第20話事後処理




〜〜〜〜〜〜〜saidジール国王〜〜〜〜〜〜〜



 今さっき、マリアから聞いた事だが頭を抱えたくなった。秘密裏に、レクスにお願いをしていたことが、こんな大事になるなんて。


 「お主、レクスにお願いしたことが、こんな大事になるなんてのぉ〜。」


 他人事だと思ってケラケラ笑いやがって。


 「予期の仕様がないだろ! 俺は、レクスにセルシアの伸びた鼻をおって欲しいとは、言ったぞ。だが、他の貴族たちの子供の鼻まで折るなんて、どう考えたってわからんだろ!」


 どんな事が起きたら、他の貴族の子供を、ボコボコにする事になるんだ?


 「はぁ〜、腹がよじれて死ぬかと思ったぞ。それで、原因はなんなのじゃ?」


 「はぁ、今それをセルが、調べておるわ。そんなことより、レクスは呼んだのか?」


 「あぁ、それならメリルに伝えてあるぞ。今頃、メリルに怒られとるんじゃないかの。」


 「そうか。」


 「気になるんじゃが、他のボコされた子供がおる貴族たちは、どうしてくるかの?」


 「それなら、学園にクレームを入れるだろうな。まぁ、クレームだけなら良いのだが、レクスに喧嘩を売らないといいのだが。」


 「それに、国王の私が学園にクレームを入れなければ、ほとんどの貴族たちは、動かないだろうな。」


 「まだ、レクス自身に喧嘩を売るなら良いのじゃが、メリルや家族に手を出すと恐ろしい事になるからの。」


 「最悪、手を出した領地が消えかねんからの。」


 「おい! レクスは、街を消せるのか?」


 「あぁ、1ヶ月ぐらいかけて、街の中に魔法陣を完成させればできるぞ。」


 「ならいいのか? いや良くはないが、まだマシか。そんなことよりも、今のレクスは、平民だ。そうなれば、絡んでくるやからが出てくるかもしれん。」


 「ならば、国王自身が囲っている、優秀な研究員として扱えば、良いのじゃ。レクスは、魔法陣の知識が、ずば抜けているからの。」


 「そこまですごいのか?」


 「あぁ、すごいぞ。なんたって、レクスは魔法学の難問のひとつ、魔法陣の重ねがけについて、解いておるからの。」


 なんだと。あの問題を?


 「はぁ〜? あの魔法陣の重ねがけを解いたのか? あれは、魔法陣学で最難関と言われているのにだぞ。」


 「それをレクスは、「こんなもの、なんで解けないんだ?」とか、言っておったぞ。」


 「まだそのこと、外には公開してないだろうな。」


 「もうすぐレクスが来るんじゃ、その時聞けばよかろう。」




 コンコン


 「レクスだろ、入ってくれ。」


 「失礼します。」


 「レクス、なんで呼ばれたか分かるだろ。」


 「わかってますよ。」


 「はぁ〜、なんでセルシアだけでなく、他の貴族たち子供まで、ボコボコにしたのだ?」


 「あ〜、あれですか。いや、第二王女とリーシャ…ルーデンス家の長女が、クラス対抗戦の練習をしないかと、誘ってきまして。」


 「用事があると言って断ったら、第二王女が挑発してきたので、第二王女の伸びた鼻を折るついでに、他の子供も折ってあげようかと思ったので、23対1で決闘をして、伸びた鼻を折ってあげました。」


 そこで、笑い転げるマリアが、羨ましい。正直言って、そっちに行って笑いたい。


 「はぁ〜、だがやられた子供の中には、貴族たちの子供がいるのだぞ。その貴族たちのは、どうするのだ?」


 「陛下は、学園にクレームをいれないですよね。なので大抵の貴族たちは、何もしてこないかと。」


 「それもそうだが、中には殺そうとしてくるやつもおるんだぞ。」


 「大丈夫ですよ。僕に接触してくるなら、大抵勧誘ですよ。」


 「はぁ〜、面白かったのじゃ。だが、レクスよメリルにも危険になるのではないか?」


 「それは、もう手を打っておきました。」


 「そうかの。お主、用意周到だの。」


 「はぁ〜、わかった。それと、レクスに聞きたいことがあるのだが、魔法陣の重ねがけの事、他の誰にも言ってないだろうな?」


 「……………………………………………。」


 「おい、まさか言ったのか?」


 「………えぇ。言いました。」


 「誰に言ったんだ! 早くしないとその研究成果を取られるぞ。」


 「誰かと言いますと、まず、入試問題に書きまして。」


 「な!」


 「その次に、Sクラスでその授業をしました。」


 「ということは、知っている奴なんて沢山いるではないか。」


 「そういうことになりますね。」


 「お主に、今回の罰は、家に帰って2週間以内に、魔法陣の重ねがけに関することを、論文にまとめて提出しろ! 直ぐにだ。」


 「いやでも、そんなことをなんで論文にするんですか? 大した事じゃないですか。考えてみれば分かることですよ。」


 「そんなことは、どうでもいいのだ。それは罰なのだから、早く論文を書き上げてここにもってこい。さっさとやれ!」


 「納得は、出来ませんが、分かりました。今から書いてきます。」


 「失礼しました。」


 「はぁ〜、レクスと話していると、常識が分からなくなりそうだわ。それと、マリアは笑いすぎだ。こっちの身にもなってみろ。」


 はぁ〜、レクスは論文を書かなければならんから、私が事後処理をするのか。誰か、変わってくれ。

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