第19話決闘と誕生日
今日は、メリルの誕生日だ。結局プレゼントは、メリルの髪と同じ色のペンダントにした。ペンダントにしたと言っても、もちろん俺が手を加えて、着けているだけで、身体強化IVぐらいが常時身体に付与されるペンダントだ。売れば、1000万ぐらいは普通にする。
そんな金額がするのに、レクスはメリルに躊躇なくあげる。レクスにとってメリルは、ただの命の恩人じゃなくて、大切な存在なのだ。
昔、メリルと国外に行った時に起こった。メリルと別行動をとっていた時、メリルが攫われた。レクスはすぐに、兵士達に捜索の協力をお願いした。だが、メリルがハーフだと言うことで、兵士達は協力しなかった。
それどころか、兵士達はメリルを攫ったやっと仲間だった。考えてみれば分かる事だった。街の中で誘拐が起こることが、全くと言っていいほどない。
普通、誘拐されるのは、街の外いわば街と街を繋ぐ道でだ。なのに、誘拐犯は街の中でやり、兵士達も捕まえられていない。
そんなことを知ったレクスは、その後すぐに誘拐犯を見つけ出して、すぐに兵士達のことを聞き出した。もちろん、誘拐犯はその後すぐに、この世からいなくなった。
その日の夜、レクスは兵士達の宿舎に行って、誘拐犯とグルだった兵士達1人1人絶望させて殺した。その後、兵士達がやっていたことの情報を、街とその周辺の街に拡散した。
それからか、レクスはメリルに関することは、感情が制御出来なかった。今でも、メリルをバカにされれば、激怒してしまう。
それを知らない奴が………爆弾がレクスに投下された。
「セルシア、あそこに居たよ、レクス君。」
「あっ、ほんとだ。あんなところに居るじゃない。」
はぁ、またうるさいヤツが来た。今度は、何の用だ。
「レクス君、ちょっといいかな?」
「なのようだ? 手短に言えよ。」
「はぁ? ちょっとあん「セルシア!」……分かったわよ。」
「あのね、知ってると思うけど、1ヶ月ぐらい経ったらクラス対抗戦があるのは、知ってるよね? それで、昨日からクラス対抗戦のために、練習してるの。」
「だから何?」
「それで今日から、レクス君も誘ってSクラス全員で練習しないかって、意見が出たから誘いに来たの。」
「対抗戦には、参加しないから、行かない。」
「はぁ? なんで参加しないのよ。ふざけてるの?」
「そもそもそんな事に、興味なんてない。それに、今日は外せない用事がある。」
「はっ、どうせ大した用事じゃないんでしょ。」
「はぁ?」
少しだけレクスの纏う空気が、変わった。それを、知ってか知らずか、セルシアは続けて言う。
「どうせ、私達に負けるのが怖いんでしょ! だから、用事なんてないのに、あるなんて嘘つくのよ。」
「だから、今日は知り合いの誕生日だ。」
「そんなこと、どうでもいいでしょ! そんなに怖いなら、「ちょとセルシア! それは、言い過ぎでしょ!」リーシャは、黙ってて。」
「なぁ、お前今なんて言った?」
レクスから出る雰囲気が、ガラリと変わった。
「お前今、そんなこと、どうでもいいとか言ったか?」
「えぇ言ったわよ。」
「あぁ、分かった。いくら頑張っても、どうせ勝てないってことを教えてやるよ。」
「へぇー、言うじゃない。やってやるわよ。」
「ちょっとセルシア! レクス君も! こんな所で、喧嘩はやめて!」
「「お前リーシャは黙ってろ(黙って)!」」
「えっ。」
「場所は、第3訓練所でいいわよね。私がボコボコにしてやるわ。」
「誰がお前1人だと言った? 俺の邪魔をしたんだ。Sクラスの奴ら全員でかかってこい。自分達が、どれだけ雑魚なのか、教えてやる。」
「そんなこと言っていいんだ。泣いて謝る事になることになるわよ。」
「やれるなら、やってみろよ。」
「そう、なら昼でいいわよね。」
「構わんぞ。」
「そっ、行くわよリーシャ。」
「えっえっ、ちょっと待って。レクス君、ごめんね。」
そして昼になった。第3訓練所には、Sクラスの全員がいた。
「今なら謝ったら、許してあげるわよ。」
「あのぉー、私やらなくていいですか? 私、戦うのが苦手なので。」
そう言って、1人の生徒が出てきた。
「そうなの? ならいいわよ。他にはいないかしら?」
そういうと、6人ほど抜けていった。もちろん、その中に、リーシャもいた。
「さてと、時間も勿体ない。だから、いっせいにかかってこいよ。」
「はぁ? ふざけてるの?」
「至って正直だ。お前らごときじゃ、相手にならないからな。さっさとこい。」
「ふざけてるの? 泣いても知らないわよ。」
そう言って、レクス対Sクラス対抗クラス23人の戦い、いや一方的に蹂躙が始まった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜saidアイシャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
はぁ、最近仕事が多いな。来月にクラス対抗戦があるから、仕方ないんだけどね。それにしても、あれからレクス君に会ってないな。彼が、学園対抗戦に出てくれれば、絶対に勝てるのになぁー。けど、絶対そういうの、興味ないだろうなぁ。
「会長! 大変です!」
「どうしたの? サターニャ。あなたがこんなに、取り乱すなんて。」
「大変なんですよ! 第3訓練所で、1年生のSクラスが、1人対20人以上で戦ってるんです!」
「えっ、それっていじめじゃない。1人の方の子、大丈夫なの? 早く止めなさいよ。」
「会長それが、いじめられてるのは、20人の方です。それに、他の生徒会メンバーが、止めようと入ったところ、無傷で無力化されたんです! だから、早く来てください!」
「どうなってるのよ! 早く行くよ。」
どういうこと? いじめてる方は、1人で生徒会メンバーが無傷で無力化? そんなこと私でも出来ないわよ。どうやって止めようかしら。
そして、数分で第3訓練所に着いた。だが、目を疑った。
訓練所は、ボロボロ。そして、1年生はあちこちに転がっている。死んではいなし、意識はあるみたいだけど、立てない。
生徒会メンバーは、壁に手をついてたってたり、肩を貸しながらたっていた。
そして、訓練所の真ん中に、木剣をもって、無傷で立っている1年生が、レクスいた。それも、とてつもない、威圧感を放っている。
「どういうこと?」
普通なら、ありえない状況で思考が、回らなかったが、アイシャは動けた、生徒会長としてのプライドがそうさせた。
「もう、剣は閉まってくれるよね、レクス君。」
「アイシャ先輩ですか。やることは終わったのでいいですよ。」
すると、レクスから放たれていた、威圧感が消えた。
(この場で、レクス君を怒らせるのは、得策じゃないわね。)
「どうして、こんな事になったの?」
「喧嘩をあそこにいる、第二王女に売られたんで、買ったまでです。」
「そうなのね。これから、ここにいるみんなにも、事情を聞くのだけど、レクス君からもいい?」
「いいですよ。けど、明日にして下さい。今日は、知り合いの誕生日なので。」
「わかったわ。それなら、明日朝いちで、生徒会室に来てね。」
「えぇ、では。」
そう言って、レクスは訓練所から、姿を消した。
「良かったんですか? 彼を帰してしまっても。」
「いいのよ。彼を怒らせるのは得策じゃないもの。さっ、ここにいる、全員から話を聞くよ。」
その頃、レクスは怒られていた。
「レクス様、学園でやらかしたそうですね? 第二王女を初めとした、貴族たちの子供を、決闘でボコボコにしたそうじゃないですか。」
「いや、だってさメリルの誕生日なんでどうでもいいって、言ってきたからつい。」
「それはそれ、これはこれです。ちゃんと感情を制御して下さいね。それと、マリアさんから陛下が呼んでるそうですよ。」
「わかった、行ってくるよ。あと、これあげるよ、プレゼント。その魔法陣は、つけていれば自然回復が、早まる効果がある。そっちの、ペンダントは見に付ければ、身体強化の魔法が、常時かかるようになってるぞ。」
「そうなんですか?」
「それと、誕生日おめでとう。メリル。」
「はい、ありがとうございます! それと、行ってらっしゃい。」
「あぁ、行ってくるよ。」
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