょうがないじゃないですか。そもそも、セルシアさんと、レクス君。仲悪いでしょ。それなのに、レクス君が話を持つなんて思えないですよ。」


 「けど、このままだとリーシャが、ルダン侯爵家に嫁ぐ事になるんですよ。」


 「すいません。その話、少しうかがえないですか? もちろん、私の家で。もしかしたら、レクス様が、戻ってくるかもしれないですし。」


 「そうですか。お願いします。」




 「安物の紅茶ですがどうぞ。」


 「ありがとうございます。」


 「それで、リーシャさんがどうしたんですか?」


 「それは、2週間ぐらい前だったと、思います。」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜2週間前〜〜〜〜〜〜〜〜



 ほとんどのSクラスの生徒は、チラホラと怪我が治って行った。


 「ねえ、セルシア。ココ最近、レクス君見かけないね。」


 「そうね。」


 「いつ、謝りに行こうか? ちゃんと、謝ったら許してくれるよ。」


 レクスに挑んでボロボロに負けた私は、お父様にレクスという人間を調べて欲しいと言った。


 けど、返ってきた返事は耳を疑った。


 「レクスのことならば、知っているぞ。それどころか、よくマリア殿と話しているから、マリア殿も交えて、話をしようか。」


 お父様とマリア様が、レクスのことを知っていたのだ。それどころか、マリア様とよく話していると言っていた。私ですら、ほとんど話をしたことがないのに。


 「お父様、レクスは何者なんですか? そもそも、なんでレクスのことしってるんですか?」


 「それはだな、レクスは私が囲んでいる、研究者だからだよ。知っているだろ、あいつがレクスが、魔法学の難題の一つを解いているのを。」


 「はい、授業で教えてくれました。」


 「なんで、いっかいの生徒に教えたのかわかるか?」


 「いえ、わかんないです。ほとんどの研究者は秘匿するか、学会に提出するかどちらかですよね?」


 「レクスは、秘匿も提出もしていない。そもそも、魔法陣の重ねがけなんて、あいつにとって難題でもないんだと、そうですよねマリア殿。」


 「そうじゃの。レクスにとっては暇つぶしぐらいだろ。」


 「そうなんですか?」


 「さっきまでここにいたのだが、次あったら謝っておくのだぞ。」


 「分かりました。失礼します。」




 そのことを、リーシャに相談したら一緒に謝ってくれると言ってくれた。けど、リーシャのことも心配だ。なんせ、ルダン侯爵の息子からしつこいくらい求婚されている。今も、廊下で会う時も、俺と結婚しろとか俺といしょになれば幸せなれるとか、しつこくせまってきている。


 そして、今日はさらに酷かった。


 「おい、リーシャ。今日という今日はおれと婚約しろ。」


 「すいません、ナレン様。私にはもう婚約者がおりますので。」


 「あれだろ、生きてるのか死んでるのかわからん、バリステル家の長男だろ。ならいいだろう、今回のクラス対抗戦で成績が俺の方がよっかったら、俺と婚約しろ、もし俺が負ければいさぎよく諦めるとしよう。」


 「いえ、ですが「それができないなら、父上にお願いしてもらうぞ!」そ、それは、、、わかりました。」



 そこまではよかった。だが、その日からSクラスの人たちが次々とまたけがをした。1人や2人じゃなかった。合計で20人以上だ。もう、きずいた時にはおそかった。


 「リーシャ、どうしよう。このままだと負けちゃうよ!」


 「しょうがないよ。もう手遅れだよ。」


 「いえ、あいつレクスを頼ればいいのよ。」


 「無理だよ。もう2週間も学校来てないのよ。」


 「大丈夫、元々私があいつを怒らせたのが、原因なんだからそれぐらいしないと。」




 「って事がありまして、それで2週間探してるんですけど、みつからなくてそれで、、、」


 「私を頼ってきたんです。」


 「そうですか。もし次にあったら伝えておきます。」


 「お願いします。」


 「では、お邪魔しました。」




 「レクス様聞いてましたか?」


 「聞いていたよ。」


 「これからどうするんですか?」


 「そうだな、、、、、、、」

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